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DBさん
DB
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農園の一年を追った本
週末にハーブの植え替えをしました。
ベランダのプランターで育てているのですが、毎日の成長が楽しみです。
まあ夏の暑さにやられて枯れてしまい春にまた新しい苗を植えるのがいつものパターンなんだけど。

本著は長野の山で農園を楽しんでいる玉村氏のエッセイです。
30年前の話だけど、農家の暮らしはそんなに変わることはないだろう。
エッセイは春にはじまります。
貯蔵して冬の間食べていたジャガイモが、芽を出してくると春の訪れだとか。
ジャガイモが芽と根を出してお化けのようになったのを見たことはあるが、それと季節を関連付けるものとは思わなかった。
少し萎びてそれでも甘いジャガイモを食べながら、春の農作業計画がはじまる。

春は種を植えたり苗を作ったり。
そして霜がもう絶対に降りないという5月末に定植。
そこから雑草をとったり花や実の管理をしたりと忙しい夏。
収穫の秋と慌ただしく過ぎていきます。

祖父母が田んぼを作っていたんだけど、やはり春には苗を作って田植え、夏は水の管理や草取りに肥料まき、そして秋の収穫と天気や稲の実入りを見ながらせっせと働いていたのを思い出した。
祖父母の田んぼは自分達が食べるぶんくらいのコンパクトなものだったが、これで生計を立てていくような大きな所だともっと大変なんだろう。

農家ならではの発想で、ニンニクは作物の回収率があまりないから人気がないとか、珍しいものを植えてどこで売れるのかを知りたがるという話も出てきた。
キノコは茹でておろし和えとか、唐辛子は粉にして七味唐辛子という固定観念は地域的なものかもしれないけど。

曲がったキュウリは売れないんじゃなくて、箱に詰めたり配送したりの管理上真っ直ぐで同じくらいのサイズに揃えてあるほうが楽なんだと知った。
祖父母が畑で作っていたキュウリはいろんな形をしてたし巨大化したのもあったので、あれは自家消費しか考えてない作り方なんだなと思いました。

著者が折々に描いたスケッチが挿し絵になっています。
素朴な絵ですが、個展をひらくと必ず「ステキな絵ですね。自分も絵を描いてみたくなった」という人がいるんだとか。
ピカソの絵を見て「絵が描きたくなった」と言わないだろうと微妙な気持ちになる筆者の心境が伝わってくる。

ハーブにトマトにナスやズッキーニと、わたしの野菜の趣味は玉村氏と似ているだけに面白かった。
毎日の食卓に上る野菜。
食事と一緒に楽しむワイン。
自分の手で育て上げてそれを楽しむのが最高のスローライフですね。
スタインベックを思い出した。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2033 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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