たけぞうさん
レビュアー:
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ヤマザキマリさんは、とんでもない人だった。
テルマエ・ロマエは全巻揃えましたし、コミックエッセーも何冊か入手して
イタリア在住の漫画家さんということも知っています。
さらに気弱なイタリア人の夫とよく似た舅、豪快な姑との日常のやり取りなど
いろいろと楽しませてもらっています。
よく知っている漫画家さんの食エッセーぐらいの軽い気持ちで
手に取りましたが、知らないことが満載でかなり面食らいました。
コミックエッセーはヤマザキマリさんの視点なので気づかなかったのですが、
文章を読んでよく分かりました。とんでもなく豪快な人なのでした。
これまでイタリアの家族のことばかり読んでいて、日本での生活は
あまり知らなかったのですが、それもそのはずでした。
十七才でイタリアに留学して住みつき、2019年で三十五年になるのです。
日本での生活は、一時帰国で北海道にしばらくいたぐらいで、
人生の三分の二は海外という人なのです。
全編から、生命力にあふれたなんとかなるさ感がほとばしっていて、
読んでいて元気になります。
イタリアが大好きで移住したんだねと思ったら、そういう訳ではなく、
その時の流れのようなのです。実際、イタリア以外にも他の国に結構長く
滞在しているのです。
住んだ国は、ポルトガルが長そうで、他にはシリアとアメリカのシカゴ。
行ったことのある国でエピソードを上げているのは、ブラジル、チベット、
キューバ、フランス、ドイツ、ロシア。
それ以外にもいろいろと訪れているでしょうね。
旅行で行った国でありながら、この人の場合はただの旅行ではない
深入り感があります。キューバへはボランティアで滞在しているぐらいですし。
そもそも最初の渡航が十四才の時のフランスで、リヨン近郊に暮らす人を
訪れています。その人は、お母さんの学生時代からのペンフレンドです。
・・・ 待って。お母さんですら会ったことのない人ですよね?
それを、十四才が、初めての海外旅行で行くのであると。
しかもその時、リヨンの次の目的地がドイツ。一人で電車ですよ。
さすがに旅程は決まっていたと思うのですが、あまりの驚きに
別世界感を味わいました。
自分が十四才のときを思い出してみて下さい。
一人でフランスに行き、初めて会う人のお宅に何日か泊めてもらったあと、
ドイツに行くんですよ? 大人だって無理という人がいそうです。
多分、著者の育ちの影響でしょう。
お母さんが音楽家で、家を空けることが多かったのでしょう。
夕飯におにぎりと千円札が置いてあり、おかずを何か買って食べるという夜を、
妹と二人で何回も乗り切っています。つい漫画を買ってしまい、
インスタント麺やスナック菓子でお腹を満たすこともしばしばです。
母子家庭ならではの苦労なのでしょうが、その結果でスパルタ式に生活能力が
鍛えられたのです。
本人は、それを自然と受け入れているみたいなので、文章からスパルタ感が
伝わってこないあたりも驚愕します。
どこでも生きていけるという著者の大物感があります。
キーワードは食べ物です。この本でダイレクトに伝わってくるテーマです。
何でも食べられるということが、心のゆとりにつながっているのでしょう。
それでも胃腸を壊すし、入院はするし、苦手な食べ物もありそうです。
言いかえれば何でも食べてやろうという心がまえなのかもしれませんね。
だって、その国のその人が同じものを食べているのですから。
二度目の渡航となった十七才のイタリア行きは、貧乏画学生の生活を
十一年続けるスタートとなります。生活の中で見聞きした経験が、
著者をひと回りもふた回りも大きくしています。
日本やアメリカの食に対する圧倒的な寛容さと応用力は、
ヨーロッパの保守性の真逆であることを知り、非常に驚きました。
イタリアは食に寛容なイメージがあったのですが、全然違いました。
自分の知識がリセットされる読書で、非常に新鮮でした。
お薦め度は非常に高いです。
イタリア在住の漫画家さんということも知っています。
さらに気弱なイタリア人の夫とよく似た舅、豪快な姑との日常のやり取りなど
いろいろと楽しませてもらっています。
よく知っている漫画家さんの食エッセーぐらいの軽い気持ちで
手に取りましたが、知らないことが満載でかなり面食らいました。
コミックエッセーはヤマザキマリさんの視点なので気づかなかったのですが、
文章を読んでよく分かりました。とんでもなく豪快な人なのでした。
これまでイタリアの家族のことばかり読んでいて、日本での生活は
あまり知らなかったのですが、それもそのはずでした。
十七才でイタリアに留学して住みつき、2019年で三十五年になるのです。
日本での生活は、一時帰国で北海道にしばらくいたぐらいで、
人生の三分の二は海外という人なのです。
全編から、生命力にあふれたなんとかなるさ感がほとばしっていて、
読んでいて元気になります。
イタリアが大好きで移住したんだねと思ったら、そういう訳ではなく、
その時の流れのようなのです。実際、イタリア以外にも他の国に結構長く
滞在しているのです。
住んだ国は、ポルトガルが長そうで、他にはシリアとアメリカのシカゴ。
行ったことのある国でエピソードを上げているのは、ブラジル、チベット、
キューバ、フランス、ドイツ、ロシア。
それ以外にもいろいろと訪れているでしょうね。
旅行で行った国でありながら、この人の場合はただの旅行ではない
深入り感があります。キューバへはボランティアで滞在しているぐらいですし。
そもそも最初の渡航が十四才の時のフランスで、リヨン近郊に暮らす人を
訪れています。その人は、お母さんの学生時代からのペンフレンドです。
・・・ 待って。お母さんですら会ったことのない人ですよね?
それを、十四才が、初めての海外旅行で行くのであると。
しかもその時、リヨンの次の目的地がドイツ。一人で電車ですよ。
さすがに旅程は決まっていたと思うのですが、あまりの驚きに
別世界感を味わいました。
自分が十四才のときを思い出してみて下さい。
一人でフランスに行き、初めて会う人のお宅に何日か泊めてもらったあと、
ドイツに行くんですよ? 大人だって無理という人がいそうです。
多分、著者の育ちの影響でしょう。
お母さんが音楽家で、家を空けることが多かったのでしょう。
夕飯におにぎりと千円札が置いてあり、おかずを何か買って食べるという夜を、
妹と二人で何回も乗り切っています。つい漫画を買ってしまい、
インスタント麺やスナック菓子でお腹を満たすこともしばしばです。
母子家庭ならではの苦労なのでしょうが、その結果でスパルタ式に生活能力が
鍛えられたのです。
本人は、それを自然と受け入れているみたいなので、文章からスパルタ感が
伝わってこないあたりも驚愕します。
どこでも生きていけるという著者の大物感があります。
キーワードは食べ物です。この本でダイレクトに伝わってくるテーマです。
何でも食べられるということが、心のゆとりにつながっているのでしょう。
それでも胃腸を壊すし、入院はするし、苦手な食べ物もありそうです。
言いかえれば何でも食べてやろうという心がまえなのかもしれませんね。
だって、その国のその人が同じものを食べているのですから。
二度目の渡航となった十七才のイタリア行きは、貧乏画学生の生活を
十一年続けるスタートとなります。生活の中で見聞きした経験が、
著者をひと回りもふた回りも大きくしています。
日本やアメリカの食に対する圧倒的な寛容さと応用力は、
ヨーロッパの保守性の真逆であることを知り、非常に驚きました。
イタリアは食に寛容なイメージがあったのですが、全然違いました。
自分の知識がリセットされる読書で、非常に新鮮でした。
お薦め度は非常に高いです。
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ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。
自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。
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- 出版社:新潮社
- ページ数:208
- ISBN:9784106108099
- 発売日:2019年04月17日
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