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かもめ通信
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世界各国の現役政治家が総出演!?前作よりさらにパワーアップした面白さ。クスクス笑っていたはずが、背中がゾクゾクしてきたり、いろんな意味で慌ただしいノンストップコメディだ。
おはようございます、首相。首相のことは『首相』とお呼びできるうちに、できるだけ多く首相とお呼びしておこうとおもいまして---

数日後に投票日を迎えることになっているドイツのメルケル首相の携帯電話に朝っぱらから電話をかけ、こんな風に話を始める男。
それがこの本の主人公、御年101歳というスウェーデン人のアラン・カールソンだ。

前作 『窓から逃げた100歳老人』 では100歳を祝うパーティーの当日に老人ホームから抜け出したはいいが、ひょんなことから大金の入ったスーツケースを手にしてしまい、文字通り追われる身に。
逃走劇の合間に世界の歴史と共に彼の歩んだ数奇な100年が織り込まれるという、トンデモ本だったのだが、今回は。

逃走劇の末に親友ユーリウス・ヨンソン66歳と共に、ようやく腰を落ち着けたのは、インドネシア・バリ島。
このリゾート地で贅沢三昧の優雅に暮らす毎日にすっかり飽き飽きしたアラン老は、タブレットを手に入れてネットサーフィンを始める。
純粋な楽しみのために大小様々な世界のニュースを追うつもりだったが、彼の目に飛び込んでくるニュースの悲惨なことといったら!

人生最初の100年、世界を大局的に見たことがなかったアラン老に、新たに入手したこのおもちゃが世界は今たいへん危機的な状況にあることを教えてくれた。

こうしてアランはこの世の全人類に関心を抱くようになったのだが、その時は未だ自分が濃縮ウランを持って北朝鮮に出向くことになろうとは思いも寄らなかった。

金正恩にトランプ、メルケルにプーチンが生出演!?
おそらくトランプは本当のところ馬鹿じゃないし、プーチンの役割を過大評価しすぎじゃないかという気はするけれど、実在の現役政治家たちをそこまでやっていいのか!?と読者が冷や冷やするぐらい動かしまくって大騒ぎ。
見てきたようなあれこれが繰り広げられるその中になぜかいつもアランの影が!?
数ある出演者の中にあって、なんといってもチャーミングなのはスウェーデンのマルゴット・ヴァルストローム外務大臣!思わずググったら、本当に現役バリバリの政治家だった!!

この作品のすごいところは、ドタバタコメディの裏側に、常に鋭い視点があること。

たとえば極右政党についてなら、その勢力拡大への懸念もさることながら、そうした勢力の出現によって、右傾化している既存政党がまともに見えてしまうという役割を果たしているという鋭い指摘も。

クスクス笑っていたはずが、背中がゾクゾクしてきたり、いろんな意味で慌ただしいノンストップコメディだ。
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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2234 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

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