たけぞうさん
レビュアー:
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直情的な男と他人依存の女。
人気作家さんなので気になっていました。
残念ながらご不幸に見舞われてしまい、お悔やみ申し上げます。
重い腰を上げて、著者の最近の人気作のこちらを読んでみることにしました。
出だしは茨城の牛久大仏です。
主人公の都が、東京から地元に戻ってきたことが、
文中からさりげなく伝わってきます。
アウトレットモールの洋服屋の店員のようです。
母親が更年期障害に苦しみ、父と二人でサポートすることを、
地元に戻る理由にしたみたいです。いまは家族と同居です。
きっと東京でなにかあって、地元に戻ったんだろうなと読者は想像しつつ、
生活していければ充分とでもいいたげな都のふるまいに負け犬の香りを感じ、
どうにもしみったれている雰囲気に、読み続けていけるのか不安になりました。
頁数も分厚いですしね。
なんともいえないまったり感に包まれています。
この本で、森ガールという言葉を初めて知りました。
森の中から出てきた無垢な女の子のような、
ゆるふわのコーディネートのことらしいです。
森の妖精さんのイメージかなと思ってネットで見たら、
スポンとしたワンピースが並んでいて、女子力の高そうな服でした。
都が東京で勤めていたお店はそんな森ガール系の人気店で、
ブランド力もあるうえ、店長にまでなっていたようなのです。
それなのにいまはと思うと、苦みが沁み出てきます。
しかし人間はどこにいてもいいことも悪いことも起こるのであって、
都の周りがじんわりと動いていくという展開です。
都はやたら胸が目立つほうで、それを気にして森ガールの服で
分からなくしていた人です。
もともと人目を惹く人なのでしょうね。ふんわりとした雰囲気と、
穏やかな顔立ちから、男子にかわいい子と言われることがあり、
ファッション雑誌などのカメラマンにも街の店員さんとして
被写体になったこともあるくらいです。
さらに、その雰囲気のおかげか洋服の売り上げもよく、
だからこそ店長にまでなっていたようなのです。
しかし、本人がどうにも煮え切らないのですね。
モテ描写があるわけでもなく、茨城では他人と距離をとって
ひっそりとしているようです。
アウトレットモールの回転寿司の店員と、ちょっとしたきっかけで
交流が生まれ、距離を詰めたり離したりする恋愛展開がありますが、
ずーっとぐずぐずしています。
回転寿司の男は、判で押したような単純な人間で、
小説で書くとこうなっちゃうのかなと思いつつ、
都の煮え切れらなさも相当のものです。
こういう部分って誰もが持っているようなと思いながらも、
ここまで極端だとむしろ冷静に読めるから不思議です。
中盤から後半にかけて、物語がゆったりと膨らんできますので、
前半のグレーな雰囲気にあまり引きずられ過ぎずに
読み進めることをお薦めします。
全体を通してみると、なかなかいい作品だと思いましたよ。
残念ながらご不幸に見舞われてしまい、お悔やみ申し上げます。
重い腰を上げて、著者の最近の人気作のこちらを読んでみることにしました。
出だしは茨城の牛久大仏です。
主人公の都が、東京から地元に戻ってきたことが、
文中からさりげなく伝わってきます。
アウトレットモールの洋服屋の店員のようです。
母親が更年期障害に苦しみ、父と二人でサポートすることを、
地元に戻る理由にしたみたいです。いまは家族と同居です。
きっと東京でなにかあって、地元に戻ったんだろうなと読者は想像しつつ、
生活していければ充分とでもいいたげな都のふるまいに負け犬の香りを感じ、
どうにもしみったれている雰囲気に、読み続けていけるのか不安になりました。
頁数も分厚いですしね。
なんともいえないまったり感に包まれています。
この本で、森ガールという言葉を初めて知りました。
森の中から出てきた無垢な女の子のような、
ゆるふわのコーディネートのことらしいです。
森の妖精さんのイメージかなと思ってネットで見たら、
スポンとしたワンピースが並んでいて、女子力の高そうな服でした。
都が東京で勤めていたお店はそんな森ガール系の人気店で、
ブランド力もあるうえ、店長にまでなっていたようなのです。
それなのにいまはと思うと、苦みが沁み出てきます。
しかし人間はどこにいてもいいことも悪いことも起こるのであって、
都の周りがじんわりと動いていくという展開です。
都はやたら胸が目立つほうで、それを気にして森ガールの服で
分からなくしていた人です。
もともと人目を惹く人なのでしょうね。ふんわりとした雰囲気と、
穏やかな顔立ちから、男子にかわいい子と言われることがあり、
ファッション雑誌などのカメラマンにも街の店員さんとして
被写体になったこともあるくらいです。
さらに、その雰囲気のおかげか洋服の売り上げもよく、
だからこそ店長にまでなっていたようなのです。
しかし、本人がどうにも煮え切らないのですね。
モテ描写があるわけでもなく、茨城では他人と距離をとって
ひっそりとしているようです。
アウトレットモールの回転寿司の店員と、ちょっとしたきっかけで
交流が生まれ、距離を詰めたり離したりする恋愛展開がありますが、
ずーっとぐずぐずしています。
回転寿司の男は、判で押したような単純な人間で、
小説で書くとこうなっちゃうのかなと思いつつ、
都の煮え切れらなさも相当のものです。
こういう部分って誰もが持っているようなと思いながらも、
ここまで極端だとむしろ冷静に読めるから不思議です。
中盤から後半にかけて、物語がゆったりと膨らんできますので、
前半のグレーな雰囲気にあまり引きずられ過ぎずに
読み進めることをお薦めします。
全体を通してみると、なかなかいい作品だと思いましたよ。
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ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。
自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。
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- 出版社:新潮社
- ページ数:0
- ISBN:9784103080121
- 発売日:2020年09月28日
- 価格:1980円
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