DBさん
レビュアー:
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コンクールのこぼれ話
コンテスタントたちの姿を描いた『蜜蜂と遠雷』が感動と衝撃の作品だったので続きとなる本作も読んでみました。
完全に『蜜蜂と遠雷』の余韻で書いた短編集といった雰囲気でしょうか。
三年のブランクがあっての上梓ですが、再読を兼ねてセットで読むくらいがちょうどよかったかと。
最初の短編「祝祭と掃苔」は、コンクールの熱もまだ冷めやらぬ時の話だ。
コンクール入賞者たちによるコンサートツアーの合間に、子供の頃に通ったピアノ教室の先生のお墓参りをするシーンです。
マサルと亜夜になぜか風間塵もついてきて、なごやかな雰囲気の会話が繰り広げられる。
ピアノの前にいないせいか本当に雑談に終始していた。
墓参りのことを掃苔ともいうということを知ったのが収穫だった。
続いて「獅子と芍薬」は、前作のコンクールで審査員として参加していたミエコとナサニエル・シルヴァーバーグの若かりし頃の話でした。
やはりコンクールの舞台でライバルとしてであった二人は、ぶつかり合いながらも惹かれていくというお決まりのパターンをたどる。
神経質な少年と、野太い声をして肝の据わった少女の取り合わせは割とうまくいきそうな気もしたが。
やはりお互いにコンサートピアニストという同業での結婚は難しいのかも。
他にも、コンクールの課題曲を作曲した菱沼が「春と修羅」と名付けた曲を書くまでのエピソードを描いた話や、マサルが師匠のナサニエルと出会った話、そして風間塵と伝説のピアニストであるホフマンとの出会いを描いた話も出てきます。
小さな男の子だったころの風間塵が、その天然っぷりを失わずに成長したのはホフマンの薫陶の成果だったのだろうか。
一番印象に残ったのは「鈴蘭と階段」というタイトルの、亜夜のサポートをしていた奏の話です。
ヴァイオリンからビオラに転向した奏は、そろそろ本格的に自分のビオラを選んでいるところだった。
候補を三台にまで絞ったものの、どれも決め手に欠けるのか選べない。
その中で「楽器というのは使った人の影響を受ける部分が大きいので、うまい演奏者に弾きこまれたから名器になった」という文章が出てきます。
わたしも弦楽器ではないが楽器を習っていて、これと同じようなことを師匠に言われたことがある。
その時は聞き流したが、果たしてわたしの楽器は使った人の影響で鳴りが悪いという状況に陥ってないか不安になりました。
楽器の話もそうだが、ピアノ曲がいろいろと出てきてコンサート聞きに行きたいなと思った。
『蜜蜂と遠雷』が情熱のぶつかり合うコンクールとい場での「急」の話だとしたら、『祝祭と予感』は舞台から少し離れた時の「緩」のような話だった。
完全に『蜜蜂と遠雷』の余韻で書いた短編集といった雰囲気でしょうか。
三年のブランクがあっての上梓ですが、再読を兼ねてセットで読むくらいがちょうどよかったかと。
最初の短編「祝祭と掃苔」は、コンクールの熱もまだ冷めやらぬ時の話だ。
コンクール入賞者たちによるコンサートツアーの合間に、子供の頃に通ったピアノ教室の先生のお墓参りをするシーンです。
マサルと亜夜になぜか風間塵もついてきて、なごやかな雰囲気の会話が繰り広げられる。
ピアノの前にいないせいか本当に雑談に終始していた。
墓参りのことを掃苔ともいうということを知ったのが収穫だった。
続いて「獅子と芍薬」は、前作のコンクールで審査員として参加していたミエコとナサニエル・シルヴァーバーグの若かりし頃の話でした。
やはりコンクールの舞台でライバルとしてであった二人は、ぶつかり合いながらも惹かれていくというお決まりのパターンをたどる。
神経質な少年と、野太い声をして肝の据わった少女の取り合わせは割とうまくいきそうな気もしたが。
やはりお互いにコンサートピアニストという同業での結婚は難しいのかも。
他にも、コンクールの課題曲を作曲した菱沼が「春と修羅」と名付けた曲を書くまでのエピソードを描いた話や、マサルが師匠のナサニエルと出会った話、そして風間塵と伝説のピアニストであるホフマンとの出会いを描いた話も出てきます。
小さな男の子だったころの風間塵が、その天然っぷりを失わずに成長したのはホフマンの薫陶の成果だったのだろうか。
一番印象に残ったのは「鈴蘭と階段」というタイトルの、亜夜のサポートをしていた奏の話です。
ヴァイオリンからビオラに転向した奏は、そろそろ本格的に自分のビオラを選んでいるところだった。
候補を三台にまで絞ったものの、どれも決め手に欠けるのか選べない。
その中で「楽器というのは使った人の影響を受ける部分が大きいので、うまい演奏者に弾きこまれたから名器になった」という文章が出てきます。
わたしも弦楽器ではないが楽器を習っていて、これと同じようなことを師匠に言われたことがある。
その時は聞き流したが、果たしてわたしの楽器は使った人の影響で鳴りが悪いという状況に陥ってないか不安になりました。
楽器の話もそうだが、ピアノ曲がいろいろと出てきてコンサート聞きに行きたいなと思った。
『蜜蜂と遠雷』が情熱のぶつかり合うコンクールとい場での「急」の話だとしたら、『祝祭と予感』は舞台から少し離れた時の「緩」のような話だった。
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好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。
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- 出版社:幻冬舎
- ページ数:120
- ISBN:B07XL2GWZ9
- 発売日:2019年10月02日
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