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DBさん
DB
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ピラミッドの謎と調査の本
ギザの三大ピラミッドといえば、世界中の人に知られている観光スポットだ。
わたしも一昨年金字塔を拝みに行きましたが、その巨大さにただ圧倒されました。

ジェゼル王の階段ピラミッドをはじめとして百基以上のピラミッドが作られているが、やはり一番有名なのはギザの三大ピラミッドだろう。
第四王朝がそれだけ権力を持っていたのか、大きいものが立派だという概念の時代だったのか、最大のピラミッドであるクフ王のピラミッドは145メートルちょっとの大きさだ。
残念なことに表面を覆っていた化粧石を石材として剥ぎ取られてしまっているそうで、完成時の姿は想像するしかない。
王墓だとも何らかの儀式のために作られた建造物だとも言われているが、2008年に上梓された本書ではピラミッドの構造や学説、それに謎について迫っています。

ピラミッドはどうやって建てられたんだろうか。
そして何のために作られた建物なんだろうか。
最初の章ではヘロドトスからナポレオンまで、なんともざっくりとしたまとめ方だがピラミッドを目にした外国人たちの残した記録について書かれている。
ヘロドトスの影響でピラミッドは王墓であるという概念が信じられていたが、ピラミッドを建設したのは奴隷の強制労働によるものという説から農民の農閑期に仕事を与えるための国家事業だったという説に変わったのはわりと最近の話だ。

ナポレオンがエジプト遠征につれていった学者もピラミッドのサイズを計測したりと世界へピラミッドの存在を知らしめる役割を果たしたようだ。
面白かったのは、あのシャンポリオンがピラミッドに興味を示さなかったという話です。
どうやらピラミッドにはヒエログリフが書かれていなかったからというのが理由のようだが、壮大なピラミッドに背を向けて小さな墓に書かれたテキストを解読するシャンポリオンの姿を思い浮かべてしまった。

ピラミッドの本格的な調査は十九世紀にエジプト考古局が発足してから始まる。
フランス人考古学者のマリエットがギザのピラミッドの調査もしたそうで、その際に発掘された石棺や彫刻の数々は今もカイロの博物館で見ることができる。
マリエットの墓も博物館にあるのは驚いたが、学者としては最高の場所に眠っているのかもしれない。

二十世紀に入ってからも重要な発見は続き、1925年に発見されたクフ王の母親であるヘテルヘプス王妃の日用品をつめた墓や、1954年に発見されたクフ王の太陽の船などが有名だ。
だが今でもどうやってあの巨石を積み上げたのかをはじめ謎は謎のままだし、ピラミッド内部にまだ知られていない空間があるらしいこともわかっている。
いつかピラミッドの謎がすべて解明される時が来るのかもしれないが、その偉大さは損なわれることなくエジプトに存在し続けるのだろう。
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DB さん本が好き!1級(書評数:2031 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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