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かもめ通信
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数十年前、北京で食べた「四川飯店」の料理は、ほっぺたが落ちるかと思う程美味しかったっけ。中国食い倒れの旅。いつか行きたい!また行きたい!!そう夢見つつ、今日も本をめくって舌鼓を打つ。
中国発、吃貨(チーフオ・くいしんぼう)エッセイ。
地域色豊かな料理の数々が、その歴史や小咄や季節の行事などともに語られている。

「家で食べる」「街角で食べる」「飯店(レストラン)出たベる」と、三つに大別された料理が、1品につき4ページほどにまとめられていて、全部で83品。

ところどころに添えられた白黒の細い線で細かく書き込まれたイラストが、ほっこりとした気分を提供してはくれるが、それ以外は写真やレシピなどは一切ない、文字で勝負の1冊だ。

にもかかわらず、ページをめくるたびに、思わずゴクリと音を立てて、つばを飲み込んでしまいそうなほど、食欲をそそられて、最近歳のせいかすっかり弱ってきた胃が持たない。

そんなわけで、一気に読むのはつらいので、少しずつ、噛みしめながら読んでみた。

どこからでも読むことは可能だが、できれば最初から順番に読んでいくのが良いという、著者のアドバイスに従って読み進める。

広い中国のこと、ひとくちに「紅焼肉」(ホンシャオロウ/豚の角煮)といっても、その土地土地で味付けもいろいろだ。
山東ではきりっとしょっぱく醤油の香り、上海では花彫紹興酒を使ってやわらかく煮込まれ、蘇州のものは脂がしたたる醤油の赤さ、甘くはないがべたつかない。湖南では赤く艶やかでほんのり辛い醤油嫌いの毛沢東好みの毛氏紅焼肉が流行っているとか。

中国各地で愛される「豆腐脳」(ドウフナオ)は、ネット上で甘党と辛党の争いが勃発するほどのソウルフードらしい。
南方の多くの地域では「豆腐花」(ドウフホア)と呼ばれるこの食べ物、広東では糖蜜か砂糖をかけて食べるのだとか。ショウガ風味のシロップをかけた「姜汁(ジャンジー)豆腐花」は甘さと辛さの取り合わせがうまく絶品とのこと。
上海ではこれを、塩味で食べる。醤油、ごま油、唐辛子に山椒風味の油を垂らし、干しエビに海苔、ネギのみじん切りを散らした豪華版も美味。

こんな調子で紹介されれば、あれもこれもと、食べ比べてみたくてたまらなくなるというもの。
気がつけば83品どころの騒ぎではないではないか!

中国食い倒れの旅。いつか行きたい!また行きたい!
そう夢見つつ、今日も本をめくって舌鼓を打つ。
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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2234 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

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この書評へのコメント

  1. 薄荷2020-04-08 21:34

    「紅焼肉」(ホンシャオロウ/豚の角煮)・・・ああ!すっごい美味しそう~!!

    文字で勝負の美味しい本って、すごい…最強の表現力ですねぇ。

  2. かもめ通信2020-04-09 19:26

    あれもこれもすっごく美味しそうなんですよ。
    著者さんはネットなどを通じて中国全土から自慢の味を集めたようなので、情報提供者のお国の味自慢もかなり熱かったのではないかとw
    でもこれ、悩ましいことにその土地土地で味が違うということなので、食べ比べは難しそう。
    どこかで「紅焼肉」食べ比べ大会とかやってくれませんかね?(^^ゞ

  3. No Image

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