かもめ通信さん
レビュアー:
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この本お薦めです。ですがおそらく、この本をこれから読もうと思う方は、事前にあれこれ情報を集めずに、思い切ってページをめくり始めるのがいいでしょう。
沖縄県出身の教育学者で、『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』(2017年)の著者としても知られる琉球大学教授の上間陽子氏が2020年10月に刊行した初エッセイ集。
「Yahoo!ニュース|本屋大賞2021 ノンフィクション本大賞」の受賞スピーチが話題になったと知り、手を伸ばしてみた。
普天間基地の近くで暮らしながら、虐待やDVや暴行など、暴力で傷ついた未成年の少女たちの調査や支援に携わってきた著者が、若年層の妊娠、貧困問題、基地問題についてもとりあげた本だときいたので、きっと硬質な切れ味鋭い文章なのだろうと思っていたのだが、とても優しく柔らかな語り口に意表を突かれた。
著者はすごく他者との距離感が近い人なんだろうなと思う。
ピンチに陥ったときに駆けつけ、寄り添ってくれる友だちの多さからも、取材対象の少女たちにも慕われて、頼られれば電話1本で夜中でも飛びだしていくようなその姿勢からも、そのことがうかがえる。
そうした独特の距離感が文章にも表れていて、気がつくと著者の傍らにしゃがみ込んで膝を抱えながら、穏やかなその声をひと言も聞き漏らすまいと耳を傾けている……そんな気分になっていた。
そうして最後の最後に『海をあげる』というタイトルの意味を知ったとき、とめどなく溢れ出る涙をおさえることができなかった。
「Yahoo!ニュース|本屋大賞2021 ノンフィクション本大賞」の受賞スピーチが話題になったと知り、手を伸ばしてみた。
普天間基地の近くで暮らしながら、虐待やDVや暴行など、暴力で傷ついた未成年の少女たちの調査や支援に携わってきた著者が、若年層の妊娠、貧困問題、基地問題についてもとりあげた本だときいたので、きっと硬質な切れ味鋭い文章なのだろうと思っていたのだが、とても優しく柔らかな語り口に意表を突かれた。
著者はすごく他者との距離感が近い人なんだろうなと思う。
ピンチに陥ったときに駆けつけ、寄り添ってくれる友だちの多さからも、取材対象の少女たちにも慕われて、頼られれば電話1本で夜中でも飛びだしていくようなその姿勢からも、そのことがうかがえる。
そうした独特の距離感が文章にも表れていて、気がつくと著者の傍らにしゃがみ込んで膝を抱えながら、穏やかなその声をひと言も聞き漏らすまいと耳を傾けている……そんな気分になっていた。
そうして最後の最後に『海をあげる』というタイトルの意味を知ったとき、とめどなく溢れ出る涙をおさえることができなかった。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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- 出版社:筑摩書房
- ページ数:0
- ISBN:9784480815583
- 発売日:2020年10月29日
- 価格:1760円
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