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薄荷さん
薄荷
レビュアー:
この本は、うすら怖い。何が怖いって・・・「著者の反応」が。
幽霊を見たことないし、おそらくこれからも見ることは無いだろうし、ぶっちゃけ絶対幽霊なんていないよねー・・・と思っている著者が、でも見るチャンスを何となく追求しつつ、他人の恐い話を収集しながら幽霊や怖いものについて考えているけど、やっぱり幽霊を見ることだけは全然ないエッセイです。
・・・って紹介すると、実話怪談集+エッセイのちょっとオモシロ怖い本かなー?なんて思ったら大間違い。数々の出来事に対して著者の反応が、「ちょっと普通と違って」いるのが怖いのです。



例えば・・・
何故か転ぶ人がやたらと多い近所のデパートの外階段を見た『私見えるの』アピールのすごい人が、「あそこで子供の幽霊が人をコケさせてるのよ」って言ってた・・・と話したところ、ご主人が「そこに行かないで。なんかキモチ悪いから」言いだした。
著者は(ご主人は)幽霊を全く信じていないのに、なんで?と不思議に思いつつ、「わかった。行かない」と答えた後日、その階段へわざわざ出向いて上り下りしてみたが、やっぱり何もなかった・・・って話。

『幽霊の正体見たり 枯れ尾花』と笑う人でも、「『近所の神社に釘が打たれたワラ人形』があるんだよ」と聞いただけで、日本人は「強烈な憎しみ」が身近で具現化されている事に恐怖を感じ、「あからさまな穢れ」の気配に本能的な忌避感を覚えます。
ご主人が気味悪がったのもその辺だろう・・・と多分読者のほとんどが思っている中、それを全く解さない著者も怖けりゃ、そのデパートに『階段上り下りをするためだけ』に出向く、強い好奇心と鈍感さがジワジワ怖い・・・。



例えば・・・
確実に「誰もいない空席」に声高に話しかけている男がいる電車に乗り合わせ、乗客全員が見ないようにしている中、著者がその「誰もいない空席」に座ったら、男に物凄く嫌な顔をされて睨まれた・・・って話。

著者を含めて乗客全員が「そこは空席」と認識している中、男にしか見えない「ナニカ」がそこにいようがいまいが異質に関わるのが怖い・・・と普通は、無視するものです。
でも著者は、これまた強烈な好奇心に突き動かされ、あろうことか注目の「ナニカ」席に座っちゃう。
いやいやいや・・・危ないから!
見えないけど「ナニカ」がうっかりいるかもしれないし、その男も何してくるかわからないから!
自分の身内なら、物凄く注意するところです。


他にも・・・
文豪の幽霊が出るホテルに、幽玄なる出会いを期待していそいそ泊まり、
怪我をしたご主人の治療待ちの救急病院で、誰もいないトイレでナースコールが押されたと知って「ニアミス!」と喜び、
道行く野良猫に「死んだらウチに(幽霊として)おいで。」と誘う・・・etc
その変人っぷりと強烈な好奇心が、数々の奇奇怪怪作品を生み出しているんでしょう。きっと。

そんな訳で「おばけを見なかった」体験談では著者が一番怖いですが(笑)、そんな著者が収集した他者の「怖い体験談」は、一風変わった怖さがあってたまらなく面白い!
中でも「知人の不思議な映画館体験」と「友人が絶対に映像作品を見ない理由」が、個人的にすごく好き♡
恐い話が苦手な方も、多分大丈夫・・・?ちょっと変化球に怖い本書を、ぜひご堪能ください。
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薄荷
薄荷 さん本が好き!1級(書評数:512 件)

スマホを初めて買いました!その日に飛蚊症になりました(*´Д`)ついでにUSBメモリーが壊れて書きかけレビューが10個消えました・・・(T_T)

読んで楽しい:16票
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この書評へのコメント

  1. 薄荷2020-03-16 19:51

    そんな著者の書いた本の中でも読みやすくて面白いのが、こちら↓
    奇妙で怖くて…一切主人公に共感できない(笑)、不気味ですごく面白い本です。

  2. No Image

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