かもめ通信さん
レビュアー:
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『夢見る帝国図書館』を読んでいたら、このエピソードどこかで読んだことがある!というのにいくつかでくわし、結局探索の旅に出て、まずいきついたのがこのエッセイ。
『夢見る帝国図書館』を読んでいたら、
(このエピソードどこかで読んだことがある!)というのにいくつかでくわし、
結果、探索の旅に出て、まずいきついたのがこれ。
1947年初出。
久々に上野の図書館を訪れる場面で始まる短い宮本百合子のエッセイだ。
下足番の爺さんは以前いた人と同じだろうか
閲覧料はいくらいくらで…と、
戦争が始まる前、足繁く通っていたあの頃と
変わっているものいないものがあれこれと挙げられて
昔と今のコントラストも鮮やかだ。
はじめて図書館を訪れた女学校二年生の頃、
貸出用紙を差し出す少女に
「あなたはまだ十六になっていないんでしょう?」
「ここは十六からなんですよ」
といいいながらも、本を渡してくれたあの司書さんは
今も在籍しているだろうか。
あれからもう三十年。
その間には波瀾があって、
私は一人の女として、何年も図書館など見向きもしない有様で暮らしたことがある。
そうかと思うと、又ひょっこり現れて、暫く熱心に通い続けるという時期も。
そういう風にして、何年ぶりかで図書館へゆくとき、
いつも、一人の司書を目で探し、その存在を確かめたものだった。
格別に意味など無い、
たまにゆく古馴染みの家の見慣れた目じるしの柱の節のようなものではあったけれど
そこへ行って見てその節があると、何となく心がおさまる。
そんな存在。
果たして百合子はその目印たる司書を見つけることが出来たのかを
確かめてみる価値はある短いながらも読み応えのあるエッセイだ。
いつも思うことだけれど、
もし百合子が現代に生きていたら、
ファンもアンチも巻き込んだ人気ブロガーになっていたのではないかしら。
(このエピソードどこかで読んだことがある!)というのにいくつかでくわし、
結果、探索の旅に出て、まずいきついたのがこれ。
1947年初出。
久々に上野の図書館を訪れる場面で始まる短い宮本百合子のエッセイだ。
下足番の爺さんは以前いた人と同じだろうか
閲覧料はいくらいくらで…と、
戦争が始まる前、足繁く通っていたあの頃と
変わっているものいないものがあれこれと挙げられて
昔と今のコントラストも鮮やかだ。
はじめて図書館を訪れた女学校二年生の頃、
貸出用紙を差し出す少女に
「あなたはまだ十六になっていないんでしょう?」
「ここは十六からなんですよ」
といいいながらも、本を渡してくれたあの司書さんは
今も在籍しているだろうか。
あれからもう三十年。
その間には波瀾があって、
私は一人の女として、何年も図書館など見向きもしない有様で暮らしたことがある。
そうかと思うと、又ひょっこり現れて、暫く熱心に通い続けるという時期も。
そういう風にして、何年ぶりかで図書館へゆくとき、
いつも、一人の司書を目で探し、その存在を確かめたものだった。
格別に意味など無い、
たまにゆく古馴染みの家の見慣れた目じるしの柱の節のようなものではあったけれど
そこへ行って見てその節があると、何となく心がおさまる。
そんな存在。
果たして百合子はその目印たる司書を見つけることが出来たのかを
確かめてみる価値はある短いながらも読み応えのあるエッセイだ。
いつも思うことだけれど、
もし百合子が現代に生きていたら、
ファンもアンチも巻き込んだ人気ブロガーになっていたのではないかしら。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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- 出版社:
- ページ数:11
- ISBN:B009LRS0XC
- 発売日:2012年10月03日
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