三太郎さん
レビュアー:
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若いイタリア人男性によるイタリア(人、おもに男性)論。
著者のディエゴマルティーナは1986年生まれでイタリア南部(プーリア州)出身とか。ローマの大学の日本語科で日本文学を学び、東京外国語大学、東京大学に留学し、現在は日本に住んでいる。日本の詩や俳句をイタリア語に訳している。
実は本の内容は期待したものとは違っていて、文学はあまり関係がありませんでした。意外なことに彼は須賀敦子を日本に来てから、イタリア語の詩の翻訳者として知ったという。イタリアにいた頃には須賀さんが若い頃に訳した日本の小説について知らなかったらしい。年代が若いからなのかな。その須賀さんの訳した詩については最後に触れることにします。
著者がこの本を書いた動機はイタリア人男性に対する日本人の誤解を解くということらしい。イタリア人男性は若い女性とみれば誰彼となく言い寄っていくみたいに見られているが、決してそんなことはなくて、女性を口説いている訳ではない、とか。
またイタリア人の男性はマザコンだと思われているが(ヤマザキマリさんの漫画の影響かも?)そんなことはないと。でも日本人と違って家族同士のつながりが強いことは事実の様です。
最後はやはりイタリアの食に関する話題でした。パスタは地方により様々な種類があり、その地方以外では食べられないとか。僕はイタリアに行ったことがないからイタリア人の食事についてはスパゲッティとラザニアとピザとリゾットくらいしか思いつかないですが。(スパゲッティとリゾットは昔から自分でもよく作りました)
イタリア人は食事については極めて保守的で旅先でもいつも食べているもの以外は拒否するらしいです。子供でもそうなのだとか。イタリア人は食については好奇心がないらしいです。
コーヒーについては、イタリアではほとんどエスプレッソしか飲まれないとか。普通のドリップコーヒーを注文するとエスプレッソをお湯で割ったものが出てくるとか。これには驚きました。
ところで、須賀敦子が訳した詩というのはイタリアの詩人ウンガレッティの「Veglia(ヴェリア)」という詩でした。このタイトルはイタリア語で覚醒することを意味しますが、須賀さんは「徹夜」と訳しました。詩の内容は、第一次大戦の際に戦場で死んだ仲間の傍らで一晩過ごす兵士(詩人自身)の思いを詠んだものだそうです。著者はVegliaはこの場合には「通夜」と訳すのが相応しく、須賀さんは誤読したのだというのですが・・・
僕は須賀さん贔屓だから敢て書きますが、須賀さんはヴェリアが通夜を意味することも承知していたのではと思います。だって「徹夜(てつや)」というタイトルからそれが「通夜(つや)」にも掛けていることは日本人の読者には直ぐわかったと思うからです。昔は通夜は徹夜だったというし、テツヤとツヤは音が重なっていますから。
最後に一つ、ためになった情報がありました。最近、パスタは「アルデンテ」に限ると、いまさらながら、言う日本人が多いらしいのですが、彼らのいうアルデンテは歯茎に刺さるほど硬茹でのものを指すらしい。道理で数年前からお店で出てくるパスタが硬いわけだ!やたら固いラーメンが流行っていますが、その影響かもね。著者によればこれはアルデンテを誤解しているとのこと。
僕もそう思うよ。もう何十年も自分でパスタを茹でているけど、歯茎に刺さるようなパスタなんて食いたくないもの。アルデンテはもっちりした歯ざわりの事だと思うよ。
実は本の内容は期待したものとは違っていて、文学はあまり関係がありませんでした。意外なことに彼は須賀敦子を日本に来てから、イタリア語の詩の翻訳者として知ったという。イタリアにいた頃には須賀さんが若い頃に訳した日本の小説について知らなかったらしい。年代が若いからなのかな。その須賀さんの訳した詩については最後に触れることにします。
著者がこの本を書いた動機はイタリア人男性に対する日本人の誤解を解くということらしい。イタリア人男性は若い女性とみれば誰彼となく言い寄っていくみたいに見られているが、決してそんなことはなくて、女性を口説いている訳ではない、とか。
またイタリア人の男性はマザコンだと思われているが(ヤマザキマリさんの漫画の影響かも?)そんなことはないと。でも日本人と違って家族同士のつながりが強いことは事実の様です。
最後はやはりイタリアの食に関する話題でした。パスタは地方により様々な種類があり、その地方以外では食べられないとか。僕はイタリアに行ったことがないからイタリア人の食事についてはスパゲッティとラザニアとピザとリゾットくらいしか思いつかないですが。(スパゲッティとリゾットは昔から自分でもよく作りました)
イタリア人は食事については極めて保守的で旅先でもいつも食べているもの以外は拒否するらしいです。子供でもそうなのだとか。イタリア人は食については好奇心がないらしいです。
コーヒーについては、イタリアではほとんどエスプレッソしか飲まれないとか。普通のドリップコーヒーを注文するとエスプレッソをお湯で割ったものが出てくるとか。これには驚きました。
ところで、須賀敦子が訳した詩というのはイタリアの詩人ウンガレッティの「Veglia(ヴェリア)」という詩でした。このタイトルはイタリア語で覚醒することを意味しますが、須賀さんは「徹夜」と訳しました。詩の内容は、第一次大戦の際に戦場で死んだ仲間の傍らで一晩過ごす兵士(詩人自身)の思いを詠んだものだそうです。著者はVegliaはこの場合には「通夜」と訳すのが相応しく、須賀さんは誤読したのだというのですが・・・
僕は須賀さん贔屓だから敢て書きますが、須賀さんはヴェリアが通夜を意味することも承知していたのではと思います。だって「徹夜(てつや)」というタイトルからそれが「通夜(つや)」にも掛けていることは日本人の読者には直ぐわかったと思うからです。昔は通夜は徹夜だったというし、テツヤとツヤは音が重なっていますから。
最後に一つ、ためになった情報がありました。最近、パスタは「アルデンテ」に限ると、いまさらながら、言う日本人が多いらしいのですが、彼らのいうアルデンテは歯茎に刺さるほど硬茹でのものを指すらしい。道理で数年前からお店で出てくるパスタが硬いわけだ!やたら固いラーメンが流行っていますが、その影響かもね。著者によればこれはアルデンテを誤解しているとのこと。
僕もそう思うよ。もう何十年も自分でパスタを茹でているけど、歯茎に刺さるようなパスタなんて食いたくないもの。アルデンテはもっちりした歯ざわりの事だと思うよ。
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1957年、仙台に生まれ、結婚後10年間世田谷に住み、その後20余年横浜に住み、現在は仙台在住。本を読んで、思ったことあれこれを書いていきます。
長年、化学メーカーの研究者でした。2019年から滋賀県で大学の教員になりましたが、2023年3月に退職し、10月からは故郷の仙台に戻りました。プロフィールの写真は還暦前に米国ピッツバーグの岡の上で撮ったものです。
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- 出版社:光文社
- ページ数:0
- ISBN:9784334045203
- 発売日:2021年01月19日
- 価格:880円
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