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三太郎さん
三太郎
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四人の売れっ子の作家による共作のような短編集。どれにも欧州の郷土料理が登場する。
四人の売れっ子の作家による共作のような短編集。角田さんと江國さんは馴染みの作家さんだが、井上さんと森さんの作品は初めてだ。

どれも欧州の田舎を舞台にした料理が絡んでくる小説で、主人公の多くは生まれ故郷の独特の因習と戦いつつそこに帰っていくという物語だった。微妙なのは作家自身は欧州出身でも欧州で生活したわけでもなさそうで、ここで描かれた登場人物のメンタリティーは作者がそれらしく作り上げたものなのかな、という疑問を感じてしまうことだ。

江國さんの「アレンテージョ」はちょっと違っていて、登場する若いゲイのカップルは彼らの生まれ育ちは不明のままで、舞台がポルトガルでも日本のどこかでも構わない感じだ。ゲイの二人がリスボンからスペインとの国境近くのアレンテージョへ自動車で旅行し、コッテージに三泊する間のできごとが描かれている。

コッテージに泊まっている訳ありのカップルの描写の間に、ゲイの二人の痴話げんかがはさまれる。二人は三晩のディナーを毎晩異なるレストランでとる。二晩はグルメ本で見つけたレストランだったが、最後の晩はコッテージで奥さんの料理を食べる。デザートに舌がしびれるほど甘い黄色いお菓子がでてくる。コッテージの経営者の家族への二人の眼差しは柔らかい。江國作品につきものの性的関係はここでは直接は描かれない。彼女の作品には珍しくさわやかな印象を残した。


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三太郎
三太郎 さん本が好き!1級(書評数:828 件)

1957年、仙台に生まれ、結婚後10年間世田谷に住み、その後20余年横浜に住み、現在は仙台在住。本を読んで、思ったことあれこれを書いていきます。

長年、化学メーカーの研究者でした。2019年から滋賀県で大学の教員になりましたが、2023年3月に退職し、10月からは故郷の仙台に戻りました。プロフィールの写真は還暦前に米国ピッツバーグの岡の上で撮ったものです。

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