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三太郎さん
三太郎
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45歳で大手広告代理店を退職し、以後、貯金と退職金を取り崩しながら家賃3万円のアパート「れんげ荘」で一人暮しをしてきたキョウコさんも50代半ばになりました。
これは れんげ荘働かないの-れんげ荘物語の続編で、これが最新作です。このれんげ荘シリーズは実は間にもう一冊あるのですが、一冊飛ばしていても話のつながりは解ります。

これまでの経緯を要約すると、1963年生まれらしいキョウコさんは45歳のとき(2008年ころ)に仕事に燃え尽きてしまい、無職になって家賃3万円の古い木造アパートで一人暮しを始めました。以来、退職時の貯金を毎月10万円ずつ取り崩して働かない生活を実践しています。この物語の時点で彼女は55歳になったはずです。

アパートの住人はキョウコさんより年配のクマガイさん、30代のコナツさん、20代のチユキさんですが、この巻の中心はコナツさんかも知れません。彼女はキョウコさんより前からのれんげ荘の住人ですが、以前は一年の大半は海外を放浪していて、お金が無くなると帰国してれんげ荘の納戸(物置部屋)で寝起きしていたのですが、この巻ではもう放浪生活は終わりにしたいようです。

しかし納戸を明け渡すように家主から言われて、母親と母親の再婚相手が住む家に同居することにします。彼女はこれまで定職についたことがなく、短期のアルバイトでしのいできたのですが、母親から職を探すか結婚するかと迫られて、結局家を出ることに。

しかしれんげ荘にはもう貸せる部屋がなく、れんげ荘より古そうな木造アパートの一室(風呂なし、トイレ・キッチンつき、4畳半)を見つけて借りることに。住民は学生と劇団員が多いというのは、やっぱり下北沢っぽいですね。

家賃は月3万円ですが、れんげ荘の納戸よりはかなり高い。それでも周りの人と協調するのが苦手なコナツさんは定職につくのがいやそうなのです。ところが、キョウコさんに説得されてスーパーで働いてみると、意外にも商品の棚出しの仕事は彼女に向いていたようで、同僚からも評価されてまんざらでもなさそうです。

最後のところで、コナツさんがキョウコさんに1歳の子持ちの男性を紹介して、三人で暮らすつもりだと言ってキョウコさんをビックリさせたところで、お話は次の巻へ続くみたいです。

これまでの巻ではキョウコさんと母親のこじれた関係が描かれてきましたが、この巻ではその母親は病気で入院したのちに認知症になってしまい、キョウコさんの兄が介護施設へ母親を入れることになります。キョウコさんと母親の問題は小康状態ということでしょうか。

今後はクマガイさんやキョウコさんの老後の生き方に焦点が移っていくのかなあ。まだまだ波乱がありそうです。
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三太郎
三太郎 さん本が好き!1級(書評数:829 件)

1957年、仙台に生まれ、結婚後10年間世田谷に住み、その後20余年横浜に住み、現在は仙台在住。本を読んで、思ったことあれこれを書いていきます。

長年、化学メーカーの研究者でした。2019年から滋賀県で大学の教員になりましたが、2023年3月に退職し、10月からは故郷の仙台に戻りました。プロフィールの写真は還暦前に米国ピッツバーグの岡の上で撮ったものです。

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