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DBさん
DB
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沈んだ無人島と火山の話
カドフェス2021掲載本です。
1973年に刊行されたものを文庫化したもので、日本SF史に輝くベストセラーだとか。

猛暑日が続くある夏の日、異変はすでに起きていた。
清水港を目指していた潜水艦の操艇者である小野寺は、八重洲口で壁に縦に細い亀裂が入っているのを目にする。
だが地震のせいかなという小さな疑問はそのままに、深海潜水艇「わだつみ号」で小笠原の海へもぐることになった。
鳥島の近くにあったはずの小さな無人島が突然沈んでしまったため、学術調査のための潜水だ。
現地に行くと海底火山の爆発らしきものや地震があったらしいことがわかるが、無人島にたまたま停泊していたカヌーに乗ったカナカ人が島が沈む時の様子を証言してくれる。
たった二日間で二百メートルも沈んでしまった無人島は、どのような海底活動の結果だったのだろうか。

小野寺と共に海底を観察しに行った地球物理が専門という田所博士、そして海洋地質学が専門の幸長助教授は、八千メートルの深海で何かが起こりつつあることを目にする。
浅間山が噴火したり地震が頻発したりと不穏な空気が漂う中、田所博士は今まで起きたことのない全く新しい地殻運動が起こるだろうという。
それを総理に提言した結果、防衛庁の予備費から資金を出してもらって更なる調査を重ねていきます。
スケジュールがつまっている「わだつみ号」を借りることができるかと奔走している田所博士に、フランスの一万メートル潜れる「ケルデマック号」をポンと買ってくれるスポンサーが現れたのだった。

潜水艦を手に入れて、操縦士として引き抜かれた小野寺や長期休暇をとった幸長助教授など少数精鋭のスタッフで調査を進めるが、京都や東京で大地震が相次いで起こり大きな被害が出ていた。
そして田所博士が日本列島が沈没するだろうという予測を口にするところで上巻終了。
潜水艦の操艇者である小野寺がメインで登場するが、特殊な技術を持っていると転職は簡単なのか難しいのかちょっと考えてしまった。
潜水艦の深海調査や火山帯、地殻変動といった地質学の話が盛り込まれながら、それぞれの登場人物の苦悩や葛藤を描いた話だった。
なにより災害が起きた時の被害状況が生々しい。
銀座のバーで飲んでいる姿に時代を感じたが、確かに今ドラマ化しても違和感ない話になるだろう。
というわけで下巻へ。

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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2033 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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