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かもめ通信
レビュアー:
ページをめくるだけで思わず頬がゆるみ幸せな気分になれる1冊。
もしもプーさんにあの挿絵がなかったなら……。
なんだかちょっと想像できない。
だってほら、もしも
A.A.ミルンの『クマのプーさん』を読んだことがなかったとしても、
E.H.シェパードの描いたプーさんを見たことがない人はいないのではなかろうか。

本書はそんなプーさんの挿絵画家として知られるE.H.シェパードが
自らの幼年時代をたっぷりのイラスト共に描いた自伝エッセイだ。

大好きな母さん、
幼い少年に画才を見いだす父さん
ピアノが上手で真面目でやさしい姉さんのエセル
いつも遊び相手だった年の近い兄さんのシリル
家族同様に暮らしていた料理人のリジー
自慢の木馬、田舎の農園で過ごす夏の休暇、
きょうだいで上演するお芝居、
みんなで過ごすクリスマス

ヴィクトリア朝後期の英国、ロンドンで少年時代を送ったシェパードが、
70年前のあれこれを回想しながら、
家族やそのまわりをとりまく人々や、当時の街並みやできごとを、
120点あまりのユーモアあふれるイラストとともに語りあげた本は、
ページをめくるだけで思わず頬がゆるみ幸せな気分になれるお薦めの1冊だ。

けれどもその一方で読者は本の冒頭で、
この幸せな記憶の後、間もなくして、
最愛の母が病に倒れ早世してしまったことも知らされていて、
この家族にとってこれが、
最も幸せな時期だったのであろうことをも知っている。
それだけになおさら、せつなく愛おしくもあるのだった。
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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2234 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

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参考になる:33票
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この書評へのコメント

  1. かもめ通信2023-01-20 19:25

    #国書刊行会 創業50周年祝読書会
    2/4まで開催中!
    https://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no428/index.html?latest=20

    レビューの他に【私の3冊】も募集中です!

  2. michako2023-01-20 21:55

    そうですね。愛しくてせつない。
    あたたかい本ですよね〜^_^

  3. かもめ通信2023-01-21 06:16

    michakoさん、これはあれ、献本に当たったつもりで思い切って買った(そして積んだままだった)本です。

    ハズレただけなら残念だったな~で済んだかもしれませんが、皆さんの絶賛レビューを読んでしまったらがまんできませんでした。(^^ゞ

  4. No Image

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