darklyさん
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読んでいない名著が世の中には沢山あると実感させられました。あまり科学の本を読んでいないが興味のある方にはなおのことお薦めできる面白い本です。
本書は科学を分かりやすく紹介してくれると定評のあるサイエンスライター竹内薫さんによる科学の名著の紹介というよりは彼自身が好きでたまらないといった本への愛情溢れるエッセイ風の読み物となっています。主な内容としては大きなテーマ、「地球環境」「科学者」「物理」「数学」毎に複数の本を紹介していきながら全く予備知識がない方にも分かりやすくイメージしやすいよう書かれています。
「地球環境」の章では「刷り込み」で有名なコンラート・ローレンツの「ソロモンの指環」やレイチェル・カーソンの「沈黙の春」などのおなじみの本が紹介されているのですが、私が面白いと思ったのがジェームズ・ラブロックの「ガイアの復讐」という本の紹介です。
どこにも所属しないフリーの科学者であったラブロックは環境保全派にも関わらず原発推進派でした。つまりそれほど二酸化炭素が恐ろしいということです。そして冷静にデータを分析し発電の燃料に何を使うかによってどれだけ死者がでているか分析します。発電するための発電所の建設からはじまり燃料採掘、災害までトータルに比較した場合圧倒的に原子力の死者数が少ないといいます。
もちろんラブロックは原発を賛美するわけではなく現状は原子力発電で乗り切りましょうということです。将来最も期待されるのは核融合による発電ですね。しかしなかなか実現は難しいようです。人工的に核融合を起こすことはできますが起こすために高いエネルギーが必要なので現状採算が取れません。1単位の電気作るために2単位の電気使っていたのではお笑いとなってしまいます。
思い出したのが10年以上前に、上司とともに車にのってお客さんのところへ車を走らせていた時、風力発電の風車が回っているのを見て上司が私に「〇〇くん、あの風車は電気で回っているのかな?」と真面目に聞いてきて噴出したことです。
で竹内さんは福島原発を踏まえた現時点での解決策は、リチウム電池とNAS電池を組み合わせて再生可能エネルギーを貯めておくというものです。実際研究が進められているようです。
「宇宙」の章ではスーパーカミオカンデの小柴昌俊「ニュートリノ天体物理学入門」やルディ・ラッカー「四次元の冒険」が紹介されています。物理学者には二種類あり、小柴さんのような実験系と湯川秀樹さんや朝永振一郎さんのような理論系です。理論系の人は数学が得意な方が多く、数学的な正しさから世界はこうなっていると考え、実験系の人がそれを実証するという流れになっています。以前の書評でも書いたのですが、ここでの不思議はなんと言っても純粋に抽象的な数学がなぜ世界を記述するということが起こるのかということです。
竹内さんは
その他、読んだことがなく興味をそそられる本が沢山紹介されていましたが、私も去年読んだ加藤文元「宇宙と宇宙をつなぐ数学」について竹内さんは私がここ数十年で読んだ一般向け数学本のベスト1と書いています。納得します。
「地球環境」の章では「刷り込み」で有名なコンラート・ローレンツの「ソロモンの指環」やレイチェル・カーソンの「沈黙の春」などのおなじみの本が紹介されているのですが、私が面白いと思ったのがジェームズ・ラブロックの「ガイアの復讐」という本の紹介です。
どこにも所属しないフリーの科学者であったラブロックは環境保全派にも関わらず原発推進派でした。つまりそれほど二酸化炭素が恐ろしいということです。そして冷静にデータを分析し発電の燃料に何を使うかによってどれだけ死者がでているか分析します。発電するための発電所の建設からはじまり燃料採掘、災害までトータルに比較した場合圧倒的に原子力の死者数が少ないといいます。
もちろんラブロックは原発を賛美するわけではなく現状は原子力発電で乗り切りましょうということです。将来最も期待されるのは核融合による発電ですね。しかしなかなか実現は難しいようです。人工的に核融合を起こすことはできますが起こすために高いエネルギーが必要なので現状採算が取れません。1単位の電気作るために2単位の電気使っていたのではお笑いとなってしまいます。
思い出したのが10年以上前に、上司とともに車にのってお客さんのところへ車を走らせていた時、風力発電の風車が回っているのを見て上司が私に「〇〇くん、あの風車は電気で回っているのかな?」と真面目に聞いてきて噴出したことです。
で竹内さんは福島原発を踏まえた現時点での解決策は、リチウム電池とNAS電池を組み合わせて再生可能エネルギーを貯めておくというものです。実際研究が進められているようです。
「宇宙」の章ではスーパーカミオカンデの小柴昌俊「ニュートリノ天体物理学入門」やルディ・ラッカー「四次元の冒険」が紹介されています。物理学者には二種類あり、小柴さんのような実験系と湯川秀樹さんや朝永振一郎さんのような理論系です。理論系の人は数学が得意な方が多く、数学的な正しさから世界はこうなっていると考え、実験系の人がそれを実証するという流れになっています。以前の書評でも書いたのですが、ここでの不思議はなんと言っても純粋に抽象的な数学がなぜ世界を記述するということが起こるのかということです。
竹内さんは
数学の世界というのはフィクションの世界。ある意味、論理的に正しければ何をやってもいいのです。ただ、フィクションの膨大な数学の世界のうち、ほんの一部が、この宇宙として実際にリアルに存在する。とさらっと流していますが、私はこの「ほんの一部」がなぜ起こるのかが不思議でなりません。
その他、読んだことがなく興味をそそられる本が沢山紹介されていましたが、私も去年読んだ加藤文元「宇宙と宇宙をつなぐ数学」について竹内さんは私がここ数十年で読んだ一般向け数学本のベスト1と書いています。納得します。
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昔からずっと本は読み続けてます。フィクション・ノンフィクション問わず、あまりこだわりなく読んでます。フィクションはSF・ホラー・ファンタジーが比較的多いです。あと科学・数学・思想的な本を好みます。
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- 出版社:徳間書店
- ページ数:0
- ISBN:9784198650155
- 発売日:2020年06月08日
- 価格:1650円
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『竹内薫の「科学の名著」案内 文系でも面白い! 世の中の見方が変わる90冊! (一般書)』のカテゴリ
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