書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

献本書評
風竜胆さん
風竜胆
レビュアー:
くまのプーさんの挿絵画家の7~8歳の頃の自伝エッセイ集です。
 本書は、「くまのプーさん」の挿絵画家として知られる著者が、78歳のときに発表した自伝エッセイ集である。描かれるのは、彼が7歳~8歳までの思い出。著者の何気ない日常風景を通じて描かれる、ビクトリア朝後期のロンドンの様子だ。

 しかし、著者の記憶力には驚く。振り返って自分のことを考えると、7歳や8歳のころの記憶は殆ど残っていない。それを自分よりはるか歳をとってから、子供のころの思い出を書いているのだ。それも一冊の本にできるほど。面白かったのは5月1日に行われる「緑のジャック」のエピソード。仮装した一行の中に、女装した男がまじっており、それがよほど怖かったらしく、著者のトラウマになったようだ。(pp60-61)

 ただ心理学の教えるところによると、記憶というものは、そのまま頭の中に残っている訳ではない。色々な情報から脳が再構成するものだ。だから本当は違うということがあるかもしれない。皆さんはないだろうか。例えば同じ出来事でも自分の覚えていることと人が覚えていることが違う。懐かしい場所に行ってみると、自分の記憶にあるものと違っていたということが。

 だから書かれていることが必ずしも正確だとは思わないが、それでも、本文を線画で描かれた挿絵と一緒に読むと、ヴィクトリア朝後期の風俗がどのようなものか伺え、なかなか興味深い。挿絵もレトロな感じでなかなかいいので、これらの挿絵だけでも本書を出す意味があったと思う。
お気に入り度:本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
風竜胆
風竜胆 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2796 件)

昨年は2月に腎盂炎、6月に全身発疹と散々な1年でした。幸いどちらも、現在は完治しておりますが、皆様も健康にはお気をつけください。

参考になる:25票
共感した:3票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『思い出のスケッチブック』のカテゴリ

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ