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かもめ通信
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世界は欺瞞に満ちていて、人もドラゴンもそれぞれの思惑で行動する。キミはドラゴンスレイヤー、自分の存在理由がわかっている者など滅多にいないのだから、目的がこの上なくはっきりしていることに感謝するがいい。
ジェニファー・ストレンジは15歳。
ただの15歳ではない。
カザム魔法マネジメントの社長代理だ。
そう聞けば、おそらくたいていの人は
社長の娘か姪かなにかで、
親の仕事を手伝っているのだろうと思うに違いない。

ところが実は、彼女は捨て子で
12歳の時、ロブスター女子修道会孤児院から年季奉公のためにカザムにやってきた。
年季が明ける18歳まで、彼女はここで働かなければならない。

これが50年前なら、
魔法管理会社の仕事はまともな勤め口だと考えられていたであろうが、
魔法のレベル自体が何世紀も前からじり貧になっている今の時代にあっては
この仕事は紛れもなく斜陽産業で、
業界で働く労働者も捨て子ばかり。
もっとも、かつては数十社あった魔法管理会社自体が
カザムの他にもう1社残っているだけなのだけれど……。

そんなわけなので、世間からは魔術師も軽んじられるようになっていて、
国王の顧問を務めたのは遠い昔、
今では家の配線を治したり配水管のつまりをとったりといった仕事を請け負っている。
うまく魔法を使えさえすれば、壁を壊したり、床を剥がしたりせずに
効率よく修理ができるはずだから。

カザムには魔術師の他に予知能力者も所属していて
ジェニファーが取ってきた
芽が出る前の球根を見て花の色を予想する園芸店の仕事に従事したりしているのだが、
ある日その予知能力者が
「最後のドラゴン、モルトカッシオンがドラゴンスレイヤーの剣に刺されて死ぬ」
という幻視を見てしまったから、さあ大変だ。

え?ドラゴンが死んだらなんで大変かって?
それはもう、この本を読んで確かめて!
とにかく緊急事態であることは確か。
真相をさぐるためにドラゴンスレイヤーに会いに行ったはずなのに
キミこそは最後のドラゴンスレイヤーだと指名され
わずか1分間の速習コースでスレイヤーの資格を取得!?

そこからは渦中も渦中のど真ん中!!

あの人もこの人もうさんくさく
あの人もこの人ももっともらしい

頼りになるのは自分の直感と
ペットで相棒のクォークビーストだけ!

好むと好まざるとにかかわらず、われわれは自分の役割を努めるしかないのだ。自分の存在理由がわかっている者などめったにいないのだから、目的がこのうえなくはっきりしていることに感謝するがいいよ。
 
そんなこと言われたって
周りの大人もドラゴンさえも怪しげなのに、
「はいそうですか」というわけにはいかない。
いったいぜんたいどうやったら
「これが自分の役割だ」ってことがわかるのか!?

わいわいがやがや
ハラハラドキドキ
明るくて、にぎやかで、前向きで、元気が出る!
主人公そのもののような物語!

続編もあるそうなので、ぜひぜひ翻訳お待ちしております!!


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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2236 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

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