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efさん
ef
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英海軍駆逐艦と独Uボートの一騎打ちだ!
 非常にストレートな海戦小説です。
 護衛任務についていた英海軍駆逐艦ヘカテは、そのレーダーにUボートを捉えます。
 なんでこんな大西洋ど真ん中にUボートが一隻だけ航行しているんだ?
 Uボートは潜水しておらず、海上を最大船速で突っ走っているのです。
 一体どこへ行こうというのか?

 ヘカテの船長であるマレルは、何らかの理由でUボートは海上のどこかの地点で何らかの船舶と会合を果たそうとしていると推測します。
 それがどんな理由であるにせよ、重大な任務であることはその動きから推測されます。
 追跡する!

 一方のU121は、独偽装商船のツェツィリイ号と大西洋上で会合する予定でした。
 ツェツィリイ号は、連合国側の最新暗号を運搬しているのですが、海上航行には危険が大きく時間もかかることが予測されました。
 そこで、U121と会合し、暗号の写しをU121に渡し、一刻も早くドイツに持ち帰らせようという作戦だったのです。

 逃げるU121と追う駆逐艦ヘカテ。
 奇しくも一対一の一騎打ちが始まってしまうという物語です。
 Uボートを撃沈するためには、通常は複数の艦艇か航空支援が必要なのですが、それが得られないこの状況では、両者の優劣はほぼ互角というところです。
 あとは、両艦長の力量により勝負が決まると言っても良いでしょう。

 U121には前部に4門、後部に2門の魚雷を備えていました。
 U121が回頭してくるようだと、前部の魚雷4門を受けなければなりません。
 それは何としてでも避けたい。
 ヘカテはU121の後方を追尾します。

 ヘカテの攻撃としては爆雷を投下するしかありません。
 もちろん、U121が浮上してくるようであれば艦載砲を撃つのですが、Uボートはおよそ24時間は潜水し続けることが可能です。
 爆雷は10斉射分が残されているのみ。
 10回の攻撃でU121を沈められるのか?
 ここに両艦長の頭脳戦が繰り広げられるのです。

 駆逐艦とUボートの一騎打ちという一点のみに絞った直球勝負の一編です。
 両者の駆け引きは緊迫感に溢れ、スリリングな展開になっていきます。
 最後の方は両者とも満身創痍になってしまうのですが、なおも戦い続けようとする執念はすさまじいものを感じさせます。
 210ページと分量も多くはなく、テンポよく進む小説なので、ごくごくストレートな海戦ものとして一気読みで楽しめる作品でしょう。


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ef
ef さん本が好き!1級(書評数:4912 件)

幻想文学、SF、ミステリ、アート系などの怪しいモノ大好きです。ご紹介レビューが基本ですが、私のレビューで読んでみようかなと思って頂けたらうれしいです。世界中にはまだ読んでいない沢山の良い本がある!

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この書評へのコメント

  1. oldman2019-05-15 10:51

    これ、ロバート・ミッチャムとクルト・ユルゲンスという、米独の名優の配役で映画化されてますね。
    本書同様 緊迫感溢れる内容で、潜水艦映画の白眉とされています。
    映画は本書と異なり、ハリウッド的なエンディングですが、どちらも気に入っています。

  2. ef2019-05-15 18:35

    映画化されているとは知りませんでした。
    確かに、映画になりそうな題材ですよね。

  3. 星落秋風五丈原2019-05-15 23:23

    こんばんは。私も見ました。

  4. ef2019-05-16 06:19

    五丈原さん、画像ありがと~。なんかイイ感じですね~。

  5. Jun Shino2019-05-16 09:51

    私もテレビで映画を観ました。(潜水艦のことを)「よっぽどの天才か、よっぽどのバカか」と駆逐艦の艦長?が評すセリフが印象的でした。原作にはあるんでしょうかね。

  6. oldman2019-05-16 22:10

    この名作は恐らく大抵のレンタルDVDで有ると思います。後は廉価版のDVDでも有るかな?

  7. 塩味ビッテン2019-05-20 05:16

    潜水艦が出てくる小説にはずれはありません。頼るのはソナーと潜望鏡と己の頭脳、敵は駆逐艦ばかりでなく、酸素不足、深海の水圧、不潔な艦内環境・・・。究極のサバイバルゲームを演じてくれるところがしびれます。

  8. ef2019-05-20 04:35

    確かに潜水艦ものって惹かれますよね~。

  9. 塩味ビッテン2019-05-20 05:18

    入港しないと補給が出来ず、常に燃料と魚雷が不足気味というのもギリギリ感をあおります。

  10. oldman2019-05-21 02:03

    「潜水艦が出てくる小説にはずれはありません。」
    たしかにそのとおりですね。限界ギリギリで戦う姿は魅力的です。
    ただ、これが映画となると、傑作もありますが「……ローレライ」の様な残念なものも有ります。映画で記憶している駄作中の駄作は、むかしテレビで放送されたギリシア・イギリス映画「潜水艦パパニコルス発進せよ」という珍品。その名のとおり、ギリシア海軍(そんなものが有るんですね)の潜水艦の戦いを描いた作品ですが、後にも先にもなんでこんなものが放送されたのかは謎です。

  11. 塩味ビッテン2019-05-21 20:50

    名作は何といっても「クリムゾンタイド」と「Uボート」ですね。「沈黙の艦隊」も良かった。

  12. No Image

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