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oldmanさん
oldman
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チャペックという名前を知っていますか? いやカレルじゃなくてお兄さんのヨゼフの方です。全体主義を嫌い、ファシズムとコミュニズムの両方と戦ったチェコの画家でベルゲンベルゼン収容所で亡くなられました。
偉そうな事を書いていますが、僕自身ヨーゼフ・チャペックの名前を知ったのはつい最近です。
カモメ通信さんが待ちかねていた本としてその名前を知りました。

ところが、運命なのでしょうか?図書館の新刊の棚にこれが置かれていたんです。
速攻借りて帰りました。

ヨーゼフはカレル・チャペックの兄として1887年ポーランド国境近くの町フルノフに生まれました。
3年後弟のカレルが生まれました。成績優秀で小学校を飛び級したカレルと違いヨーゼフは絵ばかり描いていたそうです。
長じて兄弟とも出版に携わり、文のカレルに対してイラストや装丁で携わりました。

やがて、ヒトラーの台頭と共にチェコはドイツに併合され、ヨーゼフはドイツのポーランド侵攻と同時に反ファシストの自由主義者として、ダッハウに収監されます。
ブッヒェンワルトからベルゲンベルゼンに移送され、其処で亡くなったらしい。

本書はヨーゼフが新聞等に書いていたイラスト「独裁者のブーツ」や反ファシズムや反コミュニズムをテーマにした一コマのイラストを中心に、日本で編集された貴重な一冊です。

ブーツは権力者の象徴であり、当初はヒトラーのナチズムを象徴しているが、やがてコミュニズム(スターリン主義)をも象徴しているように感じます。

そして一コマで痛烈に戦争を非難しているイラストも印象深いのです。
これを見ると航空機による攻撃が当時の恐怖の的だった事が良くわかります。

実は僕が印象深く思うのは半村良が1993年に描いた軍靴の響きがあります。

この四半世紀以上前に描かれた小説は、恐ろしいほど今の日本を予言していた様に感じるのです。
ヨーゼフが感じていたブーツの音は、今も何処かから近づいている気がします。

この本を読んだ方は亡き半村氏の26年前に描いた世界も読んでみて下さい。
僕は古書店で文庫を求めましたが、おそらく図書館でも余り残ってないでしょう。

ということで、とてもカモメさんの書評には及びもしませんが、とりあえず書きました。

いやぁ凄く面白い本を知ることが出来ました。やはり読書は一生の勉強です。

でも言っておきます。軍靴のブーツの響きが聞こえてきたときには遅いかもしれませんよ。
    • 左の神経質そうなのがカレル 右のおおらかな感じがヨーゼフ
    • 良い年をしてこんなことをしているなぁ……兄弟の仲の良さが感じられる1枚
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oldman
oldman さん本が好き!1級(書評数:576 件)

最近歳のせいか読書スピードが落ちているにもかかわらず、本好きが昂じて積読本が溜まっております。
そして、歩けるうちにとアチコチヘ顔を出すようになりました。

現在はビブリオバトルを普及することに力をいれております。
その為読書メーターにはコミュニティーも作りました。
( ゚∀゚)つ https://bookmeter.com/communities/337701

いささかひねくれた年寄りですがよろしくお願いいたします。
2016年12月 読書メーターのプロフィル画像とハンドルネームをちょっと変えてみました(*^^*)
読メハンドルネーム oldman獺祭魚翁

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この書評へのコメント

  1. かもめ通信2019-11-29 06:56

    コレ欲しい、アレ読みたいと呟くのも、無駄ではないと知ってうれしいですww

  2. oldman2019-11-29 07:38

    かもめ通信さん。 ご教示ありがとうございます。なにしろ出版不況と言われながらも大量の本が出版されます。こうやって良書を教えていただけるのは非常にありがたいのです。

  3. No Image

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