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かもめ通信
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本を読み終えた後も、まだまだいろんな楽しみ方ができそうでワクワクしている。
光文社古典新訳の『失われた時を求めて』の翻訳でお馴染みの高遠弘美先生が、書き下ろしで本を出されるときいては入手しないわけにはいかなかった。

なにを隠そう私、プルーストの訳やその解説はもとより、日頃からTwitterでの何気ないつぶやきにも存分に発揮されるその穏やかで品のある美しい語り口のファンなのだ。

発売日前から予約をいれて入手した本は、一気に読むのがもったいなくて少しずつ読もうと思っていたのだが、同じく先生のファンを自認する方々が次々と読了されて、なかには本を片手にパリの街に繰り出した人もいるらしいと聞くと、なんだか妙に気がはやる。

みんな!早いよ!早すぎるよ!!

残念ながら私の場合は、今のとことパリを再訪する予定はなくて、本を読みながら20年以上前に訪れた街の思い出に浸ったり、いつか行ってみたいなあと夢を膨らませたりすることになるのだろうと思ってはいた。


ところが、ところがである。


実際に読み始めてみると、想定外の事態が待ち受けていた。


『ガリア戦記』から始まって語りあげられるパリの歴史は、あの物語やあの文献と、パリの建造物やフランス、そしてヨーロッパの歴史上の人物たちとを結びつける。

これまで気の向くままに読み散らかしてきたあの本、この本が、まさに点と点がつながるように頭の中が整理されていく感じがとても楽しい。

歴史散歩を楽しんだ後は「それぞれのパリ 私のパリ」と題した高遠先生の案内で、パリのお薦めスポットを散策することもできる特典付き。

あるいはもしかすると、歴史書を読むつもりで手に取って、ものたりなさを感じる読者もいるかもしれないが、私のように物語から歴史を見るタイプの方には力一杯お勧めしたい。

自分で物語年表を作ってみても面白いかも。
大きな模造紙に大ざっぱな年表を書いて、参加者が紹介するパリに関する本がどのあたりに位置するか置いていく……そんな読書会も面白そうだ。

美しい日本語に定評のある高遠先生の本なので、声に出して読んでも楽しい!と思っていたら、近々Audible Bookも発売予定なのだとか。

本を読み終えた後も、まだまだいろんな楽しみ方ができそうだ。
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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2229 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

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