休蔵さん
レビュアー:
▼
日本の宝、国宝。現在、1100件以上が指定されているそうだが、そのほとんどを見たことがない。そこで本書を国宝鑑賞の足掛かりとしてみた。そして、その目的は十分に果たせそうだ。あとは、実物を見るだけ。
1110件を数えるという国宝。
「重要文化財のうち、世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たる」(8頁)ものが国宝という。
案外多いなと思ったら、重要文化財は1万3千件以上指定されているという。
国宝は重要文化財の1割にも満たない件数に過ぎないとのこと。
やはり希少で貴重なもののようだ。
国宝が重要で貴重なものという思いはあったが、その実際を知る機会はほとんどなかった。
きれいな写真が掲載された図録だと、なにか馴染みにくいものがある。
敷居が高いとでもいおうか。
本書は精緻なイラストで国宝を紹介してくれているので、理解しやすいし、とっつき易い印象がある。
国宝は美術工芸品と建造物にざっくり分けられる。
さらに美術工芸品には彫刻や絵画、歴史資料に工芸品、考古資料などがあるそうだ。
縄文時代の火炎土器や土偶は土中からの出土品であるが、美術工芸品という取り扱いになる。
個人的には彫刻と建造物に魅かれる。
彫刻は15件が紹介されており、そのうち9件を実際に見ることができていた。
建造物は19件の紹介中8件しか見ることができていなかった。
その場に行かなければ見ることができない建造物の特性か。
もっとも、国宝全体から考えると、ほとんど見ていないのだろう。
本書に掲載されている国宝のなか、個人的には京都府宇治市の平等院鳳凰堂とそこに安置されている阿弥陀如来坐像が相当にお薦めだ。
十数年前、なんとなく平等院鳳凰堂に行ってみた。
建物と阿弥陀如来坐像に魅かれたことは言うまでもないが、そこで説明してくれたガイドの話術に驚かされた。
落ち着いたトーンで、自分の言いたいことだけを押し付けてくるわけでもなく、それでいて説明すべきことはきっちりと説明して。
見る限り普通のおばさま(失礼っ!!)なのだが、プロフェッショナルの学芸員という印象だった。
そのことも含めて平等院鳳凰堂をお薦めしたい。
もっとも、当時のガイドさんがいまだにいるかは知らないが・・・・
国宝は、当然のことながら日本国内だけに通用する概念。
国宝指定以前に海外に持ち出されている文化財は、国宝指定されることはないという。
合点がいかないが、そういうルールなのだから仕方ない。
そういうこともあってか、国宝を海外に販売することはできない。
展示でレンタルすることはあっても、譲り渡すことは不可能というのだ。
日本国の宝だからね。
本書は国宝の簡単な紹介図鑑だ。
もちろん本書だけで国宝の全てを語ることはできない。
そもそも「醍醐寺文書聖教」は1件でも69,378点から構成されるそうだ。
この1件だけでも数十冊の専門書を要するのではないか。
それは専門家に任せるとして、一般人たる私にとって本書は国宝のなんたるかを知る第一歩目として最適な1冊に思えた。
お薦めしたい1冊だ。
「重要文化財のうち、世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たる」(8頁)ものが国宝という。
案外多いなと思ったら、重要文化財は1万3千件以上指定されているという。
国宝は重要文化財の1割にも満たない件数に過ぎないとのこと。
やはり希少で貴重なもののようだ。
国宝が重要で貴重なものという思いはあったが、その実際を知る機会はほとんどなかった。
きれいな写真が掲載された図録だと、なにか馴染みにくいものがある。
敷居が高いとでもいおうか。
本書は精緻なイラストで国宝を紹介してくれているので、理解しやすいし、とっつき易い印象がある。
国宝は美術工芸品と建造物にざっくり分けられる。
さらに美術工芸品には彫刻や絵画、歴史資料に工芸品、考古資料などがあるそうだ。
縄文時代の火炎土器や土偶は土中からの出土品であるが、美術工芸品という取り扱いになる。
個人的には彫刻と建造物に魅かれる。
彫刻は15件が紹介されており、そのうち9件を実際に見ることができていた。
建造物は19件の紹介中8件しか見ることができていなかった。
その場に行かなければ見ることができない建造物の特性か。
もっとも、国宝全体から考えると、ほとんど見ていないのだろう。
本書に掲載されている国宝のなか、個人的には京都府宇治市の平等院鳳凰堂とそこに安置されている阿弥陀如来坐像が相当にお薦めだ。
十数年前、なんとなく平等院鳳凰堂に行ってみた。
建物と阿弥陀如来坐像に魅かれたことは言うまでもないが、そこで説明してくれたガイドの話術に驚かされた。
落ち着いたトーンで、自分の言いたいことだけを押し付けてくるわけでもなく、それでいて説明すべきことはきっちりと説明して。
見る限り普通のおばさま(失礼っ!!)なのだが、プロフェッショナルの学芸員という印象だった。
そのことも含めて平等院鳳凰堂をお薦めしたい。
もっとも、当時のガイドさんがいまだにいるかは知らないが・・・・
国宝は、当然のことながら日本国内だけに通用する概念。
国宝指定以前に海外に持ち出されている文化財は、国宝指定されることはないという。
合点がいかないが、そういうルールなのだから仕方ない。
そういうこともあってか、国宝を海外に販売することはできない。
展示でレンタルすることはあっても、譲り渡すことは不可能というのだ。
日本国の宝だからね。
本書は国宝の簡単な紹介図鑑だ。
もちろん本書だけで国宝の全てを語ることはできない。
そもそも「醍醐寺文書聖教」は1件でも69,378点から構成されるそうだ。
この1件だけでも数十冊の専門書を要するのではないか。
それは専門家に任せるとして、一般人たる私にとって本書は国宝のなんたるかを知る第一歩目として最適な1冊に思えた。
お薦めしたい1冊だ。
お気に入り度:







掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
ここに参加するようになって、読書の幅が広がったように思います。
それでも、まだ偏り気味。
いろんな人の書評を参考に、もっと幅広い読書を楽しみたい!
この書評へのコメント

コメントするには、ログインしてください。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:エクスナレッジ
- ページ数:160
- ISBN:9784767824550
- 発売日:2018年05月03日
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。






















