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たけぞう
レビュアー:
歌人/詩人/小説家の書くエッセーって面白いのな。
ショートカット先「氷柱の声」が芥川賞候補となり、
読んでびっくりしました。おかわりでこの作品を手に取りました。

著者は短歌会に所属していて、歌人、詩人、小説家のいずれでもある人です。
特別になにかを意識してはおらず、広い意味で物書きと思っているようです。
この作品はエッセーです。
著者の価値観や考え方を通じ、人となりが想像できて楽しいです。

秩父で野宿というお話を紹介します。
盛岡短歌甲子園という高校生短歌バトルがあります。
ボランティアで遠方から学生歌人が集い、
著者は現地の案内役をやっています。

参加者の一人が短歌研究新人賞を受賞していて、
短歌甲子園ボランティアの打ち上げは受賞祝いも兼ねたものとなりました。
高校生には恋の短歌が多い、でも自分の恋ではなくイメージ上の恋愛を詠んで
月並みになってしまうと話しています。
その時、新人賞受賞の人がつぶやきました。

「ってか、思うんですけど。本当に好きだったら『好き』とか
言えなくないっすか」

そこにいた全員が、砂のお城が崩れるように居酒屋のテーブルに
突っ伏したのです。ええ、もちろん読んでいるわたしも
座っている椅子からがたりと落ちる気持ちでしたよ。

話は続きます。
お盆だから宿を取るのに苦労したでしょうという話に、
まあ野宿よりはマシですよの言葉。
ここでスルーせずに話を広げるのが、歌人のみなさまならではです。

その人は本当に野宿したことがあったのです。秩父の川原で。
いいなあという言葉に、二度とごめんですの返しです。
野宿ってどこでチェックインすればいいんだろうねという
ネタ振りで火がつきます。
風にチェックイン。河川敷ならキーレス。朝陽無料。雑草食べ放題。
川面の光堪能プラン。リバーサイドホテル。

まあ、出るわ出るわ。素敵な友だちがいっぱいいてうらやましいです。
でも短歌を作らない友人にはドン引きされるみたいで、
そんなギャップを楽しめる著者はとても魅力的です。

別のお話からもう一つだけ。
仲良くしている人が就職面接で友人を動物にたとえてくれと言われ、
エリマキトカゲと答えたのも最高です。
勇ましく駆け抜けていく感じと説明したと友人は答えましたが、
本人的には崖っぷちの威嚇で命からがらの猛ダッシュなのです。

イメージががっつり伝わりました。
今後も大注目の人です。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1466 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。

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この書評へのコメント

  1. かもめ通信2021-10-26 22:21

    いいですよね!くどうれいんさん!
    既にお読みかもしれませんが、新聞の寄稿記事を賑やかしに貼っていきます。
    https://www.sankei.com/article/20211024-BZOQPYHVS5L33EM6POQGQBQXCQ/

  2. たけぞう2021-10-27 00:12

    >かもめ通信さん
    情報ありがとうございます。読んできましたよ。くどうさんらしい、人柄がよく分かる素敵な記事ですね。楽しみな作家さんが増えて嬉しいです。

  3. No Image

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