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三毛ネコ
レビュアー:
人類のIQが上がっているという、なかなか興味深いテーマの本です。
知能指数は生まれた瞬間に決定してしまうものではなく、環境や親の育て方によって変化していくものだということは知っていたが、人類全体の知能指数が上がり続けているというのは知らなかった。なぜそんな現象が起きているのか?教育が良くなったからだろうか。それが知りたくて、この本を手にした。

この本によれば、20世紀の間に人類のIQが著しく上昇したという。例えばオランダでは、30年の間に若い男性のIQが20ポイントも伸びていた。チェスや囲碁などでは、時代が経つにつれてスキルが上がり、指導者や教則本の質が良くなり、スキルがさらに向上するそうだ。これは納得できる。同じことが知能指数にも言えるのだろうか?

検査によって多少の違いはあるが、データを見ると間違いなく人類の知能は上がっている。それは、必ずしも昔よりヒトが賢くなったというわけではない。私たちはより「現代的」になっただけなのだ。詳しくは本書で。

発展途上国よりも先進国の人間のほうがIQが高いのは事実である。しかし、いずれ途上国のIQが先進国を上回るかもしれないと著者は言う。やはり、人々を取り巻く環境の違いがIQの差になっているようだ。

また、年を取るにつれて、賢い人ほど知能検査の言語理解の点数は上がっていく。当然のことに思えるが、分析能力や処理速度のテストでは、年を取るに従って、賢い人ほどテストの成績が落ちていくのだ。その理由も説明されている。

本書は、男性のほうが女性よりも遺伝的に優れている、という説にも言及しており、男性のほうが優れているわけではないという意見である。その証拠に、高校中退者の8割は男子であり、GPA(欧米の学生の成績評価方式)ではA評価の6割は女性だったのだ。

他のレビュアーが書いているように、確かにデータばかり羅列して、読みにくい。もう少し分かりやすく、面白く書いてあれば星5つでも付けられたのだが。取り上げているテーマはなかなか興味深いので、読みにくかったのが残念である。
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三毛ネコ
三毛ネコ さん本が好き!1級(書評数:873 件)

フリーランスの産業翻訳者です。翻訳歴12年。趣味と実益(翻訳に必要な日本語の表現力を磨くため)を兼ねてレビューを書いています。サッカーファンです。

書評、500冊になりました。これからも少しずつ投稿していきたいと思います。

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この書評へのコメント

  1. noel2021-03-20 15:41

    学生の頃に読んだ本にヴィゴツキーの、タイトルは忘れましたが、「最近接領域理論」というのがあり、それによると、あまり離れるとダメだが、少しずつなら知能は伸びて行けるというのがありました。深くは研究していませんが、それをもとに言語領域の理論に応用して、とある本を書いたことがあります。

  2. 三毛ネコ2021-03-20 18:36

    本を書かれたんですか。すごいですね。私も、英語学習の本を書いてみたいです。

  3. noel2021-03-20 21:53

    ああ、要らぬことを書いてしました。三毛ネコさんには、ぜひ書いてください。英語がらみの言語論はとても興味があります。最近は、投稿サイト(カクヨムなど)もあり、必ずしも紙媒体でなくとも、出版もしくは発表できる時代です。どんどん書いていきましょう。その節には、必ず読ませていただきます。

  4. 三毛ネコ2021-03-20 21:00

    はい、それだけの実力が付いたら書いてみたいと思います。Kindle本で100円くらいかもしれませんが。

  5. noel2021-03-20 21:38

    愉しみにしております。

  6. No Image

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