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この本を読んだらヴァイオリンに似た民族楽器ハルダンゲル・フィドルの調べを確認したくなること間違いなし!その音色を聴いたら踊りだしたくなること間違いなし!そしてまたジャンニに会いたくなること間違いなし!
物語の主人公ジャンニは、愛する妻に先立たれた60代のヴァイオリン職人。
確かな腕と誠実な人柄は、業界でも有名だ。
自ら作るだけでなく、後継者の育成にも力を注いでいて、長年、ヴァイオリン製作学校の講師も勤めてきた。
物語はそんなジャンニの20年前の教え子であるノルウェー人のリカルドが、久々にイタリア・クレモナにある母校を訪れ講演を行う場面で幕を開ける。
講演終了後、ジャンニはリカルドを誘ってバーにいき、旧交をあたためるが、リカルドはその夜に何者かに殺害されてしまう。
彼の荷物からは、持っていたはずのヴァイオリンに似たノルウェーの民族楽器ハルダンゲル・フィドルが消えていた。
犯人はなぜ、さしたる値打ちのない楽器を奪ったのか?
殺人と楽器の謎を追って、ジャンニは恋人マルゲリータと年下の友人で刑事のアントニオと共にノルウェーへ旅立つ。
読者である私は、ジャンニを追って暖かな陽射しが降り注ぐイタリアに出かけたはずが、いきなり雨続きのノルウェーに放り出されてしまったと戸惑う間もなく、ノルウェーゆかりの音楽家たちをめぐるエピソードや、次々と紹介される彼の地の名所に圧倒され、昔一度だけ訪れたことがある街並みや美しいフィヨルドを思い出して、謎解きそっちのけで旅の気分にどっぷり浸る。
わかるわ!フロイエン山の展望台に立って突然日が射してきたときのその感じ!
そうそうあのグリーグ博物館のあるトロルハウゲン(トロルの棲む丘)ときたらね!
うんうん本当に物価が高いんだよね!
旅の話に夢中になって、うっかり殺人犯を追っていたことを忘れそうになった頃、そうは問屋が卸さないとばかりに第二の殺人が!?
だよね、だよね、そうだよね。
なんといってもこの物語の読みどころの一つは、ヴァイオリン職人ジャンニが、物づくりに欠かせない持ち前の鋭い観察眼や、神経を研ぎ澄ます集中力を駆使して謎解きに挑むところのはずなのだから。
とはいえやっぱりこのシリーズ、豊かな音楽とたっぷりの旅情も大きな魅力であることは間違いなく、思わず足がリズムをとってしまうというハルダンゲル・フィドルの調べをネットでチェックし、昔の旅行写真を引っ張り出し、これもお約束とばかりグリーグの『ぺール・ギュント』を聴きながらこのレビューを書いて余韻に浸っている。
ちなみにこのヴァイオリン職人シリーズ第3弾はなんと、日本オリジナル作品!
日本のファンの熱いラブコールに応えての書き下ろし作品なのだという。
そういう例は過去に、やはり東京創元社の(株)魔法製作所シリーズにもあったが、その時はたしか、本国に逆輸入され、その後も順調にシリーズが続いていくきっかけになったはずだから、今回もまた日本の読者の目利きぶりが発揮できるのではと期待が高鳴る。
いつの日か……そう遠くない時期に、またジャンニに会えることを願って、「このシリーズ面白いよ!」と、せっせと普及に努めなければ!!
<シリーズ既刊レビュー>
●ヴァイオリン職人の探求と推理
●ヴァイオリン職人と天才演奏家の秘密
確かな腕と誠実な人柄は、業界でも有名だ。
自ら作るだけでなく、後継者の育成にも力を注いでいて、長年、ヴァイオリン製作学校の講師も勤めてきた。
物語はそんなジャンニの20年前の教え子であるノルウェー人のリカルドが、久々にイタリア・クレモナにある母校を訪れ講演を行う場面で幕を開ける。
講演終了後、ジャンニはリカルドを誘ってバーにいき、旧交をあたためるが、リカルドはその夜に何者かに殺害されてしまう。
彼の荷物からは、持っていたはずのヴァイオリンに似たノルウェーの民族楽器ハルダンゲル・フィドルが消えていた。
犯人はなぜ、さしたる値打ちのない楽器を奪ったのか?
殺人と楽器の謎を追って、ジャンニは恋人マルゲリータと年下の友人で刑事のアントニオと共にノルウェーへ旅立つ。
読者である私は、ジャンニを追って暖かな陽射しが降り注ぐイタリアに出かけたはずが、いきなり雨続きのノルウェーに放り出されてしまったと戸惑う間もなく、ノルウェーゆかりの音楽家たちをめぐるエピソードや、次々と紹介される彼の地の名所に圧倒され、昔一度だけ訪れたことがある街並みや美しいフィヨルドを思い出して、謎解きそっちのけで旅の気分にどっぷり浸る。
わかるわ!フロイエン山の展望台に立って突然日が射してきたときのその感じ!
そうそうあのグリーグ博物館のあるトロルハウゲン(トロルの棲む丘)ときたらね!
うんうん本当に物価が高いんだよね!
旅の話に夢中になって、うっかり殺人犯を追っていたことを忘れそうになった頃、そうは問屋が卸さないとばかりに第二の殺人が!?
だよね、だよね、そうだよね。
なんといってもこの物語の読みどころの一つは、ヴァイオリン職人ジャンニが、物づくりに欠かせない持ち前の鋭い観察眼や、神経を研ぎ澄ます集中力を駆使して謎解きに挑むところのはずなのだから。
とはいえやっぱりこのシリーズ、豊かな音楽とたっぷりの旅情も大きな魅力であることは間違いなく、思わず足がリズムをとってしまうというハルダンゲル・フィドルの調べをネットでチェックし、昔の旅行写真を引っ張り出し、これもお約束とばかりグリーグの『ぺール・ギュント』を聴きながらこのレビューを書いて余韻に浸っている。
ちなみにこのヴァイオリン職人シリーズ第3弾はなんと、日本オリジナル作品!
日本のファンの熱いラブコールに応えての書き下ろし作品なのだという。
そういう例は過去に、やはり東京創元社の(株)魔法製作所シリーズにもあったが、その時はたしか、本国に逆輸入され、その後も順調にシリーズが続いていくきっかけになったはずだから、今回もまた日本の読者の目利きぶりが発揮できるのではと期待が高鳴る。
いつの日か……そう遠くない時期に、またジャンニに会えることを願って、「このシリーズ面白いよ!」と、せっせと普及に努めなければ!!
<シリーズ既刊レビュー>
●ヴァイオリン職人の探求と推理
●ヴァイオリン職人と天才演奏家の秘密
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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- 出版社:東京創元社
- ページ数:400
- ISBN:9784488178079
- 発売日:2019年11月20日
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