シロクマといっしょにお引っ越し!?

父親の転勤にともなって外国に引越しをすることになったジョー。

外国に引越しだなんてすごい！と思ったのは最初のうちだけだった。
今､彼は思っている。
だれかと変わりたい､と。

父親が５年もの間､地球の反対側で仕事をする約束なんかしていないだれかと。
家も学校も変わるし､友だちとはなればなれになるけど､だいじょうぶ？
と､ひとり息子にひとこと聞いてくれるような両親をもつだれかと。

けれど､結局のところ､
子どものジョーにはどうすることもできないのだ。

パパとママとジョーをのせた飛行機は
見知らぬ国の見知らぬ空港に着陸し､
一家はターンテーブルの前で荷物が出てくるのを待っていたのだが､
どういうわけか待てと暮らせどジョーの荷物だけが出てこない。

代わりに流れてきたのは､ばかでかい白い毛玉！？
よく見るとビッグサイズのぬいぐるみではなく
ほんものの！生きた！シロクマだった！！
しかもボロボロのスーツケースを持っている！？
シロクマの首にもボロボロのスーツケースにも
「ミスターＰ」の名札とともに
ジョーの名前と新しい住所が書かれていた！！

ジョーも両親もとまどうが、
なんだかんだで、ミスターＰと共に新居に到着。
慣れない土地での慣れない暮らしが始まった。

元々ダジャレ好きで陽気な性格のジョーは、
ギターだってうまい。
学校に行けば友だちもできて元気が出るだろう。
そう思う一方で、むねの中で心配の虫がささやく。
ちがう国から来ればよそ者だ。
転校生もよそ者だ。
つまりおまえは二重によそ者……いや､もしかしたら三重かも。
だって車いすに乗っているんだから！と。


あたらしい家、あたらしい車
あたらしい知り合いに、まあたらしい雪！！
アイスホッケーや氷上釣りなどあたらしい体験。
そしてジョーの傍らにはいつもミスターＰが。

あれこれと騒動がもちあがっても
誰の心もあたためてしまうミスターＰだが、
友だちや大切なペットとの別れが悲しくて、
さびしさや不安に押しつぶされ､
冷たく凍りかけていたジョーの心も溶かすことができるのか！？

いつだって苦悩を抱えた子どもたちの元へと
旅するシロクマ、ミスターＰ。
シリーズ第三弾の本作では、北国に。

シロクマの本領（？）発揮の雪の中での活躍ぶりとともに
訳者苦心（？）のダジャレの嵐にも注目だ！


＜シリーズ既刊レビュー＞
・『シロクマが家にやってきた!』
・『シロクマが空からやってきた!』