darklyさん
レビュアー:
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この物語は全くのフィクションなのだろう。しかし百田さんに近い年齢の男性にはとても共感できると思う。私は読んでいて忘れていた少年時代の良くも悪くも振れ幅の大きい気持ちを思い出した。
小学6年生の遠藤宏志は家が貧乏で生活保護を受けている木嶋陽介と吃音症の高頭健太と騎士団を結成する。もちろんアーサー王の影響だ。騎士団が愛と忠誠を誓うレディには学校一の美人で帰国子女の有村由布子が選ばれた。と言っても特に何をするわけでもない。同じクラスの壬生紀子はクラスの皆から嫌われている。髪の毛は坊主みたいに短く、おまけに口の周りにはうっすらとヒゲが生え、安物のシャツ、よれよれのジーンズをいつも履いている。紀子は母親が精神病であることで虐められたが口達者で反骨心が強く嫌われると同時に一目も置かれている。宏志も紀子が嫌いだ。
勉強はからっきしの騎士団に由布子から提案があった。夏休みに難関中学受験のための模試を受け県で100番以内に入れば騎士団の誓いは本物だと認めるという。また秋にある文化祭の出し物で宏志のクラスは「眠れる森の美女」の演劇をすることが決まっていた。そのキャスト決めで主役オーロラ姫が紀子に決まる。もちろん嫌がらせだ。そしてフィリップ王子を決めるときに宏志が立候補する。
嫌いな紀子の相手役になぜ宏志が立候補したかというと、その数日前、宏志が街の不良に絡まれたときに紀子の機転に助けられたからだ。その恩返しと咄嗟に手を挙げたが後悔する。もっこり恥ずかしい衣装でしかも紀子と踊らなければならないからだ。しかし悪意に満ちたクラスへの反骨心から真剣に踊る紀子に影響を受け始める。同時に模試についても紀子も一緒に受けることになり紀子と騎士団は一緒に勉強を始める。
世間では変質者により少女が殺されるという事件が起こっており犯人はまだ捕まっていない。騎士団はその犯人を自分たちで突き止めようと探偵の真似事を始める。模擬試験の結果は?「眠りの森の美女」は?そして殺人事件の犯人は誰なのか?
百田さんと言えばSNSを始めとして物議を醸しだす発言が多く、いわゆる左寄りの方々から避難を浴びることが多い作家です。もちろん物の考え方は人それぞれですし、議論すること自体悪いことではないと思うのですが、百田憎しが高じて彼の作品を攻撃する人たちもいます。唖然としたのが「永遠のゼロ」を戦争賛美小説であると断じた有名人がいて、もちろん小説をどのように読んでどのように感じるかは人それぞれで構わないのですが、この人は小説を読んでいないと言うのです。まあ百田さんもどうかなと思う発言は多いと思いますがどっちもどっちだと思います。
ワーグナーやリヒャルト・シュトラウスの人格に問題があったとしても、彼らの作った音楽が素晴らしいように、小説は小説としてフラットに評価するというのがフェアな態度というものでしょう。この物語を読んで自分が子供の頃そうだったと共感する場面が多く、みずみずしい感性を失わない百田さんは素晴らしいと思いました。
主人公の宏志は私自身とても共感する部分が多いキャラクターです。人間的にもケンカにも強いわけでもなく特に何か優れているというわけでもないけれど、妙な正義感があり、数を恃む者たちに反発し、弱い立場の者に共感します。
またこれぐらいの年の少年にとって女性は神秘的な存在です。そして見た目がとても重要です。しかし大人に向かって成長していく中で、あまり意識していなかった女の子のふとした表情であったり、態度やしぐさ、発言、知らなかった能力・趣味などをきっかけに気になる存在になっていくことも自分を振り返ってもあったなあと思い出しながら読みました。
また悪い人だと思っていたが実はいい人であったり、逆もあったり、物事や人を一面的にしか見れなかった子供時代から少しずつ多面的に見れるようになるのもこの頃だったなあとも思います。人は見かけや表面上の態度で判断してはいけない。と人生で学んだはずなのですが、国母和宏や沢尻エリカの例を見ると人はそれなりのものの場合もあるし、人間って難しいなあと思います。
他に秘密基地や探偵ごっこなど私ぐらいから年上の人の少年時代には多くの人が通った道ではないかと思います。まさに少年時代を懐かしむ爽やかな物語であり人に薦めやすい本です。
勉強はからっきしの騎士団に由布子から提案があった。夏休みに難関中学受験のための模試を受け県で100番以内に入れば騎士団の誓いは本物だと認めるという。また秋にある文化祭の出し物で宏志のクラスは「眠れる森の美女」の演劇をすることが決まっていた。そのキャスト決めで主役オーロラ姫が紀子に決まる。もちろん嫌がらせだ。そしてフィリップ王子を決めるときに宏志が立候補する。
嫌いな紀子の相手役になぜ宏志が立候補したかというと、その数日前、宏志が街の不良に絡まれたときに紀子の機転に助けられたからだ。その恩返しと咄嗟に手を挙げたが後悔する。もっこり恥ずかしい衣装でしかも紀子と踊らなければならないからだ。しかし悪意に満ちたクラスへの反骨心から真剣に踊る紀子に影響を受け始める。同時に模試についても紀子も一緒に受けることになり紀子と騎士団は一緒に勉強を始める。
世間では変質者により少女が殺されるという事件が起こっており犯人はまだ捕まっていない。騎士団はその犯人を自分たちで突き止めようと探偵の真似事を始める。模擬試験の結果は?「眠りの森の美女」は?そして殺人事件の犯人は誰なのか?
百田さんと言えばSNSを始めとして物議を醸しだす発言が多く、いわゆる左寄りの方々から避難を浴びることが多い作家です。もちろん物の考え方は人それぞれですし、議論すること自体悪いことではないと思うのですが、百田憎しが高じて彼の作品を攻撃する人たちもいます。唖然としたのが「永遠のゼロ」を戦争賛美小説であると断じた有名人がいて、もちろん小説をどのように読んでどのように感じるかは人それぞれで構わないのですが、この人は小説を読んでいないと言うのです。まあ百田さんもどうかなと思う発言は多いと思いますがどっちもどっちだと思います。
ワーグナーやリヒャルト・シュトラウスの人格に問題があったとしても、彼らの作った音楽が素晴らしいように、小説は小説としてフラットに評価するというのがフェアな態度というものでしょう。この物語を読んで自分が子供の頃そうだったと共感する場面が多く、みずみずしい感性を失わない百田さんは素晴らしいと思いました。
主人公の宏志は私自身とても共感する部分が多いキャラクターです。人間的にもケンカにも強いわけでもなく特に何か優れているというわけでもないけれど、妙な正義感があり、数を恃む者たちに反発し、弱い立場の者に共感します。
またこれぐらいの年の少年にとって女性は神秘的な存在です。そして見た目がとても重要です。しかし大人に向かって成長していく中で、あまり意識していなかった女の子のふとした表情であったり、態度やしぐさ、発言、知らなかった能力・趣味などをきっかけに気になる存在になっていくことも自分を振り返ってもあったなあと思い出しながら読みました。
また悪い人だと思っていたが実はいい人であったり、逆もあったり、物事や人を一面的にしか見れなかった子供時代から少しずつ多面的に見れるようになるのもこの頃だったなあとも思います。人は見かけや表面上の態度で判断してはいけない。と人生で学んだはずなのですが、国母和宏や沢尻エリカの例を見ると人はそれなりのものの場合もあるし、人間って難しいなあと思います。
他に秘密基地や探偵ごっこなど私ぐらいから年上の人の少年時代には多くの人が通った道ではないかと思います。まさに少年時代を懐かしむ爽やかな物語であり人に薦めやすい本です。
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昔からずっと本は読み続けてます。フィクション・ノンフィクション問わず、あまりこだわりなく読んでます。フィクションはSF・ホラー・ファンタジーが比較的多いです。あと科学・数学・思想的な本を好みます。
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この書評へのコメント
- keena071511292019-12-10 09:13
>この物語は全くのフィクションなのだろう。
粗筋を拝見した限りでは
この作品はジョルジュ・サンドの『愛の妖精』にとてもよく似ています
「間違いなく参考にしているだろう」レベルです
百田さんの作品も『愛の妖精』も好きなので
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- 出版社:新潮社
- ページ数:256
- ISBN:9784103364146
- 発売日:2019年07月18日
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