くてたまさん
レビュアー:
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「緋文字」のホーソン、アメリカ人の作家。1851年の作品。馴染みのない題名だが、破風(切妻)の七つある、比較的大きな屋敷。この屋敷が舞台のミステリー。
ニューイングランドの街のピンチョン通りに古めかしい豪壮な屋敷があり、七破風屋敷と呼ばれる。今はピンチョン判事の資産であるが、二百年ほど前はマシュー・モールの地所であった。力のあったピンチョン大佐がマシューを魔法使いと告発し地所を横取りした。マシューは縛り首になり、処刑前にピンチョンに「神様はあいつに血を飲ませなさるぞ」と予言し、大佐は七破風屋敷竣工の日に血を吐いて死亡したと伝えられる。
今この屋敷にはヘプジバー・ピンチョンという六十過ぎの老嬢が一人で住んでいる。彼女は先代の叔父ピンチョン氏より遺産として終身の居住権が与えられているものの、資産は所有しておらず非常に窮乏していた。これまで働いたことはないが、三代前の主人が作った店構えを利用し、「一文店」で小間物の商売をすることにした。
屋敷にはもう一人別棟に若い写真家が部屋を借りていた。
おばあさん一人の店ではうまくいかなかったが、ある日田舎から従妹の若い娘フィービが訪ねてきた。母親が再婚したため住むところを求めていた。屋敷の切り盛りと「一文店」の仕入れから販売までの手腕を買われて、同居することになった。若いもの通しで写真家とも仲良くなった。
もう一人住人が増えた。ヘプジバーの兄で刑務所に入っていた、クリフォードが帰ってきた。彼は三十年前から先代の叔父殺害の罪で収監されていた。子供のない先代のお気に入りの甥はクリフォードで資産を相続すると目されていたが、殺人事件を起こし、資産は素行の悪かった従弟の判事の物になった。
先代は七破風屋敷はモール家に返されるべきと考えていたとされ、自分の相続分が減ると考えたことが動機とされた。フィービはその事件の詳細は全く知らなかった。彼は長期のお勤めで半ば廃人のような気の毒な状態だったけれども、フィービの若々しい明るさで人間らしさを取り戻してきた。
フィービがここで永住するため母親に報告に行き留守をしていた時、ピンチョン判事がやってきた。ヘプジバーにクリフォードの出所は仮出所で自分が手をまわしてやった。クリフォードが先代から聞いたという隠し資産の相続人は自分なので受け取る権利がある。隠し場所を教えなければ、仮出所を取り消すと脅した。
びっくりしたヘプジバーがクリフォードの寝室へ行くと、二人の話が聞こえていたのか、コートを着て出かける用意をしていた。「この家を出る、オマエも早く用意をしろ、財布を忘れるな」
その日は雨が激しく降っており、二人はフードを被り他人の注目を避けた。駅に通じる道を二人が歩いていくのが目撃されていた。発車寸前の汽車に飛び乗った。検札の車掌に「どこでもいい。この汽車の行くところまで」
翌日子供が「一文店」に菓子を買いに来たが、閉まったままでベルを鳴らしても返答がなかった。朝食の材料を買いに来た近所の主婦も、大声で文句を言った。
中を覗いてみると応接室に人間の脚だけが見えた。「眠っている」と言う者と、「死んでるんじゃないか」と言う者がいた。
田舎からフィービが帰ってきた。どこも鍵がかかっており、庭に回った。腕をひかれて中に入ったら、写真家だった。彼は銀板写真を彼女に見せた。「えっ、死んでるじゃない」
写真家は屋敷の様子を見に来て途方に暮れていた。判事の死体があり、そして兄妹の姿がみえない。
七破風屋敷で何が起こったのか・・・
ガーディアンマストリード1000の一冊。「緋文字」よりはずっと面白い。ミステリーと言うと語弊があるが、ミステリーっぽい小説。長編だが流れるような文章で読みやすい。
今この屋敷にはヘプジバー・ピンチョンという六十過ぎの老嬢が一人で住んでいる。彼女は先代の叔父ピンチョン氏より遺産として終身の居住権が与えられているものの、資産は所有しておらず非常に窮乏していた。これまで働いたことはないが、三代前の主人が作った店構えを利用し、「一文店」で小間物の商売をすることにした。
屋敷にはもう一人別棟に若い写真家が部屋を借りていた。
おばあさん一人の店ではうまくいかなかったが、ある日田舎から従妹の若い娘フィービが訪ねてきた。母親が再婚したため住むところを求めていた。屋敷の切り盛りと「一文店」の仕入れから販売までの手腕を買われて、同居することになった。若いもの通しで写真家とも仲良くなった。
もう一人住人が増えた。ヘプジバーの兄で刑務所に入っていた、クリフォードが帰ってきた。彼は三十年前から先代の叔父殺害の罪で収監されていた。子供のない先代のお気に入りの甥はクリフォードで資産を相続すると目されていたが、殺人事件を起こし、資産は素行の悪かった従弟の判事の物になった。
先代は七破風屋敷はモール家に返されるべきと考えていたとされ、自分の相続分が減ると考えたことが動機とされた。フィービはその事件の詳細は全く知らなかった。彼は長期のお勤めで半ば廃人のような気の毒な状態だったけれども、フィービの若々しい明るさで人間らしさを取り戻してきた。
フィービがここで永住するため母親に報告に行き留守をしていた時、ピンチョン判事がやってきた。ヘプジバーにクリフォードの出所は仮出所で自分が手をまわしてやった。クリフォードが先代から聞いたという隠し資産の相続人は自分なので受け取る権利がある。隠し場所を教えなければ、仮出所を取り消すと脅した。
びっくりしたヘプジバーがクリフォードの寝室へ行くと、二人の話が聞こえていたのか、コートを着て出かける用意をしていた。「この家を出る、オマエも早く用意をしろ、財布を忘れるな」
その日は雨が激しく降っており、二人はフードを被り他人の注目を避けた。駅に通じる道を二人が歩いていくのが目撃されていた。発車寸前の汽車に飛び乗った。検札の車掌に「どこでもいい。この汽車の行くところまで」
翌日子供が「一文店」に菓子を買いに来たが、閉まったままでベルを鳴らしても返答がなかった。朝食の材料を買いに来た近所の主婦も、大声で文句を言った。
中を覗いてみると応接室に人間の脚だけが見えた。「眠っている」と言う者と、「死んでるんじゃないか」と言う者がいた。
田舎からフィービが帰ってきた。どこも鍵がかかっており、庭に回った。腕をひかれて中に入ったら、写真家だった。彼は銀板写真を彼女に見せた。「えっ、死んでるじゃない」
写真家は屋敷の様子を見に来て途方に暮れていた。判事の死体があり、そして兄妹の姿がみえない。
七破風屋敷で何が起こったのか・・・
ガーディアンマストリード1000の一冊。「緋文字」よりはずっと面白い。ミステリーと言うと語弊があるが、ミステリーっぽい小説。長編だが流れるような文章で読みやすい。
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花の年金生活者です。
勤労者の皆様お仕事ご苦労様です。皆様のお陰で朝からお酒を戴きながら本が読めます。
二年ほど前まではアウトドア派で、山渓の「日本の山1000」を目指していました。五街道まで足を広げたら、歩きすぎで戸塚宿で足萎えになり、525山で中断しています。
代わりに、「ガーディアンマストリード1000」を目標としています。難しい本は読めませんが・・
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- 出版社:泰文堂
- ページ数:546
- ISBN:B000JAFTD4
- 発売日:1970年01月01日
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