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献本書評
かもめ通信
レビュアー:
とりあえずブルガリアに行ったら買うもののリストはできたよう!?
ブルガリアと聞いてあなたはなにを思い浮かべる?

私はまずヨーグルト!
元大関琴欧洲・現在の鳴戸親方
リラの僧院
少し前に読んだブルガリア出身の作家ミロスラフ・ペンコフの『西欧の東』
おばちゃまスパイシリーズの『おばちゃまは東欧スパイ』の舞台は確か
共産主義政権下のブルガリアだったっけ。
ひたすら黒海をめざす宮本輝の『ドナウの恋人』にも出てきたはず
……と、一生懸命考えても思いつくのはこの程度。

こんな貧弱なイメージしかもたないのに
なぜか行ってみたい国のリストに入っているのは
眺めるのが趣味の旅行のパンフレットに「ブルガリア・ルーマニア十数日間」
などとうたって、あまり観光地化されていない「秘境」への旅にいざなう
広告がでかでかとうたれているからというミーハーな理由にほかならない。

そんなわけでKanKanTripのブルガリア編。
いつか出かける日のためにもこれはやっぱり読まなきゃ!!でしょう!

私が見るところ、
KanKanTripには旅人目線の本と生活者目線の本があると思うのだが、
今回の著者Sannaさんは同じKanKanTripの
バルト三国編やスウェーデン編を手がけているようだから
旅人目線のレポートになっているのだろうとあたりをつけて読み始め、
その情報量の多さに驚く。

遺跡や名所、伝統工芸品にグルメ情報、
お祭りレポートにお土産品の紹介まで
ふんだんな写真と共に次々と紹介されていて、
隅々まで興味深い。

とはいえ豊富な現地情報を消化するための読み手の基礎知識不足を痛感。
付け焼き刃を試みようにもブルガリア関連出版物の少なさに驚く。
あの『地球の歩き方』でさえ、ブルガリア単独本はないのだ。

そんなわけで今回は“あったらいいな”と、
ぜひ補ってもらいたいと思った点をあげさせてもらおう。

まずは地図。
この本にも一応「ブルガリア全体図」なるものが載ってはいるのだが
周辺の国々を含めたもうちょっと広範囲な地図が欲しい。
食文化をはじめ周辺地域との関係や文化圏が理解しやすくなるだろう。

それから歴史解説。
地図の下の半ページに大雑把な歴史ものってはいるが、
いかんせんイメージがつかみづらい。
ローマ帝国から第一次ブルガリア帝国
ビザンチン帝国に第二次ブルガリア帝国
オスマン帝国に……と
国の形の変遷がわかる地図もそえてもらえるとよりわかりやすくなりそうだ。
そういう歴史を知っていた方が遺跡巡りも楽しめるはず。
というのもこの本によるとブルガリアは
まさに古代遺跡の宝庫のようなのだ。

ページをめくり写真をみながら
これは古代ローマの遺跡!
え?このモスクはいつの時代に建てられたもの?
この王冠は誰の頭を飾ったのか
と「?」がいっぱい。
もちろん説明は添えられているのだが
点と点がなかなか繋がらない。
歴史を記す年表に、
関連遺跡が掲載されているページを記すなどの
工夫があった方がいい気がした。

さらに注文をつけると
きれいな写真が盛りだくさんなのはいいが
小さい写真も多く、ごちゃごちゃした印象も。
老眼の目にはなかなか厳しい。
枚数を絞っても大きな写真をもっと載せた方が見やすく
見栄えもするのではないだろうか。


そういう気になる点はあったが、
豊富な情報量と綺麗な写真が旅の魅力を伝えてくれることは間違いなく、
見たい場所、食べたいもののチェックの他
ブルガリア刺繍や
地域色のある木工製品や陶磁器などの伝統工芸品はもちろん
ヨーグルト入りのハンドクリームなど
お土産情報も入念に確認した。

なにより『西欧の東』で気になっていた
ガイダと呼ばれるブルガリアのバクパイプの写真をみられたこと、
お土産用には山羊の皮ではなく、
豚の皮で作られたミニチュア版があるのだという情報がうれしかった。
(すでに買う気満々らしい)
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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2234 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

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この書評へのコメント

  1. 三太郎2019-09-24 18:44

    ブルガリアってどんな国?と思ってWikipediaを検索したら、意外な情報が・・・

    ブルガリアの近年の出生率は1.5人前後で、日本や韓国なみに子供が少ないらしい。しかも新生児の半分以上が非嫡出児だとか。みんな結婚したがらないのかな?

    のどかな国かと思っていましたが、そう単純ではなさそうですね。

  2. たけぞう2019-09-24 19:00

    >かもめ通信さん
    私もまずヨーグルト!

  3. かもめ通信2019-09-24 19:17

    >三太郎さん
    これは以前TV番組かなにかで聞きかじった情報なので、もしかすると不正確かもしれませんが、ブルガリアにはこれといった基幹産業がなく、若者は皆、他のヨーロッパ諸国に出稼ぎに行ってしまうのだとか。
    若者が収入を得る手段がないと、出生率はあがらないでしょうねえ。

    ちなみに婚外子については、ヨーロッパではもう珍しくもないかも。
    フランスもブルガリアと同じ60%を占めるそうですし、アイスランドは70%だっていう話ですよ。
    事実婚が増えているということもあるようですが。
    「結婚」というものの形そのものが変わってきているような気がします。

  4. かもめ通信2019-09-24 19:21

    >たけぞうさん
    そういえば昔、職場で流行りました。ヨーグルト作りw
    種をもらって帰って自宅のお風呂場でせっせと作っていましたよ。ヨーグルト。
    今思うと、なんであんなにはまってたんだろうなあw

  5. 三太郎2019-09-24 20:28

    >かもめ様

    事実婚というのは西欧の先進国のものと思っていたので意外でした。
    ちなみにフランスの出生率は低くはなかったはず。
    (僕ら)中高年が多いのはブルガリアと日本は似たもの同士か?

  6. かもめ通信2019-09-25 06:00

    似ているかどうか、確認する意味でも
    一度は行ってみなくては!w

  7. No Image

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