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三太郎さん
三太郎
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電柱の種類と、電柱や電線に止まる鳥類の話。
電柱や電線に止まる鳥類の話なのだが、中盤は主に電柱の種類(電力用、通信用、その共用)や、電力用の送電線にとまった鳥がなぜ感電しないかについて紙面を費やしていて、あまり鳥の話がでてこない。

始めの方に電線にとまる鳥の種類の調査結果がある。カモのような水鳥以外の大抵の鳥は電線に止まれるようだ。カモは水かきが邪魔して止まれないらしい。でも同じ水鳥のカワウやサギは電線に器用に止まることができる(カワウやサギは木の枝にも止まるから当たり前かも)。

後半は電柱に巣を作る鳥の話。代表的なのはスズメとカラスだろう。

電力用の電柱には上部に腕金という四角い中空の棒が水平に付いている。これに碍子をつけて電線を固定する。昔は木製の腕木だったが、金属製に変わった。中空なのは軽量化のためだ。

この腕金の中空の部分がスズメの巣になる。スズメが巣を作るとたまごを狙って蛇が電柱に登ってきて、電線に接触して電線をショートさせる。それにより停電が発生するので、今では腕金の端はスズメが中に入れないように塞いであるが、蛇のいない都市部では塞がないらしい。

カラスは主にハシブトガラスとハシボソガラスについてだが、カラスが電柱に巣を作るのが初めて新聞に載ったのは1900年代だったとか。でも問題化したのは1980年代になってからのようだ。電柱に巣を作るのはハシボソガラスだと考えられてきたが、最近ではハシブトガラスも電柱に巣を作るようになってきた。停電の元になるため電力会社では巣の撤去作業を行っているが、推計では全国で一年に17万個以上の巣が撤去されているとか。

カササギやコウノトリも電柱に巣を作るが、保護鳥なので簡単に撤去はできないとか。コウノトリの場合は巣作り専用の柱を立てて鳥にはそちらで巣作りしてもらうようになっている。

現在では無電柱化の流れが進んでおり、将来は電柱に鳥が巣作りする姿は見られなくなりそうだ。その時に鳥は何処で巣作りするのだろうか。無電柱化した地域では鳥の個体数が減少したようにも見えるが、電線がなくなったので見つけづらいだけかも知れず、今はなんとも言えないとか。


僕が二年前まで住んでいた横浜市内では、スズメがコンクリート擁壁の水抜き穴で巣作りしていました。電柱がなくなっても、鳥たちは巧みに別の巣作りの場所を見つけ出すような気が僕にはしています。
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三太郎
三太郎 さん本が好き!1級(書評数:813 件)

1957年、仙台に生まれ、結婚後10年間世田谷に住み、その後20余年横浜に住み、現在は仙台在住。本を読んで、思ったことあれこれを書いていきます。

長年、化学メーカーの研究者でした。2019年から滋賀県で大学の教員になりましたが、2023年3月に退職し、10月からは故郷の仙台に戻りました。プロフィールの写真は還暦前に米国ピッツバーグの岡の上で撮ったものです。

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