たけぞうさん
レビュアー:
▼
現代に甦る土着の魂。
「f植物園の巣穴」の続編です。
梨木香歩さんの作品は読み順が大事な場合が多く、
この作品もできれば守った方がいいです。
とはいえ、執筆時期が空いたからなのか二作品の間には適度な距離感があるので、
逆になってもあまり問題にはならないと思いますが。
いずれにしろ、作品世界が広がりますのでセットで読むことをお薦めします。
椿宿、ツバキシュク。
旧宿場町の名前ですが、いまはどこにでもある名前に変わっています。
主人公のわたしは佐田山幸彦(やまさちひこ)と言います。通称は山彦。
従妹は海幸比子(うみさちひこ)。通称は海子。名づけは祖父です。
古事記に海幸彦と山幸彦の話があります。それが名前の由来なのでしょう。
山彦は激しい肩の痛みに苦しんでいました。
かかりつけのクリニックに通ってしのいでいますが、快方にはほど遠いです。
あるとき、実家を借りている鮫島さんから手紙をもらいました。
実家といっても山彦は住んだことはなく、曾祖父母の代から
他人に貸し続けています。借り手の鮫島さんも祖父母の代から住んでいて、
かれこれ五十年以上になります。
家賃といっても都会に比べれば微々たるもの、修繕費は向こうもちで
好きに維持されていたのでここまで来れたのです。
しかし鮫島さんが仕事の都合で引っ越すことになり、
年老いた母も連れていくので空き家になる見通しとのこと。
ついては賃貸契約を打ち切りたいという申し出でした。
なぜ長きにわたってその家に住み続けたのでしょう。
どうも土着の魂みたいなものとのしがらみが影響しているみたいです。
魂といっても人間などの個別のものではなく、
自然の意思といえばいいのかもしれません。
しがらみの発露の一つはf植物園の巣穴ですし、しかしそれすらも根源ではなく
はるか古の地脈みたいな土地に染みついた力のようなのです。
激しい肩の痛みも無関係ではなさそうです。
山彦は手紙のなかに気になることを見つけます。
差出人の名前が鮫島宙彦なのです。
山彦、海彦に宙彦がそろったのです。因果を感じます。
何かの力に引かれて集まることは、偶然ではなく必然です。
その一つの形が、曾祖父の頃はf植物園であり、現代は椿宿です。
著者ファンにはたまらない一冊だと思いますよ。
梨木香歩さんの作品は読み順が大事な場合が多く、
この作品もできれば守った方がいいです。
とはいえ、執筆時期が空いたからなのか二作品の間には適度な距離感があるので、
逆になってもあまり問題にはならないと思いますが。
いずれにしろ、作品世界が広がりますのでセットで読むことをお薦めします。
椿宿、ツバキシュク。
旧宿場町の名前ですが、いまはどこにでもある名前に変わっています。
主人公のわたしは佐田山幸彦(やまさちひこ)と言います。通称は山彦。
従妹は海幸比子(うみさちひこ)。通称は海子。名づけは祖父です。
古事記に海幸彦と山幸彦の話があります。それが名前の由来なのでしょう。
山彦は激しい肩の痛みに苦しんでいました。
かかりつけのクリニックに通ってしのいでいますが、快方にはほど遠いです。
あるとき、実家を借りている鮫島さんから手紙をもらいました。
実家といっても山彦は住んだことはなく、曾祖父母の代から
他人に貸し続けています。借り手の鮫島さんも祖父母の代から住んでいて、
かれこれ五十年以上になります。
家賃といっても都会に比べれば微々たるもの、修繕費は向こうもちで
好きに維持されていたのでここまで来れたのです。
しかし鮫島さんが仕事の都合で引っ越すことになり、
年老いた母も連れていくので空き家になる見通しとのこと。
ついては賃貸契約を打ち切りたいという申し出でした。
なぜ長きにわたってその家に住み続けたのでしょう。
どうも土着の魂みたいなものとのしがらみが影響しているみたいです。
魂といっても人間などの個別のものではなく、
自然の意思といえばいいのかもしれません。
しがらみの発露の一つはf植物園の巣穴ですし、しかしそれすらも根源ではなく
はるか古の地脈みたいな土地に染みついた力のようなのです。
激しい肩の痛みも無関係ではなさそうです。
山彦は手紙のなかに気になることを見つけます。
差出人の名前が鮫島宙彦なのです。
山彦、海彦に宙彦がそろったのです。因果を感じます。
何かの力に引かれて集まることは、偶然ではなく必然です。
その一つの形が、曾祖父の頃はf植物園であり、現代は椿宿です。
著者ファンにはたまらない一冊だと思いますよ。
お気に入り度:







掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。
自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:朝日新聞出版
- ページ数:304
- ISBN:9784022516107
- 発売日:2019年05月13日
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。