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たけぞう
レビュアー:
こんなに面白い児童書はちょっとないよ! 刺激的。
タイトルが、本好きさんを煽るみたいに感じたのですが、
先行書評で面白そうだったので読みました。

いやあ、すごかったです。王道の作品です。
日本とアメリカの小学校の雰囲気や家庭環境の違いも含め、
文化的な違いが強く感じられて刺激的でした。

原題は Ban This Book。
Banは初めて聞いた動詞ですが、forbid やprohibitに対して
法的に禁止するというニュアンスがあります。
直訳すれば「この本を禁止して!」。
それが「貸出禁止の本をすくえ!」になるあたりが翻訳の妙であり、
読んでみると日本人の精神性に合っているので不思議ですね。
文意を汲むと、訳題の素晴らしさが分かります。

アメリカはPTAの力が強いと聞いたことがあります。
あらためて考えるとそういう学校も多くあるというだけで、
そうではない学校も多くあるのだと思います。
日本では一部の私立小学校と圧倒的多数の公立小学校があり、
公立は学区でがちがちに縛られていてとにかく横並びです。
だから、上流階級を意識する人たちが、子どもを守るためという正論で
教育委員会に訴えるなんてことは日本では少ないです。
この本は、そこに違いを感じます。

アメリカの図書館には、異議申し立てや貸出禁止措置を受ける
仕組みがあります。有害図書というやつですね。
日本では表現の自由という権利がかなり強く、状況がまるで違います。
どちらにもいい面と悪い面があります。

この作品は、一部の人たちが自分の価値観をごり押しした、
行き過ぎた有害図書管理の実態を題材にしています。
極端さと理不尽さは正気を疑うレベルですが、
逆に自分は絶対に正しいと思い込むことの恐ろしさも伝わってきます。

日本にも、モンスターペアレントなんて言葉がありますが、
不寛容さという面で同じですね。
この作品は、そんなモンスターたちに、小学生たちが力を合わせて
立ち上がるという物語なのです。
日本では考えられない展開で、ものすごく魅力的です。
素晴らしい時間を過ごせました。

【こんな人にお薦め】
本が好きな人に。
外国文学らしい文化の違いの刺激を受けてみたいに人に。
児童書だからとても分かりやすいですし。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1465 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
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よかったらのぞいてみて下さい。

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