かもめ通信さん
レビュアー:
▼
「これを書いているのだから、僕がまだ死んでいないことは明らかだろう。だが、君がこれを読むころにはもう死んでいるかもしれない。」作中でそう語った作家の死後に出版された短編集。
ホンヤクモノスキーを自認する私だが
つい最近までいわゆる「アメリカ文学」には
ほとんど手を伸ばしてこなかった。
アルコールとドラッグとセックスと暴力……といった
退廃的なイメージに抵抗を感じてしまうのだ。
実をいうと同じ白水社のエクスリブリスから出ている
デニス・ジョンソンの第一短編集『ジーザス・サン』も
そうした理由から途中で挫折した1冊だったりする。
この本も翻訳が藤井光さんだからという理由で
手に取ってみたものの
無理なようなら途中でやめようと
最初からあきらめムードで読み始めたのだが
これが思いの外良かった。
・海の乙女の惜しみなさ
・アイダホのスターライト
・首絞めボブ
・墓に対する勝利
・ドッペルゲンガー、ポルターガイスト
収録されているのはこの5つの作品。
登場人物達はあいかわらずアルコール中毒だったり、
刑務所暮らしだったり、
孤独だったり、あれこれ見失っていたりと
いろいろな意味で死にかけているのだが、
当初懸念していたような
主人公も作者も一緒になってドクドクと血を流しながら
地べたでのたうち回ったあげく、
読み手の心臓めざして切りつけてくる……といった
過激な荒々しさはなく
むしろ非常に渇いた印象を受ける。
口の中の水分を全部もっていかれてしまうような渇きの中で
「やるせなさ」や「憤り」や「老い」や「死」について考える。
好きだとは言えない。
けれども忘れがたく、読んで良かったと思える1冊だった。
つい最近までいわゆる「アメリカ文学」には
ほとんど手を伸ばしてこなかった。
アルコールとドラッグとセックスと暴力……といった
退廃的なイメージに抵抗を感じてしまうのだ。
実をいうと同じ白水社のエクスリブリスから出ている
デニス・ジョンソンの第一短編集『ジーザス・サン』も
そうした理由から途中で挫折した1冊だったりする。
この本も翻訳が藤井光さんだからという理由で
手に取ってみたものの
無理なようなら途中でやめようと
最初からあきらめムードで読み始めたのだが
これが思いの外良かった。
・海の乙女の惜しみなさ
・アイダホのスターライト
・首絞めボブ
・墓に対する勝利
・ドッペルゲンガー、ポルターガイスト
収録されているのはこの5つの作品。
登場人物達はあいかわらずアルコール中毒だったり、
刑務所暮らしだったり、
孤独だったり、あれこれ見失っていたりと
いろいろな意味で死にかけているのだが、
当初懸念していたような
主人公も作者も一緒になってドクドクと血を流しながら
地べたでのたうち回ったあげく、
読み手の心臓めざして切りつけてくる……といった
過激な荒々しさはなく
むしろ非常に渇いた印象を受ける。
口の中の水分を全部もっていかれてしまうような渇きの中で
「やるせなさ」や「憤り」や「老い」や「死」について考える。
好きだとは言えない。
けれども忘れがたく、読んで良かったと思える1冊だった。
お気に入り度:







掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
この書評へのコメント
- かもめ通信2019-06-21 06:00
只今掲示板にて
<祝 #白水社 #エクスリブリス #創刊10周年 記念読書会>
を開催中。
今回は10/5までとのんびりやっていますので、ぜひ遊びに来てください。
https://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no358/index.html?latest=20クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 コメントするには、ログインしてください。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:白水社
- ページ数:235
- ISBN:9784560090589
- 発売日:2019年05月01日
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。