休蔵さん
レビュアー:
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専門外の学術書を読むことは相当大変。でもそれは凝り固まった自分の考え方を更新させるために不可欠な行為という。それは根気と時間と好奇心があればできるそうです。
日々の生活の中で学術書を読むことなんてない。
でも、仕事上、仕事内容に関連する書籍を読むことはあり、場合によっては学術書に近いものもある。
それは当然のことながら、仕事に関連する分野に偏ることになる。
それではよくないと著者は言う。
偏った分野の書籍ばかりを読むことは思考に偏りを生み、新たに発生した問題解決に大きな阻害となってしまうことに。
そこで自分の専門とは異なる分野の学術書の読書が薦められている。
当然のことながら学術書は難解である。
それも専門外の分野の学術書となると、いよいよ厄介なほど難解になる。
しかしながら、著者はそのことを是とする。
「わかりにくい」という本を読むためには、「根気と時間と好奇心」を要するという。
つまり、それさえあれば何とか読破できるということになる。
そもそも、著者は「わかりやすい」ということを良しとしない。
「わかりやすい」ということは基礎的な知識がなくてもあっさりと読めてしまうということ。
そこから得られることは何か。
「わかりやすい」本は速読・多読に繋がる。
読破に時間がかからないからだ。
「わかりやすい」からは時間の節約が得られ、多くの本を読むことには繋がるため、さまざまな分野に触れることが可能となる。
そのことを著者は現代社会の問題と絡めて議論する。
多読・速読による問題点は2つあるという。
1つは「情報を効率的に利用し瞬時に乗り切っていく情報運用の技法が重視されるという社会的流れ」(91頁)という問題。
もう1つは「細切れにデータ化して計量し「数値化できる事柄評価する」という計量評価文化とでも言うべき思考傾向」(91頁)が蔓延している問題だ。
それでは難解な学術書を読むメリットは何か。
そこにはある種、修行のような効用があろう。
身体に負荷をかけずに身体を鍛えることはできないと著者は言うが、それは頭脳にも言えること。
そして、多角的視座を自らに設えることにも繋がる点も重要だ。
頭脳を鍛えながら、オリジナルの視座を作り上げるということが学術書を読むことのメリットとまとめることができそうだ。
それには相当の時間を要するし、根気も必要。
そしてなにより、異なる専門分野へのあくなき好奇心がなければならない。
「朝の読書運動」というものが80年代末に全国的に広がり、現在まで継続しているという。
もう四半世紀以上の時間が経過した。
しかし、大学生の過半数が1か月に1分も本を読まないそうだ。
なぜ大学進学したのか問いただしたくなるが、それが現実のようだ。
「朝の読書運動」では、楽しみのための読書が推奨されているはず。
それは読書以上の愉しみに簡単に負けてしまう。
ゲームしかり、飲酒しかり(最近は宴会を会食と呼ぶようだが)。
読書から得られることが何なのか、本を読むことの目的や意味を置き去りにした結果が大学生の読書時間に繋がっているのではないか。
学術書を読むという行為にもきちんと目的や意味を考えて着手しなければ、嫌気がさして放り出してしまいかねない。
今年は専門外の学術書をじっくり愉しむことで、凝り固まった自分の考え方を少しでも刷新するようチャレンジしてみよう。
これを読書目標として掲げたい。
でも、仕事上、仕事内容に関連する書籍を読むことはあり、場合によっては学術書に近いものもある。
それは当然のことながら、仕事に関連する分野に偏ることになる。
それではよくないと著者は言う。
偏った分野の書籍ばかりを読むことは思考に偏りを生み、新たに発生した問題解決に大きな阻害となってしまうことに。
そこで自分の専門とは異なる分野の学術書の読書が薦められている。
当然のことながら学術書は難解である。
それも専門外の分野の学術書となると、いよいよ厄介なほど難解になる。
しかしながら、著者はそのことを是とする。
「わかりにくい」という本を読むためには、「根気と時間と好奇心」を要するという。
つまり、それさえあれば何とか読破できるということになる。
そもそも、著者は「わかりやすい」ということを良しとしない。
「わかりやすい」ということは基礎的な知識がなくてもあっさりと読めてしまうということ。
そこから得られることは何か。
「わかりやすい」本は速読・多読に繋がる。
読破に時間がかからないからだ。
「わかりやすい」からは時間の節約が得られ、多くの本を読むことには繋がるため、さまざまな分野に触れることが可能となる。
そのことを著者は現代社会の問題と絡めて議論する。
多読・速読による問題点は2つあるという。
1つは「情報を効率的に利用し瞬時に乗り切っていく情報運用の技法が重視されるという社会的流れ」(91頁)という問題。
もう1つは「細切れにデータ化して計量し「数値化できる事柄評価する」という計量評価文化とでも言うべき思考傾向」(91頁)が蔓延している問題だ。
それでは難解な学術書を読むメリットは何か。
そこにはある種、修行のような効用があろう。
身体に負荷をかけずに身体を鍛えることはできないと著者は言うが、それは頭脳にも言えること。
そして、多角的視座を自らに設えることにも繋がる点も重要だ。
頭脳を鍛えながら、オリジナルの視座を作り上げるということが学術書を読むことのメリットとまとめることができそうだ。
それには相当の時間を要するし、根気も必要。
そしてなにより、異なる専門分野へのあくなき好奇心がなければならない。
「朝の読書運動」というものが80年代末に全国的に広がり、現在まで継続しているという。
もう四半世紀以上の時間が経過した。
しかし、大学生の過半数が1か月に1分も本を読まないそうだ。
なぜ大学進学したのか問いただしたくなるが、それが現実のようだ。
「朝の読書運動」では、楽しみのための読書が推奨されているはず。
それは読書以上の愉しみに簡単に負けてしまう。
ゲームしかり、飲酒しかり(最近は宴会を会食と呼ぶようだが)。
読書から得られることが何なのか、本を読むことの目的や意味を置き去りにした結果が大学生の読書時間に繋がっているのではないか。
学術書を読むという行為にもきちんと目的や意味を考えて着手しなければ、嫌気がさして放り出してしまいかねない。
今年は専門外の学術書をじっくり愉しむことで、凝り固まった自分の考え方を少しでも刷新するようチャレンジしてみよう。
これを読書目標として掲げたい。
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ここに参加するようになって、読書の幅が広がったように思います。
それでも、まだ偏り気味。
いろんな人の書評を参考に、もっと幅広い読書を楽しみたい!
この書評へのコメント
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- 出版社:京都大学学術出版会
- ページ数:0
- ISBN:9784814003013
- 発売日:2020年10月10日
- 価格:1650円
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