たけぞうさん
レビュアー:
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それ、方言といわれてもちょっと困る。
先行書評で面白そうだったので手に取りました。
わが家では、もぐらさんの描いた「うちのトコでは」という県民性漫画を
こよなく愛していて、シリーズ以外の著作も含めると十冊以上あります。
県民ならではの言葉遣いとリアクションが楽しい漫画なんですね。
この著書を、もぐらさんの漫画と図らずも比べてしまい、
エンタメ性や絵解きによる分かりやすさの差があって、
もぐらさんのシリーズはずい分と先に行っているなと思いました。
しかももぐらさんは、一人でネタを集めて描いているというすごい人です。
まあ、それはそれ。この本で長年の疑問が解けたところがあり、
ちょっと読むのにちょうどよかったです。
題名が誤解しやすいです。
この著書は、方言だと知っているかどうかは別として、
他に言いようがない言葉を集めたという意味です。
なぜか、方言を使うのは恥ずかしいこと、標準から外れたことという
雰囲気があるのがいけないのでしょう。
最近は、方言ってかわいいねという復権の雰囲気があるので
いいことだと思います。
まず、長年の疑問の解消から。
一つ目、「ちぇすと」。
うる星やつらの初期の巻に出てくるのですが、意味の想像すらできませんでした。
運動会の場面だった記憶があります。
鹿児島の言葉で、「チェスト行け!」と使われ、
気合いを入れていけということでした。
なんで胸(=チェスト)なんだろうと思っていました。
この本を読んで、胸を張れということかと連想しましたが、
残念ながら語源ははっきりしないようです。
二つ目、「とー」。
ゴーストスイーパー美神極楽大作戦で、鳥の妖怪を掴まえようとして
籠の罠を作り、「とーとーとー」と掛け声をかけるのです。
沖縄の言葉で、お酒をつがれるときにストップ、まあそれくらいでという
ニュアンスで通じることが一つ。
もう一つは、「さあ、ほら」と呼びかけるときにも使うそうです。
二つとも好きな漫画だけに、すっきりしました。
作者は方言と気づかずに描いたのかもしれません。
先行書評では、これを方言といわれてもと書いてありますが、
ポイントは他に言いようのない言葉の収集なので、わたしは納得です。
自分の出身の愛知県の話をします。
「しゃびしゃび」って、聞いたことありますか?
カレーがしゃびしゃびなどと使い、食べものが水っぽく
薄まっている時によく使う表現です。
どろっとしたイメージのものが、思いのほかさらさらの時のことですね。
これは方言とは言って欲しくない言葉ですね。
もう一つ。
「ちんちん」は方言だと知っていますが、他に言葉がない困った用語です。
ヤカンがちんちんなどと使います。股間とはアクセントが違うので分かります。
あっちい、あっちっち、あっちんちんからの変化言葉だと思います。
たけぞう調べですが、ちんちんは愛知ローカル語と思っている人が
多いのですが、本が好きで諏訪湖の南西でも分かると教えてもらいました。
北陸三県でも通じると知り、どうやら関東と関西の間に、
ちんちんフォッサマグナがあることが分かりました。
そこが中部圏なのです。
これはどの本にも書いていない大発見なのです。
一歩踏み込みますね。
こういう本でよく見過ごされるのが、関東方言です。
きっと東京弁が標準語だから方言と言ってくれるなという意識があり、
関東には方言と認識すらされていない言葉があるのです。
以下に、この本に書いていないたけぞう調べ結果をまとめます。
手始めに、「き」が「ち」になる人のお話です。
その人は、岸本を「ちしもと」と呼んでいましたね。
また、神奈川では「あるってって」(歩いて行って)という言いかたがあります。
「トッポい」というのは、横浜銀蝿の歌詞で聞いたのですが、
神奈川で本当に使う人がいて驚きました。意味はいまだによく分からないです。
まあ、ここらあたりは想定内でしょうね。
さらに踏み込みます。
これはどこの記事でも見かけたことがありませんが、確実にある関東方言です。
一つ目、「なんもない」。
地方の人が自虐ネタで言うのとはニュアンスが違います。
スーパー、商店、ファミレスなどいろいろあるのに、
なんもないと称するので混乱したことがあります。
あらためて考えると、落ち着いた駅前通りに対して使われることがあり、
人が列をなしてわーっと集まることのないという、
混雑がないというニュアンスがある気がします。
お店の古さは関係ないので、さびれているとは違う不思議な言葉です。
参考までに、自分の住んでいるところを電車の駅名で答えるのも、
関東ローカルの用法ですね。大阪もそうかもですが、
大都市あるあるではないかなと。
二つ目、「めんどくさい」。
なにかを断る理由で、オールマイティーに使われます。
実際、その程度でなにが面倒なのかと思う事にも使うので、
何回聞いても違和感がある言葉です。
本当の理由を言わないために編み出された言葉ではないかと想像しています。
実際、関東以外では聞いたことのない用法です。
上記の関東に関する文章は、いずれもたけぞう調べで、
この本には書いていませんので誤解のないようお願いします。
もし上記指摘に対して、ちょっとやめてくれよ、普通の言葉じゃないかと
思ったら、まさにそんな言葉を集めた著作とご理解下さい。
まあ、たけぞう調べが、いつか何かの本に採用されるといいなと思っています。
最後に。
もっとも気に入ったのが、北海道・東北の「ぱやぱや」。
赤ちゃんの絵が描いてあって、うぶ毛がぱやぱやーと生えていて、
うおぅ、ぱやぱやすげーとテンションが上がりました。
いろいろと楽しめる本でした。
わが家では、もぐらさんの描いた「うちのトコでは」という県民性漫画を
こよなく愛していて、シリーズ以外の著作も含めると十冊以上あります。
県民ならではの言葉遣いとリアクションが楽しい漫画なんですね。
この著書を、もぐらさんの漫画と図らずも比べてしまい、
エンタメ性や絵解きによる分かりやすさの差があって、
もぐらさんのシリーズはずい分と先に行っているなと思いました。
しかももぐらさんは、一人でネタを集めて描いているというすごい人です。
まあ、それはそれ。この本で長年の疑問が解けたところがあり、
ちょっと読むのにちょうどよかったです。
題名が誤解しやすいです。
この著書は、方言だと知っているかどうかは別として、
他に言いようがない言葉を集めたという意味です。
なぜか、方言を使うのは恥ずかしいこと、標準から外れたことという
雰囲気があるのがいけないのでしょう。
最近は、方言ってかわいいねという復権の雰囲気があるので
いいことだと思います。
まず、長年の疑問の解消から。
一つ目、「ちぇすと」。
うる星やつらの初期の巻に出てくるのですが、意味の想像すらできませんでした。
運動会の場面だった記憶があります。
鹿児島の言葉で、「チェスト行け!」と使われ、
気合いを入れていけということでした。
なんで胸(=チェスト)なんだろうと思っていました。
この本を読んで、胸を張れということかと連想しましたが、
残念ながら語源ははっきりしないようです。
二つ目、「とー」。
ゴーストスイーパー美神極楽大作戦で、鳥の妖怪を掴まえようとして
籠の罠を作り、「とーとーとー」と掛け声をかけるのです。
沖縄の言葉で、お酒をつがれるときにストップ、まあそれくらいでという
ニュアンスで通じることが一つ。
もう一つは、「さあ、ほら」と呼びかけるときにも使うそうです。
二つとも好きな漫画だけに、すっきりしました。
作者は方言と気づかずに描いたのかもしれません。
先行書評では、これを方言といわれてもと書いてありますが、
ポイントは他に言いようのない言葉の収集なので、わたしは納得です。
自分の出身の愛知県の話をします。
「しゃびしゃび」って、聞いたことありますか?
カレーがしゃびしゃびなどと使い、食べものが水っぽく
薄まっている時によく使う表現です。
どろっとしたイメージのものが、思いのほかさらさらの時のことですね。
これは方言とは言って欲しくない言葉ですね。
もう一つ。
「ちんちん」は方言だと知っていますが、他に言葉がない困った用語です。
ヤカンがちんちんなどと使います。股間とはアクセントが違うので分かります。
あっちい、あっちっち、あっちんちんからの変化言葉だと思います。
たけぞう調べですが、ちんちんは愛知ローカル語と思っている人が
多いのですが、本が好きで諏訪湖の南西でも分かると教えてもらいました。
北陸三県でも通じると知り、どうやら関東と関西の間に、
ちんちんフォッサマグナがあることが分かりました。
そこが中部圏なのです。
これはどの本にも書いていない大発見なのです。
一歩踏み込みますね。
こういう本でよく見過ごされるのが、関東方言です。
きっと東京弁が標準語だから方言と言ってくれるなという意識があり、
関東には方言と認識すらされていない言葉があるのです。
以下に、この本に書いていないたけぞう調べ結果をまとめます。
手始めに、「き」が「ち」になる人のお話です。
その人は、岸本を「ちしもと」と呼んでいましたね。
また、神奈川では「あるってって」(歩いて行って)という言いかたがあります。
「トッポい」というのは、横浜銀蝿の歌詞で聞いたのですが、
神奈川で本当に使う人がいて驚きました。意味はいまだによく分からないです。
まあ、ここらあたりは想定内でしょうね。
さらに踏み込みます。
これはどこの記事でも見かけたことがありませんが、確実にある関東方言です。
一つ目、「なんもない」。
地方の人が自虐ネタで言うのとはニュアンスが違います。
スーパー、商店、ファミレスなどいろいろあるのに、
なんもないと称するので混乱したことがあります。
あらためて考えると、落ち着いた駅前通りに対して使われることがあり、
人が列をなしてわーっと集まることのないという、
混雑がないというニュアンスがある気がします。
お店の古さは関係ないので、さびれているとは違う不思議な言葉です。
参考までに、自分の住んでいるところを電車の駅名で答えるのも、
関東ローカルの用法ですね。大阪もそうかもですが、
大都市あるあるではないかなと。
二つ目、「めんどくさい」。
なにかを断る理由で、オールマイティーに使われます。
実際、その程度でなにが面倒なのかと思う事にも使うので、
何回聞いても違和感がある言葉です。
本当の理由を言わないために編み出された言葉ではないかと想像しています。
実際、関東以外では聞いたことのない用法です。
上記の関東に関する文章は、いずれもたけぞう調べで、
この本には書いていませんので誤解のないようお願いします。
もし上記指摘に対して、ちょっとやめてくれよ、普通の言葉じゃないかと
思ったら、まさにそんな言葉を集めた著作とご理解下さい。
まあ、たけぞう調べが、いつか何かの本に採用されるといいなと思っています。
最後に。
もっとも気に入ったのが、北海道・東北の「ぱやぱや」。
赤ちゃんの絵が描いてあって、うぶ毛がぱやぱやーと生えていて、
うおぅ、ぱやぱやすげーとテンションが上がりました。
いろいろと楽しめる本でした。
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ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。
自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
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- ISBN:9784801304413
- 発売日:2020年03月17日
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