darklyさん
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知の巨人と言われる立花隆さんの半生を自身の著作を絡めて語った回顧録。読んでいない面白そうな本がまだまだいっぱいあります。
本書は立花隆さんの半生をベースに社会人になるまでに読んだ本そして文芸春秋に勤め始めて現在に至るまでの読書及び自身の著作についての回顧録のようなものです。どちらかというと著作にまつわる話が多く立花さんの本が好きな人にはとても楽しい読み物となっています。
知の巨人と言われる立花さんだけに著作の分野は政治系、(宇宙)科学系、宗教系、芸術系と多岐に渡り、しかもどれを読んでもその中身の濃さと熱量に圧倒されます。しかし立花さんの頭脳と熱意をもってしても著作一つ一つは様々な困難や紆余曲折を経なければ世に出ないわけでその時に立花さんがどのような経験をしたのか、どのようなことを考えていたのかよく分かります。
立花さんが世に出るきっかけとなったのは「田中角栄研究」です。もちろん田中角栄自体を悪と断じることに異論はないのですが、例えば清貧を売りにした村山富市のような人が戦後ずっと首相であったとして今の日本があっただろうかとも思うのです。どれだけ綺麗ごとを言ったところで世の中は一皮むけば欲の塊、外交などは更に汚い戦い、そもそも資本主義自体がそれを肯定しているわけです。個人の評価は別として一応先進国の仲間入りをして経済大国になった歴史の中に田中角栄もいるわけで戦後の日本を肯定するのであれば結果的に田中角栄もその一端を担っていたとも言えるような気がします。
『「言論の自由」vs「●●●●」』ではなるほどと思うことが沢山あるのですが一つだけ紹介しますと現実的悪意をもって虚偽の事実を広めたり、侮辱したり、攻撃したりしなければ多少のウソや行き過ぎがあっても言論の自由は許されると言ったアメリカの判事の話です。
その他にも魅力的な本が沢山紹介されています。芸術関係では「エーゲ 永遠回帰の海」、日本が誇る世界的作曲家の超ロングインタビューをもとに書かれた「武満徹・音楽創造への旅」なども絶対読みたい本です。(実は途中で止まってます)
現在はがんも患っておられ、そのほか心臓等にも問題があって健康状態が非常に心配な立花さんが現在書いている本が「形而上学」。是非とも読んでみたい!未完のまま終わらないように頑張って長生きしてほしいと思います。
有能なリーダーがいる独裁主義は機能する場合にはとても有効でしょう。昨今のコロナ対策でも強力な策をとても迅速に打てます。しかし無能あるいは歪んだリーダーになった途端に破滅まで突き進んでしまいます。民主主義は色々な権力者を生みますし、言論の自由は行きすぎることもあります。でもその都度反省ができるのが民主主義。多少のブレがあったとしても我々は進むべきメインストリーム近辺にいることを願っています。
知の巨人と言われる立花さんだけに著作の分野は政治系、(宇宙)科学系、宗教系、芸術系と多岐に渡り、しかもどれを読んでもその中身の濃さと熱量に圧倒されます。しかし立花さんの頭脳と熱意をもってしても著作一つ一つは様々な困難や紆余曲折を経なければ世に出ないわけでその時に立花さんがどのような経験をしたのか、どのようなことを考えていたのかよく分かります。
立花さんが世に出るきっかけとなったのは「田中角栄研究」です。もちろん田中角栄自体を悪と断じることに異論はないのですが、例えば清貧を売りにした村山富市のような人が戦後ずっと首相であったとして今の日本があっただろうかとも思うのです。どれだけ綺麗ごとを言ったところで世の中は一皮むけば欲の塊、外交などは更に汚い戦い、そもそも資本主義自体がそれを肯定しているわけです。個人の評価は別として一応先進国の仲間入りをして経済大国になった歴史の中に田中角栄もいるわけで戦後の日本を肯定するのであれば結果的に田中角栄もその一端を担っていたとも言えるような気がします。
『「言論の自由」vs「●●●●」』ではなるほどと思うことが沢山あるのですが一つだけ紹介しますと現実的悪意をもって虚偽の事実を広めたり、侮辱したり、攻撃したりしなければ多少のウソや行き過ぎがあっても言論の自由は許されると言ったアメリカの判事の話です。
宗教や政治の世界には、きわめて大きな見解の相違がある。ある人にとっては侵すべからざる最高教義が、他の人にとっては許すべからざる誤った見解だ。人は、他人を自分の見解に従わせようとするときには、しばしば、誇張に走るし、宗教指導者や政治指導者を中傷したりする。虚偽をいったりさえする。しかし、この国の人々は、言論表現の自由が、時に行きすぎや、悪用乱用があっても、長い目で見れば、民主主義社会に住む人々の考えと行いを、よりよい方向へ導いていくのに不可欠であったし、これからも不可欠であるということを知っている。至言だと思います。この話を少し応用すると田中角栄の金権政治や権力乱用も長い目で見れば日本をよりよい方向へ導いていく上での一つの歴史的反省でありその意味で価値があるものであったと考えることができないだろうかと思います。その後田中角栄ほどの金権政治家が出ていないという意味で。
その他にも魅力的な本が沢山紹介されています。芸術関係では「エーゲ 永遠回帰の海」、日本が誇る世界的作曲家の超ロングインタビューをもとに書かれた「武満徹・音楽創造への旅」なども絶対読みたい本です。(実は途中で止まってます)
現在はがんも患っておられ、そのほか心臓等にも問題があって健康状態が非常に心配な立花さんが現在書いている本が「形而上学」。是非とも読んでみたい!未完のまま終わらないように頑張って長生きしてほしいと思います。
有能なリーダーがいる独裁主義は機能する場合にはとても有効でしょう。昨今のコロナ対策でも強力な策をとても迅速に打てます。しかし無能あるいは歪んだリーダーになった途端に破滅まで突き進んでしまいます。民主主義は色々な権力者を生みますし、言論の自由は行きすぎることもあります。でもその都度反省ができるのが民主主義。多少のブレがあったとしても我々は進むべきメインストリーム近辺にいることを願っています。
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昔からずっと本は読み続けてます。フィクション・ノンフィクション問わず、あまりこだわりなく読んでます。フィクションはSF・ホラー・ファンタジーが比較的多いです。あと科学・数学・思想的な本を好みます。
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- 出版社:文藝春秋
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- ISBN:B083W1R95F
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- 価格:1000円
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