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はなとゆめ+猫の本棚
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不倫は、今の妻に対する不満を、不倫相手と言い合うことで成り立つ。

※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。

 味わい深い作品を収録した短編集。どの作品も面白いのだが、やはり本のタイトルにもなっている「別れの曲」が最も面白い。

 淳子は友達の結婚式で佐々野と知り合う。2人は交際を開始、互いに結婚してもいいとの了解までしている。ただ、淳子はそれなりの財産家の娘だったが、佐々野は母親一人に育てられた苦学生で、互いの家から結婚は難しいといわれている。

 ある日、銀座で淳子は、佐々野が女性と歩いているところにでくわす。佐々野は同じ大学の研究室にいる吉野さんと紹介する。

 淳子は衝撃を受ける。ところが吉野は、懸命に淳子と佐々野を結婚させるように応援したり、サジェッションをする。

 そのアドバイスもあって淳子と佐々野は結婚をする。
しかし、佐々野と吉野は関係を継続する。

 佐々野は、淳子がお嬢様育ちで、家事、育児がきちんとできないことに不満を募らせる。また、佐々野の母は、淳子の産んだ子が2人とも女の子であることに不満を持ち、淳子にあたりちらす。

 そんな淳子に対する不満、愚痴を佐々野は吉野に言う。吉野もそれを楽しそうに聞き、淳子のいたらなさについて吉野に同意してあげる。

 実は、吉野には婚約者がいた。その婚約者がブラジルに転勤となる。吉野は佐々野との関係を断つことができなくて、婚約者との関係を断つ。

 淳子は、佐々野との結婚生活に耐えられず、実家に子供を連れて帰る。そして、実家もでて、仕事をみつけ、子供との生活を始める。そして家庭裁判所を通じて、佐々野に離婚をせまる。

 佐々野はこれ幸いに、吉野との結婚を決意する。

 しかし、そこで吉野は気が付く。奥さんである淳子がいたから2人は結び付いていることができたということを。淳子が佐々野の妻でいて、自分が愛人のまま淳子に対する愚痴を基盤として佐々野とつながっていれたら関係は続けられたろうにと。

 なるほどと、うまいところを芝木さんはつくと感心した。

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はなとゆめ+猫の本棚
はなとゆめ+猫の本棚 さん本が好き!1級(書評数:6214 件)

昔から活字中毒症。字さえあれば辞書でも見飽きないです。
年金暮らしになりましたので、毎日読書三昧です。一日2冊までを限度に読んでいます。
お金がないので、文庫、それも中古と情けない状態ですが、書評を掲載させて頂きます。よろしくお願いします。

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