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三太郎さん
三太郎
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東京の片時町のとある四つ角にある深夜食堂はその名も「よつかど」。今宵も常連客がなやみごとを抱えてやってきます。
「おやすみ、東京」は吉田さんがつむじ風食堂の夜から16年後に書いた本です。こちらは連作短編集のような風を装った、ちょっと仕掛けのある(恩田陸風の?)長編小説ですが、月舟町の四つ角にあった「つむじ風食堂」との関連は明らかでしょう。

何しろ小説の重要な舞台が東京の片時町の四つ角にある、その名も「よつかど」という食堂なのですから。この食堂は四人の女性の共同経営ですが、深夜から翌朝の朝までしか営業していません。TVの深夜ドラマに出てきたあの食堂みたいですね。

ところで食堂のある片時町というのは聞いたことがない地名ですが、世田谷区の笹塚から南に歩いて、下北沢を通ってその先にあるとか。三軒茶屋のあたりでしょうか。

その食堂に集まってくるのは、深夜専門のタクシー「ブラックバード」のドライバーの松井、深夜の電話相談室のオペレーターのカナコ、いつも深夜に映画の小道具を探して東京の街を彷徨う映画会社の社員ミツキとその恋人の浩一、元マジシャンで今は探偵のシュロなどなど・・・恋愛話もちょっとあります。

ミツキが映画で使うビワの実を都内の街路樹で探すシーンがあるので、季節は6月かな。ビワは公園などに結構勝手に生えてくることがあります。カナコは夜に近所の街路樹のビワの木に登ってビワ泥棒をするのですが・・・実は僕も近所の公園のビワの実を食べたことがあります。

この小説にも古い映画を上映する独立系の映画館が登場します。吉田さんは映画館に思い入れがあるのかな。

若い頃はバーテンダーで、その後ミツキの勤める映画会社で働いていたが、銀座にお店を持ってバーテンダーに復帰した男のお勧めは、ギンギンに冷やしたコークハイ。読んでいたら飲みたくなりました。
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三太郎
三太郎 さん本が好き!1級(書評数:830 件)

1957年、仙台に生まれ、結婚後10年間世田谷に住み、その後20余年横浜に住み、現在は仙台在住。本を読んで、思ったことあれこれを書いていきます。

長年、化学メーカーの研究者でした。2019年から滋賀県で大学の教員になりましたが、2023年3月に退職し、10月からは故郷の仙台に戻りました。プロフィールの写真は還暦前に米国ピッツバーグの岡の上で撮ったものです。

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