PIOさん
レビュアー:
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題名は「精一杯頑張って生きる」人間を象徴。アウトレットモールで契約社員として働く主人公・都(みゃー)の恋の行方は?今の日本社会の切り取り方、ストーリー展開、秀逸です。
久々に一気読みをしました。
山本文緒、さすがです。50代で逝ってしまったことが残念です。
まず、構成が凝っています。
「プロローグ」で描かれるのは、ベトナムで行われている華やかな結婚式。
それが、本編なるや、舞台は辺鄙な場所に作られたアウトレットモールと「牛久大仏」。
へ?
これが、ベトナムの結婚式とどう繋がるの?
という疑問が解消されるのは、最後の最後の「エピローグ」に至ってから。
でもって、繋がってみると、「なるほど、納得!」となるわけです。
でも、本編を読んでいる間には、全然予想もつきませんでした。
都が東京での一人暮らしを切り上げて実家に戻ったのには、
・母の体調不良
・東京での仕事上のトラブル
があったわけですが、2番目の理由については、ストーリーが進むとともに徐々に明らかになっていう、という流れです。
話の中心は、アウトレットモールで出会った「貫一」との恋模様。
出会いにおける第一印象最悪だった貫一ですが、台風の日、車のエンジンがかからずにパニックを起こしていた都の救世主となって、、、彼の部屋に入り浸るような恋仲に。
33歳の都の元クラスメートたちは、婚活に成功した者、子育てに奔走する者、正社員として活躍する者、、、それぞれの道を選んでいます。
都はこれから、どう生きるのか。
貫一との仲はどうなるのか。
「回転ずし店」で働く「中卒」の男、という貫一に対する評価は、人それぞれに千差万別。
中卒という学歴でありながら読書家の貫一は、ことあるごとに蘊蓄を語ります。
「自転しながら公転する」も彼の言葉です。
施設に入っている親の必要経費をきちんと払い、施設にも通って世話もしている彼。
東日本大震災の折はボランティア活動をし、後輩にも慕われている彼。
でも、彼を貶める言葉を吐く同僚も。
私にとっては、都の
「蘊蓄うざい!」
「自分が困るような展開になると、蘊蓄で煙に巻こうとするとこがうざいんだよ!」
に喝采です。
最終盤での事件勃発後は、何がどう転がって、どんな結論に落ち着くのか全く見えず、結果、一気読みとなりました。
また、60代目前という都の両親が選んだ人生にも、ぐっときました。
こちらは、まさに今の私が悶々としている問題とも直結。
さらに、正社員と契約社員とアルバイト、パワハラ、セクハラといった、職場を巡るトラブルの描かれ方にも共感しました。
多様な要素をググっと盛り込んでいながら、ストーリー展開にわざとらしさが感じられないところもお見事な小説。
いろんな意味で、おすすめです。
山本文緒、さすがです。50代で逝ってしまったことが残念です。
まず、構成が凝っています。
「プロローグ」で描かれるのは、ベトナムで行われている華やかな結婚式。
それが、本編なるや、舞台は辺鄙な場所に作られたアウトレットモールと「牛久大仏」。
へ?
これが、ベトナムの結婚式とどう繋がるの?
という疑問が解消されるのは、最後の最後の「エピローグ」に至ってから。
でもって、繋がってみると、「なるほど、納得!」となるわけです。
でも、本編を読んでいる間には、全然予想もつきませんでした。
都が東京での一人暮らしを切り上げて実家に戻ったのには、
・母の体調不良
・東京での仕事上のトラブル
があったわけですが、2番目の理由については、ストーリーが進むとともに徐々に明らかになっていう、という流れです。
話の中心は、アウトレットモールで出会った「貫一」との恋模様。
出会いにおける第一印象最悪だった貫一ですが、台風の日、車のエンジンがかからずにパニックを起こしていた都の救世主となって、、、彼の部屋に入り浸るような恋仲に。
33歳の都の元クラスメートたちは、婚活に成功した者、子育てに奔走する者、正社員として活躍する者、、、それぞれの道を選んでいます。
都はこれから、どう生きるのか。
貫一との仲はどうなるのか。
「回転ずし店」で働く「中卒」の男、という貫一に対する評価は、人それぞれに千差万別。
中卒という学歴でありながら読書家の貫一は、ことあるごとに蘊蓄を語ります。
「自転しながら公転する」も彼の言葉です。
施設に入っている親の必要経費をきちんと払い、施設にも通って世話もしている彼。
東日本大震災の折はボランティア活動をし、後輩にも慕われている彼。
でも、彼を貶める言葉を吐く同僚も。
私にとっては、都の
「蘊蓄うざい!」
「自分が困るような展開になると、蘊蓄で煙に巻こうとするとこがうざいんだよ!」
に喝采です。
最終盤での事件勃発後は、何がどう転がって、どんな結論に落ち着くのか全く見えず、結果、一気読みとなりました。
また、60代目前という都の両親が選んだ人生にも、ぐっときました。
こちらは、まさに今の私が悶々としている問題とも直結。
さらに、正社員と契約社員とアルバイト、パワハラ、セクハラといった、職場を巡るトラブルの描かれ方にも共感しました。
多様な要素をググっと盛り込んでいながら、ストーリー展開にわざとらしさが感じられないところもお見事な小説。
いろんな意味で、おすすめです。
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主に小説、そして、クラシック音楽関連本を濫読している女性です。
ときどき新書、近現代史関連本にも食指を伸ばしております。(2017年8月に登録)
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- 出版社:新潮社
- ページ数:0
- ISBN:9784103080121
- 発売日:2020年09月28日
- 価格:1980円
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