efさん
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世界屈指の名探偵のデビュー短編集
世界には数多くの名探偵がいますが、その中でも指折りの一人に数えられるブラウン神父はこの短編集で世に出ました。
全部で12編が収録されていますが、そのうちの3編(『青い十字架』、『奇妙な足音』、『飛ぶ星』)では大怪盗フランボウとの知恵比べが描かれます。
この3作でブラウン神父にやりこめられてしまったフランボウは、すっかり改心し、その後私立探偵となり、ブラウン神父の良き友人となるんですね。
それでは収録作品から何作かご紹介。
〇 青い十字架
大怪盗フランボウを良いように手玉に取り、加えて警察の応援を巧いこと要請してしまうブラウン神父の知恵が描かれます。
なかなかユーモラスな味わいがあります。
〇 奇妙な足音
あるホテルで開かれたクラブのディナーで今まさに犯罪が行われていました。
ブラウン神父は偶然そのホテルの事務室で書類仕事をしていたのですが、奇妙な足音を聞いただけで犯罪が行われていることを見破り、フランボウによる犯罪を未然に防いでしまいます。
〇 見えない男
秀逸なトリックを用いた作品として非常に有名な古典的一編です。
ミステリ関係の書籍では度々言及される作品。
誰もが目にしているのに見えない男がいたんですよ。
〇 イズレイル・ガウの誉れ
ある貴族の姿が見えなくなります。
貴族と二人だけで暮らしていた律儀な使用人は、主人が亡くなったので埋葬したと言うのですが……。
屋敷の中にはけったいな物が散乱していました。
これは墓をあばくしかないということになり、貴族を埋葬したという墓をあばいたところ、何と、頭蓋骨だけが無くなっていました。
これは一体どういうこと?
〇 神の鉄槌
これも大変有名な作品。
殺人事件が発生し、その状況から何人かの容疑者が浮かび上がるのですが、ブラウン神父はそれらの容疑者は真犯人ではないと看破します。
視点を180度変えた推理をみせるブラウン神父です。
〇 折れた剣
賢い人は小枝をどこに隠す?
森の中です。
もし、森が無かったら?
これも大変有名な作品。
ブラウン神父という愛すべき名探偵を生み出したチェスタトンの功績は大と言うべきでしょう。
ブラウン神父ものの作品は、逆説的、パラドキシカルであると評されることが多いのですが、一見こうとしか見えない状況を、ブラウン神父の知恵によりまったく違う様相に変えてしまうところがそう言われる所以でしょう。
本書で言えば、『見えない男』、『イズレイル・ガウの誉れ』、『神の鉄槌』、『折れた剣』などがまさしくそういう特徴が良く出ている作品と言えるのではないでしょうか。
シビアに犯罪の実現可能性を考えてしまうと、「ちょっと無理があるんじゃない?」と思ってしまうところもあるのですが、そこを筆先三寸(笑……失礼!)で小気味よく言いくるめてしまうところがチェスタトンの味かもしれません。
機転というかアイディア命の作品群と言えるかもしれませんね。
ブラウン神父ものは、全部で5冊ありますが(短編集未収録作品が他に2編あります)、シリーズ最初の作品が本書ですので、これからブラウン神父ものを読んでみようという方は本書から始めるのがよろしいと思います。
読了時間メーター
□□□ 普通(1~2日あれば読める)
2『ブラウン神父の知恵』
3『ブラウン神父の不信』
4『ブラウン神父の秘密』
5『ブラウン神父の醜聞』
全部で12編が収録されていますが、そのうちの3編(『青い十字架』、『奇妙な足音』、『飛ぶ星』)では大怪盗フランボウとの知恵比べが描かれます。
この3作でブラウン神父にやりこめられてしまったフランボウは、すっかり改心し、その後私立探偵となり、ブラウン神父の良き友人となるんですね。
それでは収録作品から何作かご紹介。
〇 青い十字架
大怪盗フランボウを良いように手玉に取り、加えて警察の応援を巧いこと要請してしまうブラウン神父の知恵が描かれます。
なかなかユーモラスな味わいがあります。
〇 奇妙な足音
あるホテルで開かれたクラブのディナーで今まさに犯罪が行われていました。
ブラウン神父は偶然そのホテルの事務室で書類仕事をしていたのですが、奇妙な足音を聞いただけで犯罪が行われていることを見破り、フランボウによる犯罪を未然に防いでしまいます。
〇 見えない男
秀逸なトリックを用いた作品として非常に有名な古典的一編です。
ミステリ関係の書籍では度々言及される作品。
誰もが目にしているのに見えない男がいたんですよ。
〇 イズレイル・ガウの誉れ
ある貴族の姿が見えなくなります。
貴族と二人だけで暮らしていた律儀な使用人は、主人が亡くなったので埋葬したと言うのですが……。
屋敷の中にはけったいな物が散乱していました。
これは墓をあばくしかないということになり、貴族を埋葬したという墓をあばいたところ、何と、頭蓋骨だけが無くなっていました。
これは一体どういうこと?
〇 神の鉄槌
これも大変有名な作品。
殺人事件が発生し、その状況から何人かの容疑者が浮かび上がるのですが、ブラウン神父はそれらの容疑者は真犯人ではないと看破します。
視点を180度変えた推理をみせるブラウン神父です。
〇 折れた剣
賢い人は小枝をどこに隠す?
森の中です。
もし、森が無かったら?
これも大変有名な作品。
ブラウン神父という愛すべき名探偵を生み出したチェスタトンの功績は大と言うべきでしょう。
ブラウン神父ものの作品は、逆説的、パラドキシカルであると評されることが多いのですが、一見こうとしか見えない状況を、ブラウン神父の知恵によりまったく違う様相に変えてしまうところがそう言われる所以でしょう。
本書で言えば、『見えない男』、『イズレイル・ガウの誉れ』、『神の鉄槌』、『折れた剣』などがまさしくそういう特徴が良く出ている作品と言えるのではないでしょうか。
シビアに犯罪の実現可能性を考えてしまうと、「ちょっと無理があるんじゃない?」と思ってしまうところもあるのですが、そこを筆先三寸(笑……失礼!)で小気味よく言いくるめてしまうところがチェスタトンの味かもしれません。
機転というかアイディア命の作品群と言えるかもしれませんね。
ブラウン神父ものは、全部で5冊ありますが(短編集未収録作品が他に2編あります)、シリーズ最初の作品が本書ですので、これからブラウン神父ものを読んでみようという方は本書から始めるのがよろしいと思います。
読了時間メーター
□□□ 普通(1~2日あれば読める)
2『ブラウン神父の知恵』
3『ブラウン神父の不信』
4『ブラウン神父の秘密』
5『ブラウン神父の醜聞』
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幻想文学、SF、ミステリ、アート系などの怪しいモノ大好きです。ご紹介レビューが基本ですが、私のレビューで読んでみようかなと思って頂けたらうれしいです。世界中にはまだ読んでいない沢山の良い本がある!
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- 出版社:東京創元社
- ページ数:381
- ISBN:9784488110130
- 発売日:2017年01月12日
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