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ぷるーと
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歴史の概念が変わる、なんとも奇妙な物語。
ノア方舟のエピソードのパロディから始まる10章からなる短編と、作家のつぶやきともとれる挿入章からなる一風変わった作品。

10の話は時代も場所も語られていることがらも異なり、文体も神話のパロディ、裁判記録、回想風の独白、学術論文風と、さまざまだ。それぞれの話は独立しており、互いの関連性はない。それでいて、この10の話は、少しずつ繋がりあっている。

これらの話の共通点は船。ノアの方舟、地中海のクルーザー、〈魂の船〉としての教会、ノイローゼ患者が海に乗り出す船、メデューサ号の筏、タイタニック号、セントルイス号、さらには宇宙船と、それぞれの話の中でさまざまな船に変貌している。
また、1章の侵入者だったキクイムシが、そのあとの話でもたびたび姿を見せる。

何度も繰り返すイメージ、何度も現れるキクイムシは、「歴史は繰り返す」ということを暗示しているようだ。その繰り返される物語の中で、「清潔なもの」と「不潔なもの」、「生存可能なもの」と「そうではないもの」、といった具合に、人は分類することでその一方を排除してきた。

そして、挿入章で語り手が考察するのは、「愛」について、だ。

この作品は、繰り返される歴史をパロディ化して笑いとばすとともに、繰り返される「差別と排除」に警鐘を鳴らしているのではないだろうか。
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ぷるーと
ぷるーと さん本が好き!1級(書評数:2922 件)

 ホラー以外は、何でも読みます。みなさんの書評を読むのも楽しみです。
 よろしくお願いします。
 

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