efさん
レビュアー:
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これおかしいってば……でも……もしかしたら怖い?
なんとも人を喰ったようなタイトルの作品です。いやね、ネットで本を色々検索していて、この作者の作品にぶち当たり、さらに深堀りしていたらこの作品が出てきたんですよ。
なんだ~、このタイトルは!
図書館蔵書を検索したら、あらま、あるじゃないですか。
ということで借りて来てみましたよ。
う~ん……なんなんだ、この展開は……。
主人公は働いて貯めた小金を持って、東へ(どこか、まあ、インド辺りへでも……)行こうか、などと考え、その前のしばらくの日々をこのキャンプ場で過ごすことにしたのです。
テントを張って、まあつつましく生活していたのですが、そろそろ観光シーズンも終わり、気がついてみればキャンプ場に残っているのは自分一人になってしまいました。
そろそろ僕も出かけようか……などと考えていた時、キャンプ場のオーナーがやって来ました。「これまでの代金を払ってもらっていいかな?」
オーナーとちょっとした世間話をしていた時、「そうか、そろそろ立つのか。君はペンキ塗りは得意だろうか? あと1週間残ってあそこのフェンスを塗ってくれたらその間のキャンプ代はタダにするけれど……」ともちかけられたのです。
まあ、急ぐ旅でも無し、気の良い彼は「いいですよ」と気軽に引き受けたのです。
彼がペンキ塗りを始めるとその事は周囲の住人にはすぐに知れ渡ったようで(まあ、小さな村ですから)、キャンプ場近くにあるお気に入りのパブに顔を出すとみんなそのことは知っているみたいなのです。このパブには彼がお気に入りのビールを置いてありますし、ダーツで遊ぶのも楽しいのでした。常連のみんなも気さくですし。
ただ……ジョークかもしれませんが、「オーナーの機嫌を損ねない方がいいぞ。」、「あいつキレると怖いから。」なんていうことも言われるのですが、そうだろうか? そんな感じには見えないけれど……。
主人公がフェンスを緑色のペンキで塗り終えると(ちょっとした失敗もあったので、怒られるかとヒヤヒヤだったのですが)、オーナーは特に何も言いませんでした。キレるなんてやっぱりジョークだったんだ……。
オーナーは、悪いけどちょっと手を貸してくれないか? と言い、片手間仕事を手伝ってくれと言います。やってくれたらあのキャンピングカーに泊ってくれてもいいから。まあ良いですよその位は。
オーナーの娘がキャンピングカーに訪ねて来ます。あの……この宿題のここが分からないんだけど……。簡単な算数の問題だったので、「あー、いいよ。見てあげる。」
こうして、彼は次から次へと持ち込まれる小さな仕事を手伝うようになっていくのです。
おいおい、旅はどうするんだよ……。
まあ、お人よしなのでしょうけれど……。毎晩顔を出す行きつけのパブも楽しいし。
その内、パブでの支払いは「あー、ツケで良いよ。あとで払ってくれたらいいから。」と言われたり、持ち込まれる仕事がどんどん本格化していったり……。
彼、完全に取り込まれて行きますよ。しかも、よくよく考えると若干の待遇改善がある程度で、ほぼほぼタダ働きじゃないですかぁ。気づけよ!
という、なんともケッタイな話なのです。
そうして……さらに仕事が増え、遂に彼はこの村の牛乳配達人にまでなってしまうのです。
なんだこりゃ~! このおかしなタイトルとどう関係するんだ?
でも、妙に読みやすいのでついつい先を読んでしまうのです。気がつけば……読了おめでとう!
実に変な話だった……。
こりゃもう、この珍妙なタイトルはさしたる意味もなく勢いとノリでつけただけだろう! と思い、巻末解説を読んでみると……。このおかしなタイトルには裏があるというのです。
もちろんここを読んでいる皆さんは当然お気づきのとおり、本書のタイトルは『オリエント急行殺人事件』/クリスティと、『西部戦線異状なし』/レマルクをくっつけたものなのですが、裏タイトルを考えると……『西部戦線殺人事件』となるじゃないか! と言うのですよ。解説者は「詳しくは本書を読んでのお楽しみ」と言うのですが……え? どういうこと? あの場面を指しているの? そりはあまりにもゴーインでは……いや、私は何か読み落としたか……。
さらに解説者は「いやいや、『オリエント急行殺人事件』や『西部戦線異状なし』自体を彷彿とさせるところもあるよ~」と言うのだけれど、どこのことだ!
え゛~、穿って読めば、まあ、『オリエント……』はこのミステリの肝トリックのそういう含みなのか?
『西部戦線……』どこが? あるいは……こういうことなのか?
ふつーは巻末解説を読むと、自分が気付けなかった部分を指摘してもらえたりして大変参考になる場合が多いのですが、今回はさらに謎が深まってしまった!
え゛~、どういうことなのよぉ(本作を読んだ方、教えて!)。
ということで……なんだかとってもおかしな本を読んでしまった~という感じなのだ。
面白いか? と言われたら、まあ好き好きなんですけれど、それほどとは……と思いながらこのレビューを書いているのですが、あ……なんか来た……。
あれ……、もしかしたらこの作品ってすっごく怖いこと書いてた?……。
読了時間メーター
□□ 楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK):2023/04/23
なんだ~、このタイトルは!
図書館蔵書を検索したら、あらま、あるじゃないですか。
ということで借りて来てみましたよ。
う~ん……なんなんだ、この展開は……。
主人公は働いて貯めた小金を持って、東へ(どこか、まあ、インド辺りへでも……)行こうか、などと考え、その前のしばらくの日々をこのキャンプ場で過ごすことにしたのです。
テントを張って、まあつつましく生活していたのですが、そろそろ観光シーズンも終わり、気がついてみればキャンプ場に残っているのは自分一人になってしまいました。
そろそろ僕も出かけようか……などと考えていた時、キャンプ場のオーナーがやって来ました。「これまでの代金を払ってもらっていいかな?」
オーナーとちょっとした世間話をしていた時、「そうか、そろそろ立つのか。君はペンキ塗りは得意だろうか? あと1週間残ってあそこのフェンスを塗ってくれたらその間のキャンプ代はタダにするけれど……」ともちかけられたのです。
まあ、急ぐ旅でも無し、気の良い彼は「いいですよ」と気軽に引き受けたのです。
彼がペンキ塗りを始めるとその事は周囲の住人にはすぐに知れ渡ったようで(まあ、小さな村ですから)、キャンプ場近くにあるお気に入りのパブに顔を出すとみんなそのことは知っているみたいなのです。このパブには彼がお気に入りのビールを置いてありますし、ダーツで遊ぶのも楽しいのでした。常連のみんなも気さくですし。
ただ……ジョークかもしれませんが、「オーナーの機嫌を損ねない方がいいぞ。」、「あいつキレると怖いから。」なんていうことも言われるのですが、そうだろうか? そんな感じには見えないけれど……。
主人公がフェンスを緑色のペンキで塗り終えると(ちょっとした失敗もあったので、怒られるかとヒヤヒヤだったのですが)、オーナーは特に何も言いませんでした。キレるなんてやっぱりジョークだったんだ……。
オーナーは、悪いけどちょっと手を貸してくれないか? と言い、片手間仕事を手伝ってくれと言います。やってくれたらあのキャンピングカーに泊ってくれてもいいから。まあ良いですよその位は。
オーナーの娘がキャンピングカーに訪ねて来ます。あの……この宿題のここが分からないんだけど……。簡単な算数の問題だったので、「あー、いいよ。見てあげる。」
こうして、彼は次から次へと持ち込まれる小さな仕事を手伝うようになっていくのです。
おいおい、旅はどうするんだよ……。
まあ、お人よしなのでしょうけれど……。毎晩顔を出す行きつけのパブも楽しいし。
その内、パブでの支払いは「あー、ツケで良いよ。あとで払ってくれたらいいから。」と言われたり、持ち込まれる仕事がどんどん本格化していったり……。
彼、完全に取り込まれて行きますよ。しかも、よくよく考えると若干の待遇改善がある程度で、ほぼほぼタダ働きじゃないですかぁ。気づけよ!
という、なんともケッタイな話なのです。
そうして……さらに仕事が増え、遂に彼はこの村の牛乳配達人にまでなってしまうのです。
なんだこりゃ~! このおかしなタイトルとどう関係するんだ?
でも、妙に読みやすいのでついつい先を読んでしまうのです。気がつけば……読了おめでとう!
実に変な話だった……。
こりゃもう、この珍妙なタイトルはさしたる意味もなく勢いとノリでつけただけだろう! と思い、巻末解説を読んでみると……。このおかしなタイトルには裏があるというのです。
もちろんここを読んでいる皆さんは当然お気づきのとおり、本書のタイトルは『オリエント急行殺人事件』/クリスティと、『西部戦線異状なし』/レマルクをくっつけたものなのですが、裏タイトルを考えると……『西部戦線殺人事件』となるじゃないか! と言うのですよ。解説者は「詳しくは本書を読んでのお楽しみ」と言うのですが……え? どういうこと? あの場面を指しているの? そりはあまりにもゴーインでは……いや、私は何か読み落としたか……。
さらに解説者は「いやいや、『オリエント急行殺人事件』や『西部戦線異状なし』自体を彷彿とさせるところもあるよ~」と言うのだけれど、どこのことだ!
え゛~、穿って読めば、まあ、『オリエント……』はこのミステリの肝トリックのそういう含みなのか?
『西部戦線……』どこが? あるいは……こういうことなのか?
ふつーは巻末解説を読むと、自分が気付けなかった部分を指摘してもらえたりして大変参考になる場合が多いのですが、今回はさらに謎が深まってしまった!
え゛~、どういうことなのよぉ(本作を読んだ方、教えて!)。
ということで……なんだかとってもおかしな本を読んでしまった~という感じなのだ。
面白いか? と言われたら、まあ好き好きなんですけれど、それほどとは……と思いながらこのレビューを書いているのですが、あ……なんか来た……。
あれ……、もしかしたらこの作品ってすっごく怖いこと書いてた?……。
読了時間メーター
□□ 楽勝(1日はかからない、概ね数時間でOK):2023/04/23
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幻想文学、SF、ミステリ、アート系などの怪しいモノ大好きです。ご紹介レビューが基本ですが、私のレビューで読んでみようかなと思って頂けたらうれしいです。世界中にはまだ読んでいない沢山の良い本がある!
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- 出版社:DHC
- ページ数:0
- ISBN:9784887243095
- 発売日:2003年05月01日
- 価格:1870円
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