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はなとゆめ+猫の本棚
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吉田拓郎、井上陽水が大活躍した時代、これに対抗するアングラ フォークが存在し人気があった。このアングラ フォークの精神から作家沢木耕太郎は誕生した。
 JR東日本が発行している「トランヴェール」という雑誌に連載していた旅エッセイに収録された作品を本にしている。JR東日本の雑誌ということで、東北や信州それから少し足を延ばした北海道を舞台にしたエッセイが多い。
 沢木耕太郎は私より4歳年上。私が大学に入学したときに卒業している。
だから、ほぼ沢木とは同じ空気を吸っている。

 太宰治の「津軽」という作品に小泊小学校がクライマックスで登場する。実はこの小泊小学校の卒業生で沢木の友人の現在でもシンガーとして歌っている三上寛という古いフォーク歌手がいる。

 フォークソングが登場したとき、最初は反戦、反体制ソングが生まれた。そのタイプのフォークソングはアングラフォークといわれた。ヒット曲を飛ばす拓郎や陽水に対してつけられたネーミングだった。
 この三上のコンサートに当時でかけた。とても聞いていられるしろものでは無かった。 ところが彼が当時流行っていた藤圭子の「夢は夜ひらく」の替え歌をねっとりと歌った。サルトル、マルクスが歌詞に登場。長い歌だったが、終わると地鳴りのような雄たけびが観客からあがった。

 その三上と沢木が親友である。こんな熱い時代の空気が、名作家沢木を産んだ。そんなことを思い出す。

  沢木が軽井沢に行ったとき、街の小さな古本屋にゆく。そこで沢木が聞く。「古本はどうやって集めるんですか」と。店主が答える。」「今はドンドン集まってくるんです。団塊の世代が80歳手前になり、所蔵本を処分しだしたんです。」

 そうなんだ。僕らの時代は頭でっかちの時代だった。そして誰もが本を読んだ。そして理屈を朝までがなりあった。

 沢木の「深夜特急」は旅を始める若者のバイブルになった。そして、それが今でもバイブルとして燦然と輝く。沢木はとんでもない作品を世に送り出した。

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はなとゆめ+猫の本棚
はなとゆめ+猫の本棚 さん本が好き!1級(書評数:6243 件)

昔から活字中毒症。字さえあれば辞書でも見飽きないです。
年金暮らしになりましたので、毎日読書三昧です。一日2冊までを限度に読んでいます。
お金がないので、文庫、それも中古と情けない状態ですが、書評を掲載させて頂きます。よろしくお願いします。

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