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DBさん
DB
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百合紋に隠された秘密の話
舞台はフランス、ブルボン王朝の黄金期。
若かりしルイ十四世が宰相マザランの死をきっかけに親政をはじめ絶対王政へとのぼりつめるきっかけを描いた小説です。
物語はルイ十三世が死の床に就いているときから始まる。
マザランは王の密命を受け、ひとりの少年をパリの南の田舎にある館からイングランドのジャージィ島へと移すために馬車に揺られていた。
その途中で赤子を養護院へと運んでいた男を馬車で轢いてしまい、男が担いでいたらしい赤子と共に少年ジェームズをイングランドへ送る手配を整えた。

そして十数年後。
マリエールは褐色の巻き毛と黒い瞳の穏やかで芯の強い娘に育っていた。
ジェームズの乳母だったペロネッタ夫人を母と呼び、ペロネッタ夫人が結婚して産んだマノンを妹に不安定な家庭の中で暮らしている。
そしてイングランド王家の血の流れを汲むカータレット家の養子となったジェームズは、金髪にセルリアンブルーの瞳の美しい青年になっていた。

孤児だったマリエールの肩には百合の紋章と彼女の名前が刻印されていた。
赤子の時の記憶なのか、夢に出てくる風景がパリのマレ地区にある広場であることを知ったマリエールは自分の出生の謎を追う決意をする。
だがその直前、ジェームズはフランスから彼の身柄を引き渡すようにと強く迫ってきた男から逃れて姿を消していた。

旅の途中で重病人を見に行く医者と出会い、手持ちの薬草を提供して助手としてついていったマリエールは貴族の取り巻きを従えたジェームズにそっくりの男と出会った。
病床にあったルイと呼ばれる男を看病し、マリエールはそれがフランス国王であることを知る。
だがなぜジェームズはルイとここまで似ているのだろうか。

ルイ十四世といえば双子の陰謀がついて回るが、ビジュアルを美化してさらに血のつながらない姉妹と日陰の青年との三角関係をもってきてドラマチックに仕上げている。
離れて生死もわからないジェームズと、ひたむきに彼女を求めるルイのあいだでマリエールの心が揺れるさまを描いています。
ルイの側近がプラチナブロンドの女ったらしと、いつも冷静で切れ者の二人組なのは藤本作品の恒例ですね。

ラストが意外と言えば意外だったけど、とり方によっては都合よくいらない者を片付けてハッピーエンドに持っていった感もあり。
あと登場人物が年齢低めなのもあり重みにかけるが、単純に恋愛小説と思って一気に読み通しました。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2030 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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この書評へのコメント

  1. あかつき2020-10-08 11:22

    「ルイの側近がプラチナブロンドの女ったらしと、いつも冷静で切れ者の二人組」w
    あと,子猫系少年(テーヌ・フォレーヌのエリス,銀バラのアキ)がいたら完璧ですねっ

  2. DB2020-10-08 11:59

    確かに。いつもハーレムなのは読者向けなのか作者の妄想なのか...

  3. 星落秋風五丈原2020-10-08 20:35

    DBさんみなさん、こんばんは。私はこちらの本を読んだ後漫画で読みました。

  4. DB2020-10-08 21:11

    コバルトから大人向けへの過渡期、まさにその通りだと思います

  5. No Image

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