かもめ通信さん
レビュアー:
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美しい夢なのか、それとも悪夢なのかさえもわからずに、ただ物語の中を漂い続ける。あるいはもしかすると、この本を読んでいるということ自体が夢なのかもしれないなどと頭の片隅で考えながら。
あたし、ひとと向き合って食べるのは慣れていないんです
いつもひとりで--食事室は個室で、机は窓に向いていましたから。いつも山を眺めていましたの
そんな言葉を口にしながら少し顔を赤らめる寄宿舎で育ったという年若い女性。
遠縁に当たるその女性と結婚した男の新婚旅行の思い出語りかと思いきや……。
列車は遅れに遅れ、初夜は男女が別々に案内される駅舎ホテルで過ごす羽目に。
そうかと思えばとうにの昔に亡くなったはずの伯母の告別式への参列を余儀なくされて…。
いやいやこの作品に関しては、(たとえそんなことができたとしても)あらすじを紹介することには何の意味もない。
読んで受けた印象について語ろうにも、「例えばここだが…」と再び読み返すと、以前読んだときとは全く違ったものが見えてくる。
美しい夢なのか、それとも悪夢なのかさえもわからずに、ただ物語の中を漂い続ける。
あるいはもしかすると、この本を読んでいるということ自体が夢なのかもしれないなどと頭の片隅で考えながら。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
この書評へのコメント
- toribakohouse2021-04-15 08:14
山尾悠子さんの本はいつも難解でなかなかレビューできる気がしないですが、流石です!
自分には国書刊行会の装丁の美しさを褒めるぐらいしかできない、、、
ラピスラズリの美しさに毎度うっとりしますが、いまだに途中までしか読めていないです(笑)クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - かもめ通信2021-04-15 08:44
toribakohouseさん!わかります。わかります。本当にうっとりしますよね。
なぜ?とかどこが?とか問われると上手く説明できないのですが。
『ラピスラズリ』は,このサイトで知り合った読友さんのお薦めで手にした大好きな作品です。
レビューの方は,写真でごまかした感がありますが(^^ゞ
https://www.honzuki.jp/book/191585/review/92641/クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 コメントするには、ログインしてください。
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- 出版社:国書刊行会
- ページ数:150
- ISBN:9784336070999
- 発売日:2021年02月27日
- 価格:2640円
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