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ヤドリギ
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迷わず兎穴にダイヴ。こんなステキな世界なら戻れなくなってもかまわない。
奇妙で幻想的な挿絵は、チェコ・プラハ生まれ、シュルレアリスムの巨匠ヤン・シュヴァンクマイエルによるもの。(写真1)この絵をよく見てください。もっと近づいて見て下さい。そんなにじっくり見ないで、トライポフォビアの人は痒くなっちゃうから。

一目惚れです。なんてユニークで不思議な絵なんだろ。この技法はただのコラージュではなく「ブリコラージュ」です。アルチンボルドが描いた野菜の顔したルドルフ2世像(写真3)がアイデアの源とも言われます。

野生の思考と存在の魔性を留めている…とはなんぞや。でも何となく伝わる。一つ一つの素材が、生きたまんまの姿を保っていて、それらが集ってとんでもない魔力を発揮している。言うなればけんちん汁。いえ、もっとオシャレにブイヤベース。

広義の意味では、神話や呪術も各地方の言い伝えを寄せ集めて出来た「ブリコラージュ」である。

そう考えると、「不思議の国のアリス」はまさにブリコラージュですね。うさぎ、イモムシ、チェシャ猫、いかれ帽子屋など、次々と個性的なキャラが登場する。会話やストーリーは一見脈絡がないように見えて、一つの世界をちゃあんと築きあげている。(「カフカ短編集」にもシンパシー感じます。)

大人になっても不思議の国に行ったきり、戻って来れないアリスフリークは意外と多いのでは…

それもそのはず、ルイス・キャロルが描いているのは「おとぎ話」ではなく「夢」なのだから。おとぎ話とは、多少なりとも教育的で理性的なもの。方や、夢は何ものにも縛られない自由空間。見る本人にすらコントロール出来ない。

ちなみに、キャロルは数学者だって、皆さまご存知でしたか?数学的センス0の私には見当もつかないのですが、アリスの世界に「数学的」要素を見出された方は、ぜひご教授ください。
    • 写真1
    • 写真2.なつかしい
    • 写真3.ヘルシー
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ヤドリギ
ヤドリギ さん本が好き!1級(書評数:55 件)

はじめまして^_^ 太宰治「津軽」が私の初レビューです。

芥川や太宰、梶井基次郎など日本文学が好き。カミュやサガンなどフランスの文学も素敵。

レトロなカフェで小説を読んでいると時間を忘れてタイムスリップした気分に…

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この書評へのコメント

  1. ゆうちゃん2019-09-08 23:02

    この野菜の顔の絵は、去年かもう少し前に日本でも展覧会がありませんでしたっけ?

    確かに、ルイス・キャロルは筆名で、本職は数学者のようですね。子供の頃に読んだっきり、トランプに襲われるアリスの絵とかトランプの王様の場面しか覚えていません。う~ん、ネットで調べると虚数とかカテナリー曲線、論理学などが登場するようですが、読み直してみないことには・・。

  2. ヤドリギ2019-09-09 12:11

    コメントありがとうございます。

    >虚数とかカテナリー曲線、論理学…
    (・・?)何か分かったらまた教えて下さい。易しく

    芋虫が「きのこの片側を食べると小さくなる、その反対を食べると大きくなる」と言う場面があるのですが、円形のきのこに対角線を引くためアリスが両手を広げます。
    コレが私の見つけた小さな算数w

  3. あかつき2019-09-10 14:27

    昔、アリスの算数本が実家にありました。錯視や虚数ネタがあったような、、、なかったような。
    鏡の国バージョンもあります。

  4. ヤドリギ2019-09-10 15:49

    あかつきさんこんにちは。
    情報ありがとうございます♪
    これなら算数嫌いの私にも楽しめそうです。

  5. あかつき2019-09-10 17:28

    いや,古い本なので図書館とかにあるかなー?
    自分でもあまり内容を覚えていなくてごめんなさい!
    もし興味がおありでしたら探してみてください,面白かったことだけは覚えています.

  6. ヤドリギ2019-09-10 19:14

    あかつきさん。ありましたよ!
    図書館閉館ギリでゲットしました。
    30刷って書いてある。ピカピカなのです☆

  7. あかつき2019-09-10 19:40

    30刷!すごい、ロングセラー?
    レビュー待ってます!

  8. ゆうちゃん2019-09-10 21:00

    あかつきさんの本、なかなか興味津々ですね。30刷もされているのですから、好評を博したのでしょう。

    ところで、
    『芋虫が「きのこの片側を食べると小さくなる、その反対を食べると大きくなる」と言う場面があるのですが』は読んでいてなかなか鋭いと思いました。この書評を読んで、ネットでちょっと調べてみました。人のHPの内容なので触れないでいましたが、同じ場面を引用していたので・・。
    https://matome.naver.jp/odai/2143018694192400801?&page=3
    小学校で習う「約分」、中学校で習う「移項」に関係があるようです。
    このHPの該当箇所は、キャロルの時代に提唱された新しい数の概念「虚数」に、自然数などと同じ計算規則が通用するということを証明したド・モルガンを皮肉ったことを言っているのだと思います。キャロル自身は「虚数」などというものは認めなかったのだと思います。

  9. No Image

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