darklyさん
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中年の本棚とは中年の萩原魚雷さんの本棚にどんな本があるかということではなく萩原さんの本棚にある中年に関する本を元にしたエッセイ。
本書は文筆家である萩原魚雷さんが所有する主に中年に関する様々な人のエッセイを元に中年に関して論考したものです。「中年の本棚」として雑誌に連載していたものを書籍化したものです。
全体を通じてピンと来るものが少なかった印象があります。多分それは世代がほとんど同じでも就職をせず古本のせどりや文筆によって苦しい時期を乗り越えて今に至る萩原さんと安定はしているが所詮しがないサラリーマンである私との差ではないかと思います。
その中でもなるほどと思ったものについて何点かご紹介します。
【プロ棋士の“四十歳”本】
将棋の谷川浩司、羽生善治さんの著作をもとに書かれた論評ですが、二人に共通する考え方として負けた時も次の対局にダメージを引きずらないというのがあります。勝ち負けではなく内容を問題とすることにより良い負けにできれば次の勝負の糧にできるということだろうと思います。これは勝負事全般に言える真理で、スポーツで失敗したり負けたことについて言い訳めいたことをいつまでも言っている人や麻雀でも上がれなかった手を悔しがっていつまでも解説する人がいますがそのような人で強い人は見たことがありません。
一流のスポーツ選手の中には失敗したり負けたことについて次頑張りますとあまり気にしていない様子の人がいますがそれは正しい態度だと思います。日本ではとかく「もっと反省の色を見せろ」的な風潮がありますがそれは全く勝負事が分かっていないと言えます。もっとも競技以外のところでやらかした人には反省してもらわないといけませんが。
【「輝く中年」の孤独】
この章で紹介された「世界一孤独な日本のオジサン」という本の中で「日本のオジサン」は「コミュ力」が貧困な人が多いとあります。嫌われるオジサンの例として「むっつりオヤジ」「威張るオヤジ」「ダメ出しオヤジ」「説教オヤジ」「昔話オヤジ」「自慢オヤジ」「キレるオヤジ」「文句オヤジ」が紹介されていますがどれも人とのコミュニケーションの問題です。
この章でのもう一つ紹介されている「輝く中年の星になれ!」の著者の神足裕司さんは話上手な人は「相手への思いやりという想像力がある人」であり話下手な人は「聴く人の気持ちが想像できない人だ」と言います。なるほど!目からウロコが。
以前から私はキャバクラ等、若い女性と話さないといけない店に行くのが苦痛で仕事上必要な場合以外には行きません。そのような店にハマる同年代の人が理解できなかったのですがなるほど分かりました。全く話が合わない若い女性を相手にしても私はなんとかコミュニケーションを取ろうと努力して疲れていたのかと納得しました。何か共通の話題はないか、分かるように話さなければと常に考えてしまうのです。そうか自分の言いたいことだけを言えばいいんですね。だってこっちはお金を払っているのだから。私ちょっと「自慢オヤジ」になっていますかね。
【「ガンダム世代」、中年になる】
この章では上下関係や組織の論理を重視するガンダム世代の上司が自由や仲間を重視する「ONE PIECE」世代の部下を型に嵌めようとしても上手くいかない等、私のようなガンダム世代の様々な葛藤が語られます。その中でホワイトベースは中小企業っぽいというのが私に刺さりました。
よく考えてみると
ホワイトベースは元請会社(地球連邦)からいつも無理難題を押し付けられ常に人材不足で乗組員(社員)はつべこべいう暇もなく事務社員(操縦系)も場合によっては営業(出撃)に回される。そして乗組員はまるで昭和のアットホームな中小企業の社員のようです。
ブライト・・「艦長(社長)でありながら父親のような役割も担っている。」
ミライ・・・「ブライトと同じように母親っぽい」
アムロ・・・「学生気分がなかなか抜けない甘え社員。ストレスから五月病のようになったり天狗になったり。」
カイ・・・・「どこにでもいる最初からひねくれた新入社員」
セイラ・・・「職場指導員のような頼りになるお姉さん。しかしライバル企業に兄がいる。」
こんな感じでしょうか?
萩原さんは若い頃は小説を読むことが多くなったが世の中のことが分かるにつれノンフィクションを読むことが多くなったと言っています。私は今も昔もどちらも読みますがむしろノンフィクションが少なめになってきました。若い頃は読んだ本が唯一の真実だと思い込みがちでありましたが、現実はそうでないことが多く、またノンフィクションの中には特定のイデオロギーや結論ありきで組み立てられているものも多いことに気付いたからです。
全体を通じてピンと来るものが少なかった印象があります。多分それは世代がほとんど同じでも就職をせず古本のせどりや文筆によって苦しい時期を乗り越えて今に至る萩原さんと安定はしているが所詮しがないサラリーマンである私との差ではないかと思います。
その中でもなるほどと思ったものについて何点かご紹介します。
【プロ棋士の“四十歳”本】
将棋の谷川浩司、羽生善治さんの著作をもとに書かれた論評ですが、二人に共通する考え方として負けた時も次の対局にダメージを引きずらないというのがあります。勝ち負けではなく内容を問題とすることにより良い負けにできれば次の勝負の糧にできるということだろうと思います。これは勝負事全般に言える真理で、スポーツで失敗したり負けたことについて言い訳めいたことをいつまでも言っている人や麻雀でも上がれなかった手を悔しがっていつまでも解説する人がいますがそのような人で強い人は見たことがありません。
一流のスポーツ選手の中には失敗したり負けたことについて次頑張りますとあまり気にしていない様子の人がいますがそれは正しい態度だと思います。日本ではとかく「もっと反省の色を見せろ」的な風潮がありますがそれは全く勝負事が分かっていないと言えます。もっとも競技以外のところでやらかした人には反省してもらわないといけませんが。
【「輝く中年」の孤独】
この章で紹介された「世界一孤独な日本のオジサン」という本の中で「日本のオジサン」は「コミュ力」が貧困な人が多いとあります。嫌われるオジサンの例として「むっつりオヤジ」「威張るオヤジ」「ダメ出しオヤジ」「説教オヤジ」「昔話オヤジ」「自慢オヤジ」「キレるオヤジ」「文句オヤジ」が紹介されていますがどれも人とのコミュニケーションの問題です。
この章でのもう一つ紹介されている「輝く中年の星になれ!」の著者の神足裕司さんは話上手な人は「相手への思いやりという想像力がある人」であり話下手な人は「聴く人の気持ちが想像できない人だ」と言います。なるほど!目からウロコが。
以前から私はキャバクラ等、若い女性と話さないといけない店に行くのが苦痛で仕事上必要な場合以外には行きません。そのような店にハマる同年代の人が理解できなかったのですがなるほど分かりました。全く話が合わない若い女性を相手にしても私はなんとかコミュニケーションを取ろうと努力して疲れていたのかと納得しました。何か共通の話題はないか、分かるように話さなければと常に考えてしまうのです。そうか自分の言いたいことだけを言えばいいんですね。だってこっちはお金を払っているのだから。私ちょっと「自慢オヤジ」になっていますかね。
【「ガンダム世代」、中年になる】
この章では上下関係や組織の論理を重視するガンダム世代の上司が自由や仲間を重視する「ONE PIECE」世代の部下を型に嵌めようとしても上手くいかない等、私のようなガンダム世代の様々な葛藤が語られます。その中でホワイトベースは中小企業っぽいというのが私に刺さりました。
よく考えてみると
ホワイトベースは元請会社(地球連邦)からいつも無理難題を押し付けられ常に人材不足で乗組員(社員)はつべこべいう暇もなく事務社員(操縦系)も場合によっては営業(出撃)に回される。そして乗組員はまるで昭和のアットホームな中小企業の社員のようです。
ブライト・・「艦長(社長)でありながら父親のような役割も担っている。」
ミライ・・・「ブライトと同じように母親っぽい」
アムロ・・・「学生気分がなかなか抜けない甘え社員。ストレスから五月病のようになったり天狗になったり。」
カイ・・・・「どこにでもいる最初からひねくれた新入社員」
セイラ・・・「職場指導員のような頼りになるお姉さん。しかしライバル企業に兄がいる。」
こんな感じでしょうか?
萩原さんは若い頃は小説を読むことが多くなったが世の中のことが分かるにつれノンフィクションを読むことが多くなったと言っています。私は今も昔もどちらも読みますがむしろノンフィクションが少なめになってきました。若い頃は読んだ本が唯一の真実だと思い込みがちでありましたが、現実はそうでないことが多く、またノンフィクションの中には特定のイデオロギーや結論ありきで組み立てられているものも多いことに気付いたからです。
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昔からずっと本は読み続けてます。フィクション・ノンフィクション問わず、あまりこだわりなく読んでます。フィクションはSF・ホラー・ファンタジーが比較的多いです。あと科学・数学・思想的な本を好みます。
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- 出版社:紀伊國屋書店
- ページ数:0
- ISBN:9784314011754
- 発売日:2020年07月31日
- 価格:1870円
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