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かもめ通信
レビュアー:
「本も、そうなの。作り手の狙いとは関係のないところで、そこに書かれた幾ばくかの言葉を、読んだ人が自分自身に紐付けてその人だけのなにかを得るんです」(p296)
タイトルに惹かれて手にした本。

小学校に併設されたコミュニティハウスの中にある小さな図書室。

婦人服の販売員、経理担当の会社員、バリバリの雑誌編集者だったのに出産を機に資料部に配転されてしまった出版社員、ニート青年に、定年退職したばかりの人。

人生や仕事に行き詰まりを感じている人たちは、様々なきっかけで図書室を訪れる。

本を探してうろうろしていると「レファレンスは司書さんに」と薦められ、奥まったスペースをのぞき込む。
そこには大柄な身体に似合わずちまちまと絶えず手先を動かして羊毛フェルトの小物作りに励む、無愛想で目つきの鋭い司書さんがいた。

言葉数少なく無愛想な印象を与えるが、実は聞き上手なその司書さんは、思いもよらない本のセレクトと手作りの可愛い「付録」で、訪れた人の心を温め、その背中を後押ししてくれるのだ。


自分が本当に「探している物」に気がつき、明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。


優しくて温かくて柔らかい、羊毛のような感触の5つの連作短編。
それぞれなかなかの読み応えのある物語ではあるのだけれど、難を言うとちょっとばかり、本や図書室との接点が物足りないかも……と思っていたのだが、そういった不満も最後の物語でしっかり吸収してくれる。

本屋大賞ノミネートも納得の一冊だ。
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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2234 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

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