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ぷるーと
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根岸の心(うら)町を舞台にした連作短編集。
千駄木町の一角、心町と呼ばれるそこは、ちいさな川の両脇に立ち腐れたような長屋が四つ五つかたまっている。木戸すらない場末の町だ。川は、止まったまま、流れることがない。岸辺の杭には藁屑やおちばがたまって、夏になると腐りはじめる。梅雨時には、川底から呻くような臭いがたつ。

そんな町だから、とっとと出ていきたいと思っている者がいる。そうかと思うと、ここがいいのだという者もいる。あることにとらわれて、ここから離れられなくなってしまった者もいる。

6つの話の主人公は、みな違う。共通点は、心町に住んでいるということ、心の中に屈託があること。

ちょっと明るい話もあるが、どうにもやりきれない話もある。場末の町なのだから、そりゃあそっちの方が多いに決まっている。でも、どうにもやりくれなくても、生きていくしかない。それが、「心淋し」なのだろう。

ああ・・、とため息をついて、ふう、と息を洩らして1日1日を過ごす。川に澱んでいるのは、そういったため息を抱え込んでいるからだろうか。
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ぷるーと
ぷるーと さん本が好き!1級(書評数:2932 件)

 ホラー以外は、何でも読みます。みなさんの書評を読むのも楽しみです。
 よろしくお願いします。
 

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