紅い芥子粒さん
レビュアー:
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アグニというのは、ヒンドゥー教の神様です。悪い神様ではありません。が、怖い。
大正10年(1921年)「赤い鳥」1,2月号に発表された作品です。
場面ごとに、一から六に区切られ、年少者にも読みやすいように配慮されています。
お話の舞台は、上海のある街、昼でもうす暗い、ある家の二階。
人相の悪い、インド人のおばあさんが住んでいました。
おばあさんは、占い師です。よく当たると評判でした。
ある日、アメリカ人の商人が、やってきます。
日米の戦争がいつあるか、占ってほしいといいます。
それがわかれば、大もうけできるから、と。
わたしゃ、占いはやめてるんだよーー ずるそうに目を光らせるおばあさん。
お礼は、はずむからさーー 気前よく三百ドル札を財布から出す商人。
わかった、明日までに占っておいてあげるよーー おばさんは、にやりと笑って札を自分の財布にしまいます。
客が帰ると、おばあさんは、次の間に向かって「恵蓮(えれん)。恵蓮」と呼びたてました。
出てきたのは、美しいの女の子。
おばあさんの占いは、アグニの神のお告げを聞く占いです。
女の子は、神の”よりまし”に使われているのでした。
今夜十二時だよ、いいねーー おばあさんは、念を押します。
十二時ですかーー 女の子は、ぼそりとつぶやいて、窓の外を見ていました。
ちょうどそのとき、前の道から、その家の二階の窓を見上げている者がありました。
日本人の遠藤です。
窓から顔をのぞかせている女の子。遠藤は、女の子の顔に見覚えがありました。
遠藤は、その家の二階にかけ上がり、戸をドンドン、たたきました。
おばあさんがドアを開けました。
女の子を出せ、あの子は日本領事のお嬢さんだ、わたしは領事の書生だ。
お嬢さんはインド人に誘拐されて、行方不明になったんだーー
遠藤が言い立てても、おばあさんはニヤニヤわらっています。
ピストルで脅しても、わっとつかみかかっても、遠藤は、
逆におばあさんにやられてしまいます。おばあさんは魔法使いだから。
遠藤は、たまらず逃げ出してしまいました。
しかし、遠藤の出現は、女の子を勇気づけました。
女の子は、自分で自分を救うために、あるたくらみを思いつきます。
はたして、女の子は、そのたくらみを成功させることができるのか?
夜中の十二時。
遠藤は、お嬢さんのことが心配で、あの家に行きました。
押したり、たたいたり、けっとばしたりして、ドアを壊し、部屋の中に入ります。
そこで遠藤が目にした光景は……
アグニというのは、ヒンドゥー教の神様です。
悪い神様ではありません。が、怖い。
このお話では、ずるくて欲の深いおばあさんを懲らしめてくれます。
その懲らしめ方が、むごたらしくって……
まあ、神様のなさることですからね。
場面ごとに、一から六に区切られ、年少者にも読みやすいように配慮されています。
お話の舞台は、上海のある街、昼でもうす暗い、ある家の二階。
人相の悪い、インド人のおばあさんが住んでいました。
おばあさんは、占い師です。よく当たると評判でした。
ある日、アメリカ人の商人が、やってきます。
日米の戦争がいつあるか、占ってほしいといいます。
それがわかれば、大もうけできるから、と。
わたしゃ、占いはやめてるんだよーー ずるそうに目を光らせるおばあさん。
お礼は、はずむからさーー 気前よく三百ドル札を財布から出す商人。
わかった、明日までに占っておいてあげるよーー おばさんは、にやりと笑って札を自分の財布にしまいます。
客が帰ると、おばあさんは、次の間に向かって「恵蓮(えれん)。恵蓮」と呼びたてました。
出てきたのは、美しいの女の子。
おばあさんの占いは、アグニの神のお告げを聞く占いです。
女の子は、神の”よりまし”に使われているのでした。
今夜十二時だよ、いいねーー おばあさんは、念を押します。
十二時ですかーー 女の子は、ぼそりとつぶやいて、窓の外を見ていました。
ちょうどそのとき、前の道から、その家の二階の窓を見上げている者がありました。
日本人の遠藤です。
窓から顔をのぞかせている女の子。遠藤は、女の子の顔に見覚えがありました。
遠藤は、その家の二階にかけ上がり、戸をドンドン、たたきました。
おばあさんがドアを開けました。
女の子を出せ、あの子は日本領事のお嬢さんだ、わたしは領事の書生だ。
お嬢さんはインド人に誘拐されて、行方不明になったんだーー
遠藤が言い立てても、おばあさんはニヤニヤわらっています。
ピストルで脅しても、わっとつかみかかっても、遠藤は、
逆におばあさんにやられてしまいます。おばあさんは魔法使いだから。
遠藤は、たまらず逃げ出してしまいました。
しかし、遠藤の出現は、女の子を勇気づけました。
女の子は、自分で自分を救うために、あるたくらみを思いつきます。
はたして、女の子は、そのたくらみを成功させることができるのか?
夜中の十二時。
遠藤は、お嬢さんのことが心配で、あの家に行きました。
押したり、たたいたり、けっとばしたりして、ドアを壊し、部屋の中に入ります。
そこで遠藤が目にした光景は……
アグニというのは、ヒンドゥー教の神様です。
悪い神様ではありません。が、怖い。
このお話では、ずるくて欲の深いおばあさんを懲らしめてくれます。
その懲らしめ方が、むごたらしくって……
まあ、神様のなさることですからね。
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読書は、登山のようなものだと思っています。読み終わるまでが上り、考えて感想や書評を書き終えるまでが下り。頂上からどんな景色が見られるか、ワクワクしながら読書という登山を楽しんでいます。
この書評へのコメント
- noel2021-02-14 19:46
今日も読み返して色々考えてみましたが、いまひとつ、よい知恵が浮かんできません。やはり、紅い芥子粒さんの言うように「芥川恐るべし」でいいのかな。
なかには、芥川は若すぎて思い付きを軽薄に書いているに過ぎないっていう意見のひとは
いるけれど、「芥川賞」という名誉ある賞があるくらいの人物。並みの頭では評価できないところもあると思います。若いからこそ書ける。若くあってしか書けない部分ってあると思います。
わたしも極力、面白くひとに興味をもってもらえるように腐心して書いていますが、小説の神さまが降りてきたときでないと書けない自分がいます。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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- ISBN:B009B083YU
- 発売日:2012年09月14日
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